天に昇る龍
第二作の幕開け!
俺は…そろそろ…逝くのであろう…と感じ始めたのはいつの頃だったか…。
この外史で精一杯生き抜いて…愛する我が子が生まれた時はそれは嬉しかった。
愛する人達との子どもが出来たことは一生忘れないだろう…
そんな愛する我が子も大きくなり、恋愛をし、結婚し、孫の顔まで見せてくれた…
そうだ…その時、俺は…やりきった。と思ったのだ…。
そして、俺は年寄りになったと実感したのだ…。
俺は…長生きしたな…愛する人を見送るのは辛かったが…笑顔で見送れた…。
そして…『あの頃』を知るのは俺だけになってしまった…
「かっかっか…。僥倖、僥倖…」
「お祖父様…何か良いことでもあったのですか?」
「なに…夢で神に会ったのじゃよ…」
「神様に!?天啓ですか?」
「さて、どうじゃろうなあ…」
懐からタバコを取り出し一服する…
「お祖父様…いけませんよ…お医者様から止められてるではありませんか…」
「老い先短い爺じゃ…これくらい許せ…」
「仕方ありませんね…お祖父様…それを吸ったら夕食ですよ。」
「おお…もうそんな時間か…」
「そうですよ。お食事はお部屋で召し上がられますか?」
「そうじゃのう…たまには皆で食卓を囲むのも良さそうじゃ…食堂へ行くかの…」
「っ!?わ、分かりました。ではお手を…」
「おお…すまんな…」
すっかり大きくなった孫に手を貸してもらい食堂へ向かい…家族と一緒に食事をし、自室に戻り着替える…そう、真っ白な死装束に着替え、寝台へ入ると…すぐに瞼が重くなる。
嗚呼…俺もようやく逝ける…愛する皆の元へ…
そうして満月の夜、月に向かって登る龍が多数目撃され、翌朝、天の御遣い 三船 玄助 の死亡が確認された。
~20✕✕年 日本 某日某所~
「ん…んん…?はっ!」
がばりと身体を起こすと…元気な身体になっていた…いや、正確には…若い頃の俺…?
「あれは…夢だったのか…?いや…そんなワケない…」
そうあれは現実、間違いなくリアルだった…
「あれ?でも…俺って死んだから、アッチの世界に行ったのになんで生きてるんだ?」
ワケが分からん…色々と混乱していると…枕元のスマホがバイブする
「ん?電話?って神だと!?も、もしもし?」
『やあ…我だ。』
「やっぱり…。」
『気分はどうだい?体調に違和感や不具合は無いかい?』
「体調は万全だけど…なんで俺は生きてるんだ?こっちでは俺死んだハズだよな?」
『ああ…それなら我が干渉してキミが生きている世界線にしたからだ。鏡で確認すると良いよ。キミの額に大きなキズがあるから。』
「えーっと…鏡…。お、ホントだ…。ってンなことはいいんだよ!皆は?」
『彼女達なら…コチラの世界に来ているよ。』
「本当か!?」
『ああ、我が転移させた。しかし…全員はさすがに無理でね…連れて来れたのは呉のメンバーだけだよ』
「それだけでも…俺にとっては最高だ!んで皆はドコに?」
『そろそろ来るんじゃないかな?』
「は?来る?」
その時、ドンドンと玄関のドアが力強く叩かれる音がする
『来たみたいだね。迎えてあげるといいよ。』
その一言を聞いて俺は電話を切り、玄関まで走って行く。そしてガチャっとドアを開けると…そこには…
「「玄助!」」
「み、みんな…」
そこには、愛した人達が居た…あの頃の姿で…そのまま感動の再会になるであろうとしたところに…
「あらあら…どちらのお嬢様方かしら…?」
「あ、お袋…」
「玄助…?お客様なら上げてあげなさい?」
「あ、ああ…みんなとりあえず上がって?あ、靴は脱いでな?」
