第124配信 GTR 2日目 天使発情中につき
時間は間もなく午後四時。GTRぶいなろっ!!サーバーの二日目が開始される。その前に陽菜と月にAINEで連絡を取った内容がこれだ。
ダブル天使とお付き合い中、なお裏切りは地獄逝き
ワンユウ:二人共GTR初日お疲れさま。あれからゆっくり休めたかな? 俺がファイプロスタッフとしてGTRにログインするのを黙っていたのはすまなかった。二日目以降も陽菜と月と皆がGTRを安全に楽しめるように努めるのでよろしく
陽菜:優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん優さん、早くGTRで逢いたいですぅ!!!! アァーーーーーーーーーン!! もう我慢できまひぇん!!!
月:スラッシュ&マジックじゃ見回りをしていたからもしかしたらとは思っていたけど……ふふふ、面白い事になってきたわね。初日は優と直接関わりは無かったけど二日目が今から愉しみ! GTRじゃバ美肉みたいだし、どうやって弄り倒してあげようかな? ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……!!
ワンユウ:ちょっと待って!! 二人共ちゃんと配信するつもりある? 大丈夫!?
陽菜:もうらめかもしれまふぇん。優さんと配信デート出来るかと思ったら我慢できないかも……
月:大丈夫な訳ないでしょ! 十日間逢えないと思っていたのに毎日逢えるなんて愉しみしゅぎりゅううううううううううん!!!
ワンユウ:と、とにかく俺はGTR中に仕事があるのであまり関わらないようにしようね。頼んだよ
陽菜&月:それはムリ
二日目開始前から不安しかないよ。このままだと配信で恐ろしい事が起きてしまうかもしれない。二日目のスタートは出島署の留置所に送られるところからだ。陽菜――ガブリエールが近くに居るのでいきなり危険度マックスの状況から開始される。
そんな不安を抱きつつ午後四時になったのでログイン開始。気が付くと出島署の敷地内にある留置所の出入り口に居た。
「ここは出島署か。とっとと留置所で刑期を終えて自由の身にならないと――」
言い終わらないうちに何かが俺に勢いよくぶつかり地面に押し倒される。まさかこんな場所で事件に巻き込まれたとでもいうのか?
「ハァ、ハァ、ハァ、ワンユウさん、ワンユウひゃん、ワンユウひゃぁぁぁぁぁぁん!!」
「なっ……ガブ!? ちょ、やめ……止めてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「そいつぁ無理な相談ってもんです!! こっちは十日間のワン禁を覚悟してのGTRだったのにカモがネギしょってやって来たんですよ! もう食べるしかない!!!」
「く……そ……このままじゃ、マジでセンシティブ案件でBANされる!! 悪いがここは多少傷つけてでも……あれ? 振りほどけない!? なんつーパワーだ。誰か助けてぇぇぇぇぇぇ!! ヘループ、ポリスメェェェェェェェェェン!!!」
「メンではないですけど、まんを持ってる警察官です。それでは実食!!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! アイドルVTuberがそんな酔ったおっさんの様な下品な言葉遊びすなーーーーーーーーー!!!」
目を血走らせたガブが仰向けになっている俺に馬乗りになって服を引き裂いた。本当にどんな腕力してんの?
「いヘヘヘ……綺麗で華奢な身体ですねぇ。肌なんてきめが細かくて、本当に今は女性になっちゃってるんですねー」
ガブが指の腹で俺の肌を軽く撫でる。羽毛の先で触れられたようなくすぐったい感触に身体がビクッとなる。その反応を見てガブは妖しい笑みを浮かべていた。
「ふふふ、可愛い。今のフェザータッチで気持ちよくなって反応しちゃいましたぁ? もっとゆっくりじっくりフェザータッチ……略してフェチってあげますね」
「完全に自分を見失ってる! 落ち着け、ガブ。こんな事をして、ガブリスの皆がどう思うか……皆、お前に幻滅するぞ。それでも良いのか!? ――あっ」
コメント
:幻滅? むしろ興奮してるんだが
:リアルカップルの仲良しを見せて貰おうではないか
:続けてくれて構わんよ
:はよ! 続きをはよ!!
:焦るな! まだ全裸待機が済んでいないんだ。くそっ、こういう時に限ってパンツが脱げ……あっ!?
:全裸待機完了! 軍曹、二等兵、準備はどうか?
:隊長、勿論完了しております!
:こちら二等兵、全裸待機完了。オーバー
:おおー、珍しく軍人三人組が万全の状態で待機しとる。明日は雪だな
:女の子総帥とガブちゃんの絡みとは色んなヘキが覚醒しそうでござる
:総帥の花が散る瞬間を皆で見届けるぞーーーーーーー!!
:おーーーーーーーーーー!!!
「ちっくしょーーーーーーーーー!! ガブリスは……使徒共は何でもウェルカムかい!」
「さあ、ワンユウさん。皆も見届けてくれるみたいですし……イチャイチャタイムとイキましょ。ハァ……ハァ……どっから責めよっかな。よりどりみどりで迷っちゃうなぁ」
マウントを取ったガブリエールが身体を密着させながら顔を近づけてくる。二日目開始早々にBANされるのか?
諦めかけた時、留置所の扉が開いた。人の気配がする。誰かが来たんだ。誰でも良い、助けてくれ。
「済みません! お願いします。どうか助けて……え?」
留置所の出入り口から出てきた人物の姿を見て何度も瞬きをする。
そこに立っていたのはまるでSM嬢の如くセクシーなボンテージ衣装に身を包み鞭と妖しいアイマスクを身に付けたヤバい人物だった。
「へ……変態だーーーーーーーーーーーー!!!」
「変態とは失礼だな。そういうお前こそネカマの変態ではないのか?」
「これは仕事の都合でこうしているだけであって俺にネカマの趣味は無い!!」
声を聞いてその人物の正体が判明した。三期生のドM担当ホロウ・ティルヴィング。警察関係者はどいつもこいつも頭がおかしい連中ばかりだ。
初日は警察組のホロウ、エルル、シャルルの三人に会えなかったが、その内の一人がここから出て来たという事は留置所にいたからか。
アイマスク越しにホロウがガブを見下ろすが彼女は視線に気が付かないまま俺を襲い続けていた。
「いへへへへ! そう言えば生身の弱い部分ってアバターも同じなんでしょうか? 確かめてみますねぇ」
ガブはペロッと舌なめずりすると顔を俺の胸元に近づけてくる。アカン! そこは弱いから本当にアカン!
俺が必死にジタバタしているとホロウが呆れた顔で鞭を取り出し地面を打った。その激しい音でガブは我に返り周囲を見回す。
「……私は一体何を?」
「ようやく正気に戻ったか。私としてはもう少し見物していたかったのだが、さすがにこれ以上は配信継続の危険があったのでな。許せ、ガブリエール」
「ホロウ先輩? ……あ、ワンユウさん? 私もしかして、またやっちゃいました?」
「……気にしないで良いよ。こんなの日常茶飯事だから。ただ配信ではやらないように気をつけてね」
「お前たちはこういうプレイを普段からしているのか? ごくっ、それは凄いな」
さっきまで氷の様な雰囲気だったホロウが興奮して俺たちを見ていた。
このガブとのやり取りで色々と何かを失ったような気がして目からは涙がこぼれ落ちていた。
 




