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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

添い遂ぐは誰そ彼で

作者: 双月一星
掲載日:2026/07/29

良くある王族の婚約破棄、その夜悪役令嬢と呼ばれた少女は自害していた。

聖女もどきの嘘は暴かれ、彼らもまた……。

「リゼラ!君のような悪女と婚約破棄させてもらう!!」


良くある婚約破棄。

悪役令嬢とされた少女は、誰からも自分の無実を信じてもらえず、捏造された証拠とも呼べない言葉で糾弾された。


そしてその晩、悪役令嬢と呼ばれた少女は毒を煽り亡くなった。


そして明るみになる事実。

ヒロインは課金アイテムによる魅了の力で、周りを呪縛していたのだ。

それが突如解かれたのは、ヒロインに加護を与えた女神が更迭されたせいであるが、それはさておき人々は自我を取り戻した。


襲い掛かる後悔。

そしてその矛先に立てられたのは、リゼラに婚約破棄を告げた王子と、ヒロインであった聖女もどきだった。


リゼラが亡くなった以上、誰かを罰せねばならぬと、王子は廃嫡され、離宮に蟄居となったが、リゼラを追うように首を吊って死んだ。


「すまないリゼラ、ごめんよリゼラ……僕も一緒に地獄へいくよ……だから向こうで結ばれよう……ずっ……」



**********


「ハァイ、ここは地獄の1丁目よぉん♪なんちゃって」


彼を出迎えた女悪魔は、ケラケラと笑う。


「え~とお名前とー罪状とーえーっと?アラアラひどぉ〜い!」



(巻物に何が書いてあるか分からないが、僕の履歴が書いてあるのだろうか)


「ほーんふーん、まぁあの女神様ひどかったよねー。

まぁいいや、地獄行き決定おめでとうございます〜!!

じゃ、この先進んでね〜!」


女悪魔は向こうにある扉を指した。


向こうにリゼラがいるのだろうか?

自害は、神に対する冒涜とされてるため、地獄行きとされるのが大筋とされていた。


僕は悪魔にリゼラはいるかと尋ねた。


「あーはは、それ聞いちゃうの?

“いる”ともいえるし“いない”ともいえる。

あとはアイツに聞くといいよ〜」


魔法陣が現れ、女悪魔が消えると、新たな光と共に男悪魔が現れた。


「よぉ、最低最悪の元婚約者どの」


現れた男悪魔は僕に殺意を込め睨みつけてくる。


「リゼラもなんでこんな男を好きになったんだろうなぁ、解せねぇ」


彼の口からリゼラの名が聞こえて、彼女は何処だ!と恫喝する勢いで彼を問い詰める。


彼の苛立ちは止んではいない。


「そんなにリゼラの事が大事かよ。」

じゃあ何故、と言いかけた彼に被せるように僕は彼女への想いを告げる。


初めて会った時の事、彼女に見惚れたあの日、自分がどんなに彼女を愛し、大事にしていたかを語り、わかってもらおうとした。


が、学園に入ってからの事が思い出せず言葉が出ない事実に思い当たる。


悪魔か、うすく嗤う。

「そこまで愛していたなら、なんでリゼラを信じなかった?

お前だけはアイツを裏切っちゃ駄目だっただろうに」


悪魔はリゼラの絶望した姿を知っている。

自分を呼び出して、それでも、誰も責めれずに、望みをいうこともできずにいた彼女の姿を思い出す。

彼女は誰も恨まず、責めず、呪わず、自責の念だけを抱き続けていた。


そして出た願いは、貴方だけは私を信じてというものだった。


そしてリゼラは死んだ。

自分の魂をあげるといって、ありがとうの言葉を最後に添えて。


そしてリゼラは、一欠片の宝石になった。


とても綺麗な魂だった。


悪魔は魂に優しく口づけしたあと、丸ごと口の中に飲み込んだ。


本来なら魂は噛み砕いて自分の力に変える供物だった。

大体は噛み砕かれ、魔力となり、魂は消失、或いは溢れ出た魔力が彷徨い、それを掬い上げる神の御下に新たな魂の欠片として還元されていくのだ。


が、リゼラの魂は、悪魔の中から這い出て胸元の飾りとなった。


彼は綺麗な思い出に浸っていたが、現実を思い出した男の叫びに、何をしていたか思い出す。



彼は、リゼラとあの世で添い遂げるのだといった。

悪女に騙された自分は悪くないといった。

彼女を責めたのは自分だけではないと他者を責めた。

悪女が自分に言い寄らなければと嘆いた。

自分がどれだけリゼラを愛してたを告げるただの執着と、自分を守るだけの後悔と、周りに対する恨み辛み。

そこに彼女への謝罪はなく、バカな男の叫びだけがあった。


そして悪魔に懇願する。

リゼラに会わせてくれと。


悪魔は、扉を指し、死人はあの門の向こうにゆくのだと。

自分の咎を終えた時、また輪廻に戻れるのだと告げる。


「リゼラ、リゼラ、リゼラァッ!!これからは一緒だ!絶対そばにいる!僕のリゼラ、リゼラ、リゼラァッ!!!」


希望を見いだし開かれた扉の向こうへ駆けていく彼はもはや正気ではなかった。


扉が閉まるその狭間、胸元の宝石を優しく撫で、悪魔はいった。


「コレ、綺麗だろ?リゼラはココにいる。

残念だったなオージサマ、生も死も、幾度お前達

を別つとも、もうお前らと交わる縁はない。

彼女は俺と共にあり、共に生きる。

俺はもう現世へはいかないしいけない。

その変わりに彼女を得たのだから。」


閉じる扉の向こうで、王子が絶望に堕ちる様が見えた。


リゼラの魂は揺れ濡れるようにキラリと光った。


悪魔は優しく撫で、自らの翼で包み込むようにしてその場から消え去る。


「俺だけはリゼラを信じ、ずっと添い遂げてやるよ、俺のリゼラ」

貴女となら地獄に落ちても構わない。

……ではないのですが、地獄あちらで添い遂げようとすると王子キモいよね。から作ったお話です。


当家シリーズの一端ですが軽く触れてるだけなので紐付けしてません。

女神が更迭されたんで、加護なし聖女もどきもこの世もあの世も地獄な感じにザマァは受けてそうです。

残りは好きに後悔しておくれ。


悪魔はリゼラの魂と同化したので、彼らの魂とは絶対に会わせないし、輪廻に戻す事はありません。

ただ長い時間を生き、悪魔もリゼラも何者になる事もなく消滅します。


他の魂だと神様が魂の修復の為に預かったりするのですが、現世に出ないことを条件にリゼラを得たので、神の手からも逃れました。

その後リゼラとしての自我が出来て伴侶になった。とかでも良いのですが、バドエンの物悲しさの為に、後書きに置いておきます。

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