日本での買い物
ブーンと車を走らせる。車内では…
「玄助…凄い速さで景色が流れてるけど…これ本当に大丈夫なの?」
「玄助…飛ばし過ぎではないか?」
と、車の速さに驚いてる蓮華と冥琳
「ちゃんと法定速度だよ。」
「しかし…こんなにも早いと…」
「ちゃんと安全運転するから…てか酔ってない?大丈夫?」
「ええ、それは大丈夫だけど…」
「なら良かった。」
「しかし…これは馬より便利だな。」
「でしょ?馬より早くて休ませる必要無いから…」
「馬に乗らない理由が分かったわ。」
「でしょ?」
「しかし…買い物とは言っていたが…どこに行くのだ?」
「簡単に言うとディスカウントストアかなー…なんでも揃うお店。」
「ほう?なんでも揃うのか。」
「うん。ある程度のモノなら置いてるよ。」
そうして車を走らせること数十分…
「よし、到着ー。」
「大きいのね…」
「これでも都会の方にあるのより小さいけどね…」
「そうなの?」
「敷地面積は大きいけど…ほとんど駐車場だし…」
「なるほど…」
「しかし…なんで私と冥琳なの?」
「えーっと迷子にならなそう、無駄遣いしなさそう、驚き過ぎなさそう。この3つから蓮華と冥琳。」
「なるほど…なんとなく理解できたわ。」
「雪蓮や祭殿だと興味を持ったモノを見つけたらフラフラと向かいそうだというのは分かる…」
「でしょ?だからこの2人。」
「納得してしまったわ…」
「うむ…蓮華様の言う通り…納得した。」
「えーっと買うのは…」
メモを見ながら買い物カゴに商品を入れていく
「多いわね…」
「そりゃ食い扶持が10人以上増えたからね…」
「なんか悪い気がしてきたわ…」
「いいのいいの。ウチの親父喜んでたでしょ?」
「確かに、お義父さまは喜んでたけど…」
「うむ…毎回のように小遣いを貰うから余計に悪い気になってしまう…」
「親父は金使わないから…酒もタバコもしないし…」
「金が余って仕方ないって言ってたな…」
「税は納めてるのよね?」
「もちろん。」
「それでも余るなんて…」
「それだけ金持ちってことだな。」
「どれだけ資産があるのよ…」
「んー…軽く数億はあるんじゃない?」
「そんなに!?」
「まあ…世界の経済の一端を担うくらいの会社の代表だし?」
「玄助もその会社の重役なのよね?」
「そうだねー…」
「玄助だけでもだいぶ稼いでそうね。」
「まあ…それなりに…」
「でも、お義父殿は出社だったか?をしているのにお前はしないんだな。」
「俺はみんなの面倒見ないといけないからリモートだね。」
「りもーと?」
「えーっと…遠隔で仕事してるって感じ。」
「そうか、遠くの人間と簡単にやり取りが出来るからそういったことが可能なのか。」
「そういうこと。さて、ウチの買い物はこれで終わり。蓮華と冥琳は欲しいモノないの?」
「え?欲しいモノ?」
「うん。一応お金持ってきてるでしょ?練習がてら買い物してみたら?」
「いいの?」
「もちろん。」
「じゃあ…何が良いかしら…」
「玄助。本は無いのか?」
「ここに本の取り扱いは無いなあ…」
「そうか…では何が良いだろう…」
「お菓子とかさ。飲み物とか…」
「ふむ…菓子や飲み物か…確かに手軽だが…」
「それにお菓子を含む軽食や飲み物なら車で移動してる時に消費出来るし…」
「なるほど。それは良いな。」
「じゃあ…私は飲み物にしようかしら…」
「私も飲み物にしよう。」
「せっかくなら知らない飲み物を試してみたいわ。」
「そうだなあ…お酒以外ならなんでも良いと思うけど…。あ、コレは?」
「なにそれ?」
「エナジードリンク。」
「初めて聞く名だな…」
「まあ…成分的には元気になるとか…眠気を抑えるとか…」
「なるほど…マムシ酒みたいなモノか?」
「それをもっと手軽にしたモノだね。」
「なるほど…勉強や集中したい時に良いのか…」
「そうだね。徹夜する人とかはよく飲んでるね。」
「へえ…色々あるのね…」
「そうだね。種類は沢山あるね。」
「玄助のオススメは?」
「うーん…コレ?」
「どんな味なのか想像出来ん…」
「まあ…クセはあるけど…慣れると美味いよ。」
「そこはこーひーと似ているのだな。」
「そうだね。コーヒーの成分も入ってるし…」
「なるほど…」
「そうね…私は…じゅーすにしようかしら…」
「ジュースなら向こうだね。冥琳はどうする?」
「私はコレを一本買おう。」
「じゃあ、冥琳はエナドリで、蓮華はジュースね。」
「うむ。」
「へえ…じゅーすも色々あるのね…」
「そうだね。えーっと俺はコレにしよ。」
「それは?」
「コレは缶コーヒーだね。でも凄く甘いかな…」
「へえ…甘いのね。貴方が飲めせてくれたこーひーは少し苦みがあったけど…」
「普通は少し苦みとかあるんだけど…コレは練乳っていうの使ってるから凄く甘いんだよ。」
「飲みやすそうね。」
「甘すぎると感じる人もいるからコレは好みだね。」
「なるほど…そう考えると…飲み物だけでもこれだけの種類があるんだものね…」
「ここにあるのはジュースとコーヒーだけだけど…アッチにはお茶とかあるよ?」
「まさか…お茶も色々あったり…」
「うん。その通り。」
「私…ここで数刻悩む自信があるわ…」
「なんでも選べるってなるとそうなるよねー」
「しかも安いじゃない…」
「まあ…そうだね…」
「貴方が大陸で天の商品を安売りしようとしてた理由が分かったわ。」
「値段が分かると大陸では高級だったんだなって思うよね。」
「でも大陸では玄助しか入手出来なかったもの。多少高級でも皆買うわよ。」
「それもそうか…」
「でもこれだけのモノを安価で売れるということはそれだけ国が繁栄している証拠よ。」
「それは確かに。俺も大陸では国の運営に携わってたしなあ…」
「貴方のお陰で十分国を繁栄させることが出来たわ。」
「俺なんて微々たるモノだよ。炎蓮さんが土台を作って、雪蓮が骨組み立てて、蓮華が外装って感じだったからね…」
「そう思うと…貴方って古参よね…」
「まあ…炎蓮さんの代からだから…」
「そこから姉さま、私、そして私達の子、孫。そこまで見てたのでしょう?」
「そうなるね。」
「そう考えると、それだけ生きて国に貢献したのだから葬儀は国葬でしょうね…」
「蓮華達の時も国葬だったよ。」
「貴方は見送るときはいつも笑顔だったわよね…」
「そりゃ、最後に見る顔が笑顔だったら幸せに逝けるだろう?」
「そうかも知れないけど…貴方を残して逝くのは不安だったわ。」
「俺は無駄に長生きしたからなあ…」
「お2人とも、そろそろ会計を…」
「おお、そうだった…蓮華は決まったか?」
「ええ、これにするわ」
そうして会計を済ませ車に戻り家までのドライブを楽しむのであった。




