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バレンタイン?

「ふんふん♪」


キッチンでは琴音が何か作業をしていた。ソレに気づいたのが蓮華である


「琴音?何をしているの?」


「あ、蓮華さん。今、バレンタインのチョコを作ってて…」


「バレンタイン?」


「あ、そっか…大陸には無かった文化ですもんね…えーっとバレンタインって言うのは、女性が主に、気になってる人とか、お世話になった人にチョコを贈るんです。まあ、特に男子がソワソワしちゃうイベントですね。」


「へえ…そんな文化があるのね?それで、なんで男性がソワソワするの?」


「えーっと、チョコには義理と本命ってのがあってですね…義理チョコは、まあ、友達とかなんとなく

で贈るチョコで、本命チョコは、恋愛として好きな人に贈るチョコなので、男子は女子から本命チョコを貰える可能性があるんじゃないかってソワソワしちゃうんです。」


「なるほど…そんな区別があるのね。」


「だから、今、チョコを作ってるんです。まあ、溶かして固めるだけですけど…」


「へえ…琴音にも気になる相手とか居るのかしら?」


「なっ!い、居ませんよぉ!ソレに私は女子校だし…男子と触れ合う機会も無いですし…」


「じゃあ、なんでチョコを作っているの?」


「それは、友達にあげたり、お世話になってる先生にあげたり…あとは、一応、お兄ちゃんとお父さんにも…」


「なるほど…そういうことね。」


「あ、そうだ。蓮華さんも一緒に作りましょう?きっと楽しいですし、お兄ちゃんも喜びますよ?」


「え、ええ!?わ、私も?」


「当たり前じゃないですかー。蓮華さんから本命チョコを貰ったお兄ちゃんはきっとビックリしますよ?」


「でも、その…失敗するかも知れないし…」


「お兄ちゃんがその失敗を笑うと思いますか?」


「うう…思わないけど…」


「だったら良いじゃないですか?それに、蓮華さんだけがお兄ちゃん手作りの本命チョコを渡せば、他の人には差を付けられますよ?」


「そんな…私だけ、特別扱いされるワケにもいかないわ。皆、玄助のことを愛しているし、玄助も皆のことを愛しているもの…」


「もう。それでも、独占したいって気持ちはあるでしょう?」


「そうだけど…」


「だったら、作りましょうよー。ソレに、きっと雪蓮さんは、驚きつつもニヤニヤすると思いますよ?」


「なんでそこで、姉さまが出てくるのよ!」


顔を真っ赤にしながら蓮華は叫ぶ


「えー…?雪蓮さんのことだから、「えー…?蓮華だけ?ずるいー!」とか言いながらニヤニヤしてますって。」


「なんだか、想像出来てしまう自分が居るのも複雑だわ…」


「でも、喜んでるお兄ちゃんの顔、見たくないですか?蓮華さんだけに見せる顔。」


この一言がトドメだった。蓮華は気合いを入れて、琴音の横に立つ。


「どうやって作るの…?」


「やった。蓮華さんも、作る気になったんですね。じゃあ、一緒に…」


その時、部屋で仕事をしていた玄助がやってくる


「んー…疲れたー…休憩…って、琴音と蓮華がキッチンに立ってるなんて珍しいな?てか、こんな中途半端な時間に何してるんだ?」


「あー…もう!お兄ちゃん、タイミング悪すぎ!乙女の秘密だよー?」


「いや、知らんがな…。てか、タバコ吸いたいんだけど?」


「キッチン以外にも吸える場所はあるでしょ?今日は違うところで吸って!」


「むう…そうか…。じゃあ、コーヒー買うついでにコンビニ行くか…」


「そうして。」


「はいよー。」


そうして、出かける玄助…


「さあ、これで、邪魔者は居なくなったので心置きなくチョコが作れますね?」


一仕事したような顔で蓮華に言う琴音。


「なんで、琴音はそんなに冷静で居られるのかが不思議だわ…」


「まあ、妹なので。」


「その一言で済ませられる琴音が凄いわ…」


「そんなこと言ったら、蓮華さんだって奥さんじゃないですか…」


「そうだけども…私はこういうのにあんまり慣れてなくて…」


「もー…折角、こうやって日本に来て、新しい経験が出来るんですからもっと楽しまないと損ですよ?」


ぷんすかと説教する琴音、その姿を見て蓮華は、雪蓮も自分のことをこういう風に見ていたんだろうな…と想像してしまう。なんだか、姉の気持ちが分かった感じがする。


「そうね…折角、コッチに来たんだものね…経験しないと勿体ないわよね…」


「そうです!」


「よし、じゃあ、琴音…教えてくれるかしら?」


「もちろんです!」


そうして、2人の乙女による、チョコ作りが始まった。

2人とも楽しみながら試行錯誤を繰り返し、チョコ作りに励むのであった。


そうして、バレンタイン当日…


「ずず…んー…今日はいい天気だなあ…」


「お兄ちゃん…ジジクサイ…」


「うるさいっての…いいだろうが…」


「もー…てか、お仕事は?」


「今日は休み。お前は?」


「学校だけど?」


玄助の前に立っている妹は制服姿である。


「ん。そか。気を付けて行けよ?」


「分かってますー。それじゃ、コレ。」


そういって、綺麗にラッピングされた袋を渡す


「ん?なんじゃコレ?」


「お兄ちゃん…今日は何月何日?」


「んー…?2月14日…って、あ…バレンタインか…」


「そういうこと。それじゃ、渡したからね?行ってきまーす!」


そうして、パタパタと居間から走って出て行ってしまう琴音…


「ふむ…まさか、アイツが用意しているとは…」


そう呟きながら、袋を開けて中に入っているチョコを一粒食べる


「ふむ…しっかりビター…俺の好みを完全に把握してやがる…」


妹の手作りチョコとコーヒーを味わう俺…そういえば…いつ、チョコなんて用意したんだろう…と思案していると…


「げ、玄助…?」


「ん?おう、蓮華。」


「あ、あのね…その…」


「ん?どうした?」


「こ、コレ…」


真っ赤になりながらも差し出されたのは可愛くラッピングされた袋…


「えーっと…これは…。はっ!まさか…」


「本命だから…。」


そう言って蓮華は無理やり玄助に押しつけて速足で去っていく


「本命…いや…そうだろうとは思ったけど…てか、絶対琴音の仕業だな…」


そう呟く玄助は少しニヤついてしまっていた。

そうして、大事そうに蓮華から渡された袋を持って自室に籠り、ベッドの上で悶えるのであった。

(ちなみに、蓮華も自分の布団の上で悶えていたところを何人かに見られており蓮華は質問責めに合うのであった)

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