1秘めし思い
今日は真っ黒のキャンバスに無数の黄色の斑点を描いたような星空だった。
この数多の星のように人間は沢山いる。
何故、私は有象無象の中で生きているのだろう。
大原美香は、そんな疑問を抱えつつ、昼間は一人でいると気持ちよく感じる十二帖のリビングの黄色のソファーの上で横たわっていた。
目の前にあるテレビから流れる情報を見ても夜、静まり返ったリビングの不気味で淋しい空間を紛らわすことはできない。
美香は紛らわすのをやめるために今の体勢のまま、片手に持っていたリモコンで電源を切った。
「―はぁ」
と、深いため息をつき、テーブルにリモコンを置く。
退屈……。
そう思って仰向けになる。すると、美香の着ている青色のパーカーのポケットから、軽快な音楽が流れニャーニャーと猫が甘えた時の鳴き声が聞こえた。
その音につられるように、どこからか野太い犬の鳴き声が聞こえ美香のいる場所に淡い茶色の子犬が駆け寄ってくる。
「はいはい。吼えないの!」
吼える子犬の頭を撫でて、ポケットから携帯電話を取り出す。
何のメールなのか確かめると、ただのダイレクトメール。
美香は憮然とする。
今日もメールはなしか。亜由たちのこと友達だと思ってたのに……。
美香は思いつめた顔をする。
そんな彼女のを見て子犬は心配をそうに顔を見つめた。
子犬の視線に気づき、取り繕った笑みを見せ、
「ごめんね……」
と優しく呟いた。