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第149配信 GTR 3日目 何事も程々が丁度良い

 天堂遙香の攻略を開始した。ゲーム内時間では四月からスタートして三月にエンディングを迎える。

 攻略期間は一年と長丁場で大抵のヒロインは夏休み前後辺りで付き合い始めるのだが、遙香はゴールデンウィークに突入する頃に付き合い始める。


「遙香は主人公の幼馴染みでゲーム開始時点から好感度マックス状態だからな。ちょっと会話しただけで好感度がK点超えして彼女化するんだわ。それ故、遙香以外のヒロインを攻略する時は彼女に塩対応しないといけないんだ。これが心痛むのよ」


『ゲーム開始直後に攻略完了とか草。それで遙香とはほぼ一年間イチャイチャする訳デスネ』


 会話はスキップするからストーリーが分からないので覚えている範囲で説明する。

 天堂遙香は主人公の幼馴染みで彼に好意を抱いていたが小学生の頃に引っ越してしまった。物語開始の直前に師走市に戻ってきて主人公と同じクラスへと編入し恋心を再燃させる。

 遙香は茶色いロングヘアで物腰が柔らかく美人。しかもスタイル抜群といった王道のヒロインオブヒロイン。そんな子が健気にアピールしてくるのだ。好きになっちゃうこと必至。

 上級生発売当時は遙香の可愛さを前に他のヒロイン攻略を断念するプレイヤーが続出したとかしないとか……。彼女以外のヒロインも魅力的な子ばっかりなので、上級生は今も至高のエロゲーとして語り継がれているのだ。


『初デートが終わったみたいデスネ。今回はこれでキスでもして帰宅する流れデスカ?』


「ところがどっこい、これからラブホ行って初エッチします」


『エエッ!? 一回目のデートでいきなりヤるんデスカ? セシオちょっとスケベ過ぎるデショ』


「スキップで会話内容が分からんから補足すると、セシオはキス出来たらいいな~みたいに思ってたんだけど、デート終わりに遙香がまだ帰りたくないって言うんだよ」


『遙香……最初から初デートでキメる気だったんデスネ。さすがメインヒロイン、覚悟が違ウ』


 遙香の覚悟ガン決まりにセシリーが感心しているとゲーム内では場面がラブホに移った。ゲーム開始してから十分も経過していないが、とうとうこの瞬間が訪れてしまった。

 取りあえず一旦ここでストップしてセシリーに確認する。


「あのさ、本当にエッチシーン見るの? 気まずいよ。本当に見るの? スキップしようよ」


『まだそんなこと言ってるんデスカ? 遙香がどんな風に乱れるのか、それを見届けるのが私の義務! ワンユウ様、我々も覚悟を決める時デス』


「分かったよ……それじゃ、スキップ解除するぞ」


 遂にセシオと遙香のラブシーンが始まった。キスから始まり、その内容もフレンチからディープなものになっていく。その流れでセシオは遙香の身体に手を伸ばし、あれよあれよという間に下着姿になった。

 セシリーは時々「おおっ!」と声を上げながらポテチを食べるスピードに拍車が掛かる。よくエロシーン見ながら食べられるなぁ。


 セシオにキスされ触れられた遙香から甘い声が漏れ出し感極まった声が出る。それを境に攻守交代。今度は遙香がセシオに口撃を開始。そして一糸まとわぬ姿になっていよいよ本番。二人はめでたくお初を迎えた。

 

『セシオ君、あたしずっとあなたの事が好きだったの。だから今、あなたと一つになれて凄く嬉しいの。これからもずっと一緒に居てくれますか?』


『く……うう……遙香……ハルカァァァァァァァァァッ!! 一体何なんですか、このめっさ可愛い女の子ハァァァァァァァァッァァァァァ!! こんなん惚れてまうヤロォォォォォォ!!!』


 遙香の一途な想いを目の当たりにしてセシリーが限界化した。

 こうしてセシオと遙香の初エッチが終わり、その後の逢瀬の際もセシリーは彼女に夢中になり彼氏ムーブをかましていた。

 俺たち二人が見届ける中、エッチシーンの遙香の反応がどんどん淫らになっていき、終盤ではすんごいオホ声がバンバン発せられていた。


『私の遙香が三十分の間にビッチになっちゃったんですケドーーーーーーー!! ゲーム内時間で半年の間に初心うぶだった子がこんな変化を遂げるなんて誰が想像できマシタ? ――ハッ! ワンユウ様はこうなるって知ってましタネ?』


