シャオとのデート
「ねえねえ…玄助ー。」
ドスっと寝ている俺の上にシャオが飛び乗ってくる
「げふ!な…なんだシャオ…?」
「おはよ。玄助!」
「おう。おはよう。随分刺激的な目覚めをありがとう。」
「どういたしまして。」
「それで、なにか用事?」
頭をポリポリと掻きながら問うと
「シャオとデートしようよー。」
「そりゃ随分といきなりだなあ…どうした?」
「みんなが起きる前に玄助を独り占めする作戦!」
「おおう。なるほど。よし、じゃあデートするか。」
「やった。玄助大好き!」
「それじゃあ…着替えるから…」
「ん?」
ちょこんとベッドに座っているシャオ。
「えーっと着替えるんだけど?」
「だから?」
「え?部屋から出てよ…」
「え?今更じゃん。」
「それはそうかも知れんが…」
「早く玄助着替えてよー」
「あー…もう…仕方ない…」
その場で着替えいつものシャツにジーンズ、今日は肌寒くなりそうなのでジャケットを羽織る
「シャオは顔洗った?」
「うん。とっくに済ませてるよ。」
「んじゃ、顔洗ってくるから玄関で待ってて。」
「はーい」
そうして、洗顔、ひげ剃りを済ませ玄関へ向かう
「お待たせ。」
「うん。」
「シャオはどこか行きたい場所はあるか?」
「うーん…玄助とならどこでも!」
「了解。」
そうして俺とシャオは出かける。が…財布を忘れたことに気がつく。
「あ、財布忘れた…しかもタバコも…」
「え?それ大丈夫なの?」
「えーっと…スマホケースに…あ、クレカもあるし、大丈夫だ。」
「ホントに便利な国だねえ…」
「そりゃ未来の国だもん。キャッシュレスくらいあるよ。」
「キャッシュレス?」
「えーっと現金を使わないこと。」
「なるほど。現金だけじゃなくて、えーっとネットだっけ?そういうのが発展してるから出来るんだ?」
「そうだな。俺も詳しい仕組みは分からんがそんなモンだ。」
「たまーに玄助って適当だよね。」
「気にしても仕方ない。そういうモンだと分かってればいい。」
「それで、玄助はどこに連れて行ってくれるの?」
「そうだなあ…まず、コンビニでタバコを買って…そこから喫茶店かなー…」
「喫茶店って?」
「んー…簡単に言うならアッチの世界の俺の店みたいな。」
「分かりやすーい。」
そうして、シャオと手を繋いでまずはコンビニでタバコ一式を揃え、それから喫茶店へ向かう
「いらっしゃいませー。2名様ですねー。おタバコは吸われますか?あ、はい。ではこちらのお席にどうぞー。」
「簡単に座れちゃった…」
「それが接客ってモンよ。」
「ここには何があるの?」
「そうだな…この時間だとモーニングか?」
「モーニング?」
「朝食として簡単な軽食を出すんだよ。お、値段もお手頃。」
「コレは何?」
「あ、そっか…ウチではパンは食べてなかったな…コレは小麦粉を使った食べ物でな?トーストって言うんだ。上にはバターが塗られてるな…」
「じゃあ、シャオはコレ!」
「んじゃ、俺は…コッチにするか…飲み物は何にする?」
「えーっと…オレンジジュース?」
「んじゃ、俺はコーヒーにしよ。すみませーん。」
店員さんを呼び注文を済ませる。その間に一服…
「ふー…」
「ふふ。今日の玄助いつもよりカッコイイかも。」
「そうか?普通でしょ?」
「普通じゃないよ?シャオの惚れた男性って思っただけ。」
「ンな…卑怯だぞ…その言い方…」
「えへへ。」
「ったく…」
そうこうしていると頼んだものが運ばれてくる
「わー…美味しそう。」
「いただきます。」
そうして、あっという間に朝食を平らげる2人…やはり戦場に居た身としては早食いしてしまうな…
「ご馳走様でした。」
「美味しかったー。」
「そりゃ良かった。んじゃ、行こうか。」
「うん。」
そうして会計を済ませ外に出ると少し冷たい風が吹いている
「シャオ、寒くないか?」
「少し肌寒いかも…」
「ならついでだし、シャオの羽織りでも買いに行くか…」
「え?いいの?」
「もちろん。」
「やった。玄助からの贈り物だ。」
「そりゃ、好きな子には贈り物したいでしょー。」
「玄助の女たらしー」
「意外とグサっときた…」
「あはは。ゴメンてー。ほら行こ?」
「はいはい。行きますかー。」
そうして電車で移動することになり…
「えーっと確かクレカが使えて交通系電子マネーが買えたはずなんだよなあ…」
「交通系電子マネー?」
「えーっと公共交通で使えるお金みたいなモン?」
「へー…じゃあ…これで色々乗れるんだー?」
「そうだね。あとコンビニでも使えたりするねー」
「えー!じゃあ…ホントに色々使えるじゃん!」
「そうだなあ…一応1万くらい入れてるから計算して使いなよ?電車もコレで乗れるし…」
「やったー。」
「んじゃ、行こうか」
「うん!」
そうして電車に乗り揺られること数十分…都市部に出てくると駅前は賑やかだ…
「わー…人多いー。」
「そりゃ都市部だからな。」
「へー…建業みたいだねー」
「確かに。」
そう言って笑いながら服屋に入ると…
「うわあ…すごーい…」
「さすが女性服専門店…オシャレだな…」
「え?男性物のお店は違うの?」
「うーん…店によりけり?」
「へー…」
「んで、なにがいい?上着が良いよね?」
「うん!」
「じゃあ…こういうのは?」
そう言ってショールを手渡す。
「コレは?どうやって使うの?」
「えーっと…こうやって肩から掛けて…」
「わぁ…オシャレー!」
「なら、それにする?」
「うん!」
「んじゃ、すみません。コレをお願いします。あ、すぐ使うのでこのままで…」
そうしてショールを購入する…が…
ショールだぞ?ショール…布だぞ?それに2万だと…どんだけ良い素材使ってるんだ?
まあ…プレゼントだし、良いか…うん…
「玄助、ありがとう!」
「いえいえ。」
「大事に使うね!」
「おう!」
そうして、ふとスマホを確認すると…琴音からの着信が数十件…何事?
「ってメッセージもめっちゃ来てる!なになに…?」
『シャオさんとお兄ちゃんが居ないって大騒ぎだけど…もしかしてシャオさんの抜け駆け?』
「おー…大正解…っと…」
『早く帰って来て!大騒ぎだよ!特に雪蓮さんと祭さんが!』
「おっと…そりゃヤバいな…シャオ!帰るよー?」
「えー…もっと玄助と一緒に居たいー…」
「皆にバレた!帰るぞ!」
タクシーを止め乗り込み、自宅へ向かうのであった。
帰ったらそりゃ大騒ぎでした…そして何故か責められる俺…なんでぇ…?




