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アプリ坊主  作者: 蚊取TENGO
第一章
18/82

1-18 帰路 1『犬馬ずっと気絶』

再び話は「珍海&犬馬」の行動へと戻る。珍海は犬馬のふとももの間に自分のTENGOを滑り込ませ、しごきつつオーラを溜めていった。

だが、その途中、急に意識が遠のいてしまう。珍海は夢とも現実ともつかない世界で、奇妙な光景を目にした。だが、疑問に思う暇も無く再び珍海は現実へと引き戻されようとしていた。



―― {珍海くん!珍海くん!!}


遠くで、誰かが自分を呼んでいる。



そう思った瞬間、夢のなかから現実へと引き戻された。


見ると、犬馬の太ももや腹のあたりに緑色のオーラを大量にぶちまけていた。犬馬はまだ気絶したままであった。

そして、自分を現実に引き戻したのは、先ほどハッスルして木に登っていった宮崎法如であった


{もう~珍海くんたら!}

{遠くで見ていたら、急に気絶しちゃうんだもん}


なぜか「オネエ」口調の宮崎が続ける


{心配しちゃったんだからねッ!}


珍海はさきほどとは別の意識の飛び方になりそうだったが、気を取り直し


「いや、無理にキャラ立てなくていいから」


と、告げ、右手で、しっ!しっ!と宮崎を追っ払うそぶりを見せた


{…ラ…ラビュ…タ}


彼は少し、寂しそうな顔をして、犬馬達から5メートルほど距離をおいて、体育座りをしてしょぼくれた。まゆげもすぐ隣に座り彼を慰めた



「…それにしても」


一体、今の映像はなんだったのか。


疑問には思ったが、今は試合の最中。


「(学校に)帰ったら先生にでも聞いてみよう」


そうつぶやいて、手元の端末で、試合の状況を調べた。画面には「劣勢」と表示されていた。


気絶しながら、犬を散歩させていた犬馬だが、相手はどうやらそれを上回っているらしい。


「どうにかせねばな」


珍海が考えていると、遠くのほうから「ぎゃあぎゃあ」「カァカァ」と、カラスの大群がやってきた


{おうい!ここじゃあ~!}


近くに座っていた宮崎が立ち上がり、空中ではばたいているカラス達にに向けて大きく手を振った。

カラス達は宮崎に気づくと、町並みを背景にゆっくりと旋回し、こちらのほうに下降してきた。


カラスには、ブランコのようなものが紐でくくりつけられており、どうやら宮崎はそれに乗って帰宅するつもりらしい


「おいおい、おじいちゃん」

「まさか、それに乗って帰るっていうんじゃないだろうな?」



{言わずもがな}


宮崎は、待ってましたとばかりに満面の笑みを浮かべて答えた。


{わしゃぁ~、副業でな}

{カラス達と供に、宅急便のサービスをしておるんじゃよ}


カラスとブランコを結ぶロープを丁寧に一本一本手と目で確認しながら、宮崎は続けた。


{なに、大自然とツーカーなワシなら容易いことじゃて}



「カラスだけにな」


宮崎はポケットから名刺を取り出し、珍海に差し出した


「うわぁ…」

「じじぃ、コレ、名刺容れごと洗濯機にかけたろう」


名刺はかろうじて原型を留めていたがボロボロになって2枚重なってくっついていて、

「クーロ(空路)宅急便」と書かれたその表側には、黄色と黒主体の、ロゴマークがプリントされていた。


「代表取締役」

「宮崎☆法如…」


珍海はつぶやくようにして名刺を読み上げると、法衣のポケットにそのまま突っ込んだ


{では、そういう事での}

{犬馬殿にもよろしくな}


かたわらに汁まみれで倒れている犬馬のほうを、ちらりと見ながら宮崎はブランコのロープを右手で掴み、木の板に腰を降ろした


{ハイヨー!!}


ロープをびしっと揺らすと、


「ギャア、ギャア」

「カァー!カァー!」


空中でホバーリングしていたカラス達が羽ばたきを強め、ゆっくりと宮崎の体は空中にあがっていった。

帰宅する宮崎を見守っていた珍海だったが、途中である異変が起きていることに気が付いた。


「あれ…?方向が」




今、カラス達が向かっている方角は海のほうで、宮崎のアジトが海の上にあるはずもない。

そう思い、今度は少し下の、ブランコにつかまっている宮崎を見ると、案の定、怒り心頭でカラス達にアレコレ指示を出していた。


