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君は桜吹雪の向こうでいつも待っていた

作者: 斎藤由希
掲載日:2026/07/13



 好きな人と付き合っていた。

 過去形だよ。

 もう終わった。

 でも、散っていく桜の向こうに、君がいないか未練がましく目を凝らして探してしまう。




 その人には、春の少し前に、告白してOkをもらったんだ。

 同じ大学に通っているんだけど、彼女の方が早く授業が終わる。

 だから校門の桜の木の下で待ち合わせるのがいつもなんだ。



 よく顔を合わせるようになったのは2年生の冬。

 意識し始めたのは、春の気配がするようになった、冬の終わり。


 付き合えたのはたった数週間で、結局だめになってしまった。

 知人に聞いたら、人によってはきっと、そんな人君の隣にいたっけって感想になると思う。

 けれど、僕にとっては大切な恋だった。

 何しろ初めてだったからね。


 桜が咲くころ、毎日のようにデートした。

 三分咲きのころ、初めてプレゼントをしたんだ。

 五分咲きの頃に、手をつなげて舞い上がった。

 満開になった頃には、将来を考えるようになった。


 今思えばのぼせすぎてた。


 何がダメだったのかっていうと、よくわからない。

 お互い初めてだったから、もしかしたら恋に恋していただけで、無理をしていたのかも。


 思えばずっと、緊張してたな。

 僕も彼女も。


 桜吹雪の向こうでいつも待っていた君の顔は、だんだん曇っていて、桜が散る頃にはなぜかうまくいかなくなっていた。





 一年がたって、卒業。

 早めに咲いた桜が、卒業生を送り出す。


 一年もたったのに、桜吹雪を見てまだ君の姿を探してしまうんだ。



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