「お母さんが案内しておくから、玄助は着替えて来なさい。」
「了解。」
そうして自室に戻り急いで着替え、下に降りると…
「ふぅむ…皆、玄助を頼って来た…と…」
「はい…」
蓮華が爺様、婆様、お袋に説明していた。
「玄助。そこに座りなさい。」
「あ、はい…」
「どういうことじゃ?」
「えーっと…かくかくしかじか…」
事の顛末をかい摘んで説明する…
「ふむ…性別の逆転した三国志の世界のう…」
「その上、こちらのお嬢様方、全員と結婚し、子を成したと…?」
爺婆の2人が皆を見ながら確認するように呟く…
「はい…」
「ふむ…なるほど…にわかには信じられんが…。」
「そうですねえ…私も信じられません…どうしましょうか…おじいさん?」
「そうじゃのう…三国の武将や軍師と言うなら…」
ゾワっと爺様の気が膨らむ。そして、ソレが殺気に変わる瞬間、皆は動いた。武将の全員が爺様に向けてクセで臨戦態勢を取ったのだ。
「かっかっか…これはホンモノじゃのう…これほどの殺気が出せる者は滅多に居らん。」
「あ…つい失礼を…」
そう言って蓮華が皆をたしなめる。
「玄助のお祖父様って結構強そうねー。」
「強そう。なのでは無く強いのじゃよ。お嬢さん。」
「ホント?もしかして玄助を鍛えたのって…」
「ワシじゃよ。」
「玄助とどっちが強いの?」
「おいおい…雪蓮…」
「ほう…お嬢さんの名前は雪蓮ちゃんと言うのか。」
「あ…。ちょ、みんな待って!」
爺様が雪蓮の名前を呼んだ瞬間、一気に殺気で満ちた
「おお、怖い…ワシは何か失礼でもしたかのう…」
「みんな…こっちでは真名の風習は無いんだよ…。ゴメン爺様…俺が説明不足だった…」
そうして真名のことを説明する。
「そうじゃったのか…すまんかったのう…」
ペコリと雪蓮に頭を下げる爺様…
「あはは…大丈夫だから…私達も失念していたもの…。ねえ。皆。」
「確かに策殿の言う通りじゃ…儂らの方こそ失礼した…」
祭さんを始め粋怜、雷火さんと宿将達が先んじて謝罪する。
「しかし…それではお嬢さん方をなんと呼べば良いのかのう…。ワシは三船家当主、名を将之助じゃ。隣りに座っとる婆はワシの妻。名を…」
「つる、と申します。」
「んで、こっちが俺のお袋の…」
「三船 すみれです。」
「あ、よろしくお願いします…。コホン…私は…」
「私は、孫 伯符。真名は雪蓮。よろしくね?お爺ちゃんにお婆ちゃん。それに…お義母さんも。」
「ほう…?真名まで許すとはのう…。こりゃワシの負けじゃのう…かっかっか…。すまんかった。」
「謝罪ならさっき受けたわよ?お爺ちゃん。」
「いや…雪蓮ちゃん達を試すようなことをしたからのう…。」
「あはは。お爺ちゃんは律儀ねえ…そんなこと良いのに。」
「ね、姉さま…その辺りで…」
「ふむ…雪蓮ちゃんを姉と呼ぶお嬢さんは…孫仲謀か孫尚香かね?」
「はい。私が孫 仲謀です。真名を蓮華と申します。」
「はーい。私が尚香だよー。真名は小蓮。気軽にシャオって呼んでね?お爺ちゃん。」
そうして、雪蓮や蓮華が真名をウチの家族に教えたので他のメンバーが教えないというワケにもいかず…自己紹介タイムが始まってしまった…その光景を見ながら、俺は家に帰ってきたという実感と、この状況はカオスだな…と思ってしまった。ちなみに、親父は仕事から帰ってきたら美人・美少女だらけという現実に直面した結果、フリーズし、俺達から詳細を聞いて大混乱していたが、お袋から、義理の娘が増えるだけだ。という簡単な説明で納得してしまった。
さてこれから現代日本に孫呉のメンツは馴染めるのでしょうかね…