{これ!!お前達!}

{そっちじゃないっつーに!}

{どうしたというのだ!?まったく}


その状況を見て取った珍海は、まゆげの散歩がてら、宮崎の後を追い、救助しようと試みた


「と、その前に…」


汁まみれで気絶している犬馬をベンチに運ぶと、珍海は自分の荷物の中から、衣服を取り出し、犬馬にそっとかけた。

そして、公園に来ていた子供達と遊んでいたまゆげを呼び寄せると、さきほどわたされた名刺をポケットから取り出し、

まゆげに嗅がせて、匂いを覚えさせた。


「まゆげ、アレ、解るか?」

「わんっ!」


珍海は遠くで遭難している宮崎を指差し、一緒に追う様にまゆげに助力を申し出、また、まゆげもそれを快諾したようだった


手元の端末で、向かっている方角を正確に割り出し、最短ルートで宮崎を追う。

途中でコンビニに立ち寄り、スポーツドリンクを飲んで喉の渇きを潤した。


一方、宮崎のほうはカラスの制御に苦しんでいた


{なぜじゃ、なぜなんじゃあ!}

{…はっ!!まさか…!?}


なにか思い当たる節があるようだ


{下克上?}


そう言い、ちらっと上のカラス達をみたが、特にこれといったリアクションは無かった。どうやら、違うらしい。


{あれか?エサか?}

{エサが不満なのか?}


これも違うようだ。


そうこうしてうちに、宮崎を乗せたカラス達は、海に到達した。


{なにを!!}

{なにをしよる!}


カラス達は、次第に高度を落とし、海面すれすれを飛び出し、宮崎を海の中へとひきずっていった


{がぼがぼがぼ!}

{ごぼがぼっ!!}


しばらくひきずられていた宮崎だったが、ロープを離すか、登るかすればこの状況を改善できることに気づき、よろよろとロープを登りだした。


{ごぼごぼっ!}

{げぇぇぇ~~!}


肺に入ってしまった海水を涙目になりながら吐き出す


そして、カラス達に肉薄すると、鼻水と海水とゲロでずぶぬれの顔でいきさつを問い詰めた。


{おまえこの大自然コノヤロウ}

{むしるぞ!、カラス野郎が!!}


カラスは目の前に宮崎が来たことで、焦り、連続にくちばしで宮崎の目をえぐろうとした


{ふっ!}


しかし、宮崎は「巷に溢れている三流CGムービーのような残像付きのゆっくりの動き」でそれをかわすと、一羽を捕

まえ、改めて問いただした。


{こたびの謀反は誰の仕業ぞ}


捕まったカラスは、じたばたもがいていたが、そこに他のカラス達が一斉に救援に入った


「ガァーーー!」

「ギャーース!!!」

「パオーーン!!」


再びCGムービーのような動きでそれをかわそうとする宮崎だったが、カラス達の一匹のくちばしが宮崎の股間のTENGOを

捕らえた。

宮崎が残像付きの動きでかわしていたのに対し、カラスもまた、残像付きのゆっくりした動きで股間を突き、対抗したのである。


{ごっ…!}

{ほふっ…}


宮崎は白目をむき、股間を抑えながら、口から泡を出し、水中へと転落する。


「ガァー!ガァー!」

「ギャァ!ギャァァァス!」


カラス達は宮崎が水中へ文字通り突き落とされたのを確認すると、止めを刺すべく、空中から水中へとダイヴする


「(ドボーン!)」

「(ダボーン!)」


だが宮崎は落ちながら自らのTENGOを擦っていた。それはもう、激しく擦っていた。


{がぼごぼぼっ!}

{ずぼぶりぼががっ!!!(ジブリ坊ー主!!!)}


水中に落ちた宮崎からまばゆい光が発せられる。宮崎が自家発電によって、オーラを放出したのだ


「ガッ…!」

「ガボアッ!!?」


宮崎を追撃すべく、水中に突入したカラス達だったが、オーラを放出されてしまい、不利だと感じ、再び海面へと脱出する。


{ゲーッ!}

{ゴボッ!ゴボッ}

{うぇっ…}


{ゲーッ!}


海面へと姿を現した宮崎は、肺に入ってしまった海水と飲んでしまった海水を、喉の奥に指をつっこんで放出した。

これ以上はお互い消耗戦になってしまい、多大な犠牲を出してしまうことを悟ったカラス達は、どこかに飛び去っていってしまった。




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