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天使と悪魔の伝説  作者: 弥生遼
第三十四章 魔界
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 コーラルルージュ城のどこからに魔界への門がある。メトロノスはそう言ったが、具体的にどこにあるかまでは言及してくれなかった。だからと言って城にいる人々に『魔界の門はどこですか?』と聞くわけにもいかず、エシリア達は城内を探索する羽目になった。

 「ここじゃないですかね?」

 コーラルルージュ城の見取り図を見せてもらい検討していると、レンがある一箇所を指差した。そこは城の地下であり、バロードなどからは地下に秘密の隠し通路があるとは聞かされていたが、そこは通路と言うよりも空間―部屋のようであった。

 「サラサさんがここを奪取する時に使った秘密通路から枝分かれした所のようですね」

 「しかし、某達が知っている魔界への門はレンストン領より北のはずでござろう。随分と離れているような……」

 ガレッドは眉を顰めて首を捻っていた。確かに人間界の俗説ではそうなっている。

 「でも、その魔界の門を見たことのある人は誰もいないんですよね」

 エシリアはレンとガレッドに確認した。

 「レンストン領の最北部、ワグナーツ山脈近郊は立ち入り禁止になっていましたから」

 と言ったのは、実際にレンストン領に住んでいたシードであった。

 「立ち入る人もいなかったでしょう。あの辺は不毛の荒野ですから」

 レンがそう付け足した。

 「まぁ俗説なんてあてになりませんね。天使と悪魔の実体を知ってしまった今となっては」

 エシリアが言うと、そうでござるな、とガレッドが同意した。

 「このまま頭を突き合わせていても先に進みませんね。レンさんが見つけた場所まで行ってみましょう」

 エシリアの提案に反対する者はいなかった。


 エシリア達が早速城の地下へ向った。何だかんだ言いながらも、エルマはしっかりとした足取りで後についてきていた。彼女なりにやはり気になるのだろう。

 「地図によればこの先のようなのでござるが……」

 地図を持って先頭を歩いていたガレッドが立ち止まった。行き止まりになっていた。ガレッドが壁をうんうんと押してもびくともしなかった。

 「うん……。シード君、ちょっと壁に触れてみてください」

 「は、はい……」

 シードが壁に手をやると、壁が白く光った。しかし光るだけで壁が動くようなことはなかった。

 「やっぱり……エルマさん。次はあなたが」

 エシリアが一番後ろにいたエルマに促した。エルマは舌打ちをしながらも、前に出てきて壁に拳を突きつけた。すると光の強さは増し、壁が音を立てて左右に割れて開いた。

 「一体、どういう力が……」

 レンが驚き後ずさった。

 「おそらく天帝様の、いえ、天帝様の力を分かったシード君とエルマさんに力でしょう。魔界の門は天帝様にしか開けなかったんでしょう」

 「危険はないでござるか?」

 「だぶん大丈夫でしょう」

 エシリアは構わず中に入った。光球を出して照らしてみると何もない小部屋程度の空間があり、そこから先の見えない通路が続いていた。

 「あの先が魔界というわけでしょうか?」

 「そのようですね。さて、これから先は私達で行くとしましょう。レンさんとガレッドさんはお留守番をよろしくお願いします」

 「分かりました」

 「了解でござる」

 「さて、行きましょう。シード君、エルマさん、いいですね」

 シードは、はいと答えたが、エルマは何も反応を示さなかった。しかし、ついて来る気はあるらしく、シードの後について歩いてきた。

 『蛇がでるかどうか……』

 こればかりは行ってみるしかない。エシリアは腹を括って一歩を踏み出した。

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