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第127配信 GTR 2日目 胸囲の格差社会inプリズン

 俺の存在に気が付いたキャバクラ怪盗チームとギャングチームがランニングマシンから降りてこっちにやって来た。

 皆、ジットリと汗をかいていて健康的なセクシーさを感じる。


『見てくださいよ、ワンユウ様。どいつもこいつもノースリーブインナーから乳放り出して、汗が谷間に溜まっていマス。どいつもこいつも良い乳してやがルゼ。ちなみに猫とネクロマンサーは例外な模様』


「セシリー、今の聞こえていたニャ! 我は外見が猫だからそもそも汗かかないだけだし、元々の豊かな胸が反映されていないだけニャ。けっして絶壁な訳ではない!!」


「ずるいよ、サターナ。そんな事言って自分だけ貧乳扱いから逃げる気!? シャロンだってねぇ、その気になれば谷間に汗溜められるんだよ! 見てろよぉ……ぬ……ぐぉ……おぉ……!!」


 セシリーの挑発に乗ったネクロマンサーのシャロンが胸を寄せ始める。頑張って寄せてはいるのだが、一向に谷間は出来上がらない。見ていて辛くなる。もうやめてよぉ……。


「く……そぉ……ネプーチュ、お願い……シャロンの背中の肉を胸の方に移動させて! 力を貸して!!」


「イエス、マム! それじゃあ、いきますよぉ。痛覚エンジンで痛みがあると思いますけど頑張ってくださいねぇ。――ふんっ!!」


「イダダダダダダダッッッ!!! ぐっ、がぁ……まだ、谷間が……ネプ、遠慮しなくて良いから……もっと……もっと、せな肉を胸に持ってきてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


「ぐぐぐぐぐぅ……シャロンパイセン、せな肉が足りませんよぉ。こうなりゃけつ肉を移動させてぇ……っしゃおらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


「イッダダダダダダンダダンンンン!!! クッソォォォォォォ、これでも谷間が出来な……何故だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 もうやめたげて……誰か止めてあげてよぉぉぉぉ!! もう見てらんないよ。背中の肉と尻肉、その道中の色んな肉をかき集めても谷間が出来上がんないんだよぉ。


 意地になったシャロンと一生懸命に彼女の肉を胸に移動させるネプーチュの姿が痛々しい。ギャング仲間のノームとサターナは必死な二人に感情移入して泣いていた。

 どうすんだ、この空気。笑うに笑えねーよ。そんなカオスな状況の中でクスクスと誰かが笑っていた。聞き覚えのある、この声の主は――。


「なーにやってんすか、シャロンせんぱーい。そんな努力しても無駄ですよぉー。谷間が欲しいんなら、ルーのおっぱいを揉ませてあげますよ?」


 ルーシーがこの悲壮感漂う空気をぶち破ってシャロンを煽り始めた。一見KYな発言とも取れるが、これは多分……。


「そうしたら、ルーのGカップ細胞がすこーしだけ移動してシャロン先輩の絶壁にも変化が……あだだだだだだだ!! ちょ、急に思いっきり胸鷲掴みすなーーーーーーーー!!」


「じゃっかしぃ!! 今お前が乳揉めと言ったんじゃろがい! だったら遠慮無くその乳もいでシャロンに移植するぅ。そしたらシャロンはGカップ巨乳のネクロマンサーとしてシャロリスの皆を……サンプル達をセクシーでもって蹂躙する!! ナイスな展開じゃあないか!!!」


 サンプルとはシャロンのファンネームな訳だが、多分彼等はシャロンに巨乳を求めてはいない。シャロンだってそれは十分理解しているだろう。

 とにかく事態収拾の切っ掛けはルーシーが作った。あとは落とし所が必要だ。


「セシリー、行ってこい。お前が始めた戦争だ。お前なら自体を収拾できる」


『合点承知! 少々戦火が広がり過ぎてしまったようデスネ。私が終わらせてきマス』


 セシリーが俺の肩から飛び降り乳をもぎ取ろうとしているシャロンのもとへ駆け寄っていく。


『へいへーイ、そこの貧乳ネクロマンサー! そんなワンユウ様のアレな液体が染みついたパイオツを奪おうなんて正気デスカ? 私だったら死んでもお断りデス。もっとも私はデフォルトで谷間がある巨乳だケドナ!』


 あのバカは戦火を広げに行ったのか? しかも何気に俺を巻き込んでるよね。あれあれあれ? 何か殺意が芽生えてきちゃったなー。

 きっとこけにされたシャロンだって激怒するだろう。血みどろの戦いが始まるハズ……おや? 何か予想と違う雰囲気に……あ、シャロンがルーシーの胸から手を離した。


「え……と、うん……ルーシー、ごめんね。やっぱいいや。いいね、Gカップ。あったかくて柔らかくて最高の揉み心地だったよ。ごちそーさま」


「シャロン先輩……もしかして、セシリー先輩にその、液体云々言われて……引いたりとかした?」


「いやいやいや、チガウヨー! まさかそんな、ねえ、そんなじゃなくてさぁ、ほらアレだよぅ。貧乳とか巨乳ネタでこれ以上引っ張るのもアレだしぃ? 運動して汗かいたし喉渇いたしぃ……皆で飲み物でも飲みながら談笑しようかなって思ってさぁ。そんな感じでワイワイやってる間に刑期が終わってここから出られるだろうしさー。ねぇ、皆もそう思うよねー?」


 不自然にまくし立てるように喋るシャロンに対しルーシーと戦犯セシリー以外の皆が苦笑いしている。

 明らかに気を遣っている。だって皆、俺の方を直視しようとしないもの! 時々気まずそうな表情でこっちをチラ見してるもの!!

 あれ……? 何かおかしいな。目から何か熱いものが出てくるんだけど。指でその熱いものに触れると透明の液体が付着する。俺……泣いてる?


 俺の涙に皆が気づき再び現場が微妙な雰囲気になる。コメント欄でもリスナーが俺に優しいコメントを打ってくれていた。俺の液体は汚くないよって言ってくれている。その気遣いが余計に惨めな気分にさせ……うっ……うぐっ……。

 そりゃあさ、シャロンの立場だったらそう思うよ。見知らぬ男のアレな液体とか生々しい話題になったらドン引きするのはさ。でもさ、でもさ、そんな汚物兼腫れ物みたいな扱いされるとさ……悪い、やっぱつれーわ。


 ブルーな気分になっているといつの間にかセシリーが肩の上に戻ってきていた。俺の顔を見上げながらサムズアップする。


『ドンマイ!』


「……」


 いつか……いや、今すぐこのクソ酒カスAIを亡き者にしようそうしよう。――さて、どうしてくれようか。

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