君は桜吹雪の向こうでいつも待っていた
好きな人と付き合っていた。
過去形だよ。
もう終わった。
でも、散っていく桜の向こうに、君がいないか未練がましく目を凝らして探してしまう。
その人には、春の少し前に、告白してOkをもらったんだ。
同じ大学に通っているんだけど、彼女の方が早く授業が終わる。
だから校門の桜の木の下で待ち合わせるのがいつもなんだ。
よく顔を合わせるようになったのは2年生の冬。
意識し始めたのは、春の気配がするようになった、冬の終わり。
付き合えたのはたった数週間で、結局だめになってしまった。
知人に聞いたら、人によってはきっと、そんな人君の隣にいたっけって感想になると思う。
けれど、僕にとっては大切な恋だった。
何しろ初めてだったからね。
桜が咲くころ、毎日のようにデートした。
三分咲きのころ、初めてプレゼントをしたんだ。
五分咲きの頃に、手をつなげて舞い上がった。
満開になった頃には、将来を考えるようになった。
今思えばのぼせすぎてた。
何がダメだったのかっていうと、よくわからない。
お互い初めてだったから、もしかしたら恋に恋していただけで、無理をしていたのかも。
思えばずっと、緊張してたな。
僕も彼女も。
桜吹雪の向こうでいつも待っていた君の顔は、だんだん曇っていて、桜が散る頃にはなぜかうまくいかなくなっていた。
一年がたって、卒業。
早めに咲いた桜が、卒業生を送り出す。
一年もたったのに、桜吹雪を見てまだ君の姿を探してしまうんだ。




