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アッチとコッチは違うから…

孫呉のメンバーがコッチに来て数日経って…思ったことを言おう…広い広いと思っていた実家が狭く感じる…そりゃそうだ。なんてたって10人以上の人間がウチのリビング・ダイニングに集まってるんだからな…ちなみに、皆の寝床はウチの道場に布団を敷いて雑魚寝である…孫呉の重臣達にそんな扱いしても良いのか…と聞かれれば否と即答するのであるが…如何せん部屋が無いのだ。

ウチはご近所さんからはお屋敷だと言われているが、それは現代の日本に限った話しで…三国時代の城と同じように過ごすのは無理がある。郷に入っては郷に従え。と言う教えが先に爺様から皆にお達しがあったので皆も納得している。

そして驚いたことがいくつかあるのだが…今俺達が居る現代日本はどうやら俺の知っている日本とは少し違うらしい…。

パラレルワールドと言った方が馴染みがあるかも知れない。歴史が所々、違うのだ。

そして、その影響は三船家にもあり…起業した親父の会社は俺が知っている限りでは…中小企業程度のハズだったのだが…コチラでは、世界でミフネの名前を聞かない方がおかしいと言われるくらいの、超大手企業になっており、ネジの一本から人工衛星まで作る企業になっていた。そして俺は…そのミフネグループの中核を成すミフネ・コンツェルンの重役になっていた…。


「んー…混乱するなあ…。食い違いがあるのは仕方ないとは思ってたけど…歴史が違うんだもんなあ…。」


「玄助ー。ご飯よ。」


階下から俺を呼ぶ声が聞こえる。


「はーい。今行くよー。」


そうして、リビングに行くと…


「おおう…多いな…よっと…」


思い思いに座っている皆を避けながらいつもの席に座り


「では、いただきます。」


「「いただきます!」」


「ムグムグ…」


「ねえ…玄助…?」


「ん?なんだ、蓮華。」


「私達にコッチの文字を教えてくれないかしら。」


「確かに、蓮華様の言う通りだ。文字が読めなければこちらでの生活がままならん。」


「ふむ…しかし…俺は仕事があるし…」


「じゃあお母さんが皆に教えてあげるわ。」


「おお、お袋か。お袋は適任かも知れないな…」


「お義母さんが?なんで適任なの?」


「お袋は元々、学校の先生なんだよ。」


「学校…?」


「えーっと…私塾みたいな…。」


「なるほど…すみれ殿は、教育者じゃったのか。教わるには適任じゃな。」


「みんなもそれでいいかな?」


「異論はないな。」


「雪蓮と祭さんもちゃんと授業受けるんだよ?」


「分かってるわよー…」


「お袋もできるだけ優しく…な?」


「もう…お母さんを鬼みたいに…」


「かっかっか…すみれさんは教育となると目の色が変わるからのう…」


「もう…お義父さんまで…」


「ホントのことだろー?お袋は優しいけど…教育となるとそりゃ厳しくなるからなあ…」


「玄助まで…お母さんはそんなに厳しくないわよー。」


ヒラヒラと手を振りながら否定するが…俺は覚えているぞ…学生時代の地獄の猛勉強を…


「今の儂らには厳しいくらいが丁度良かろう…すみれ殿、よろしくお願い申す。」


「ふふ、雷火さんは教育熱心なのねー」


「てか、文官のみんなはヤル気ありそうだけど…」


「問題は…姉さまと祭よね…」


「まるで、私達が真面目に取り組まないみたいに言わないでよー…」


「いや…だって前科があるし…」


「そうだぞ雪蓮。我らは玄助の家に面倒になっている立場だ。勉学くらい真面目に取り組まないとな…」


「そうじゃぞ。雪蓮様も祭も…儂らがこちらに馴染む為にもの。」


「じゃあ…そうだな…お袋の授業を一定期間受けてそれから定期的に試験するとか…」


「あらあら…お母さんがやろうとしてたこと言われちゃったわ…」


「でも授業するなら…教材とか必要だよな…」


「100均とかで売ってないかしら…?」


「あるんじゃないかな…?ひらがな練習帳とか…」


「ひゃっきん?とは…何かしら?」


「えーと…100均って言うのは…大まかに…ジャンル…えーと種類かなーそうだな…簡単に言うと2銭くらいでなんでも買えるお店のことを言うよ。」


「2銭でなんでも買えるじゃと!?質の悪い物を取り扱っておるのではないか?」


「それが…質はそこそこ良いんだよ手軽だし…大きなお店だと食品から日用品まで揃えてて…」


「そのような店があるのか…実際に見たわけではないが…きっと凄いのじゃろうな…」


「んー…普通だよ?」


「2銭で物を売って普通なわけがあるまい。」


「まあ…確かにそう思っても仕方ないけどさ…俺達にとっては普通なの。」


「この国には色々あるんじゃのう…」


「うん。いっぱい知らないモノがあると思うよ?」


「そのためにはコチラの金銭事情と、値段、常識を知らねばな。」


「雷火さんの言う通りだね。でも値段を知るには読み書きが必須で…」


「そのための勉強じゃな。」


そうして孫呉の面々の勉強会が決定したのであった。俺はお袋から言われた必要なモノを揃えたりして、教材集めが意外と大変だったと今になって思う…。

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