「うん、そうね。知ってたよ。このゲーム、女の子の反応が最初は初々しいんだけど、回数重ねていくと激しくなるんだよ。一応こういうのが苦手なプレイヤーの為にソフトな反応に変更できるけどそうするか?」


『それってつまり最初の頃の初心な遙香ボイスになる……ト?』


「そうそう。セシリーはその頃の遙香が気に入ってたろ」


『それはまあ確かニ。最初の遙香の反応が特に可愛かったんデスヨ。本当にあの頃の遙香に戻せるんデスネ?』


「戻せるよ。それじゃ設定でソフトな反応に変更するからね」


『だが断ル!』


「なにっ!?」


『遙香の変化をありのままに受け入れてこそ本物の彼氏と言えるじゃないデスカ。それに段々このビッチ遙香も普段のギャップも相まってエロ可愛く思えてきまシタ。設定はこのままで行くぞ、ジョ◯ョー!!』


 こうして段々エロくなっていく遙香を受け入れたセシリーは、その後のシーンもしっかり見届け一際激しいシークレットエッチも楽しみ、残すはエンディングのみとなった。


『既にセシオと遙香の絆は固くハッピーエンドは間違いないでしょうが、どんな形でエンディングを迎えるのデスカ? あ、ネタバレ気にしないノデ』


「物語の冒頭で学校にある伝説の木の下で愛を確かめ合うと永遠に幸せが続くという話があったろ」


『そう言えばそんな伝説がありましたネ。その設定すっかり忘れてマシタ。なんなら今初めて聞いた気がシマス。その木の下で何かするのデスカ?』


「その木の下で……野外プレイしてエンディングに突入です」


『そんなサイテーなエンドロール聞いた事ネーヨ!!』




 本当に最低なエンドロールによって遙香編が終了した。セシリーは遙香ロスに陥り抜け殻のようになってソフトドリンクを煽っていた。


『遙香ァァァァァァ! 私はこれから何を楽しみ生きていけば良いんだヨォ。ごっ、ごっ、ごっ、うくっ、ハーーーールカーーーーーーーーー!!』


「いい加減気持ちを切り替えなさいよ。まだ十人中一人クリアしただけなんだぞ。遙香はその中でもかなりボリュームが多い方だから、この後のヒロイン達の攻略は早まるが……二週目勝手に始めるからな!」


 遙香のクリアデータを使って二週目攻略を開始。遙香と双葉姉妹以外のヒロインの好感度を同時に高める。今回の攻略では各調整が難しい。何せバイトしてお金を稼いで各ステータスを上げる作業も同時並行で行わなければならない。

 しかも主人公は何か行動する度に体力を消耗し、これが低くなると体調を崩して一週間行動不可能になる。適度に休息も入れないといかんのだ。


 二週目開始早々にメインヒロイン天堂遙香が出てきて一緒に帰ろうと誘ってきた。一週目は悩むこと無く受け入れたが、今回は断らなければならない。


「えーと、『ごめん、約束があるから』……と」


『遙香!? また逢えた遙香ァァァァァァ! ワンユウ様、なに断ろうとしてんデスカ。可哀想でしょ、一緒に帰るんデスヨ!!』


「アホか! そんな事したら遙香ルートに突入するって最初に説明しただろうが! 他のヒロインの攻略に支障が出るんだよ。心を鬼にして遙香の誘いを断り続けないといけないの!」


『そ、そんなぁ……遙香の……私の嫁の誘いを断って……あんなに一途に想ってくれている遙香を捨てて他の女にうつつを抜かすなんて……死んだ方がマシダーーーーーーー!!』


「うるせーよ!! 耳元で大声出すな! 耐えられないなら向こうでポテチ食ってジュース飲んでろ。全員攻略しないとここから出られないんだ。やるしかないんだよ!」


『ワンユウ様、あんたに人の心は無いんカ? この人でナシーーーーーー!!』


「あーもう、うっせえ、うっせえ、うっせーわ!!」

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