第121配信 GTR 1日目 青春のちエロそして星人
キャバクラ怪盗三人娘のメルア姫、セリーヌ、ネプーチュによるシロップ作のラブコメ朗読劇は実に見事な物だった。
作者が作者なのでしょうもない内容だと思っていたら王道ラブコメ展開だったので嬉しい誤算だ。GTR初日のエンディングを飾るのに相応しいイベントだと思う。
「シロップさんの作品、幼馴染み同士がもの凄く好き合っていてキュンキュンしちゃいました。ふぁ~、やっぱりラブコメはハッピーエンドに限りますね」
『うふふ、満足されたみたいで良かったですわ。そんな皆様に朗報です。実はこの作品には後日談があります。それをこれからやりますわ』
『その通りぃ! もうちょっとだけ続くんじゃ』
何だか本当に終わるのか不安になる台詞が……。まさか、ここまでの百二十話を超える話数で幼馴染みステップアップの物語が続いたりしないよね?
それに何だか嫌な予感がする。俺の第六感が全力で危険信号を出している。この後日談にはしょうもない何かがあるような気がしてならない。
それこそ、この王道ラブコメの甘酸っぱさを台無しにするような――。
「ガブ、頼みがあるんだけど良いかな?」
「はい、何でしょう? お風呂でもご飯でも私でもどれでもすぐに準備出来ますけど、お勧めは三つ目です!」
「もう倒そう」
『ガブリエール様の誘いを完全スルーしてて草』
「ひ、酷い! でも、こんな風にあしらわれるのも悪くな……って、何言ってるんですか!! これからナツキ君とシオンちゃんのカップル成立後のお話があるんですよ? それを聴く前に倒すだなんて……」
ガブリエールは断固拒否の姿勢。モニターに映るサリッサとクロウも後日談を聴きたいらしく<パピヨンロボ>を倒そうとする者はいない。そんな中、遂に後日談が始まった。
ナレーション:ナツキとシオンが付き合い始めてから三日後。一緒に下校中だった二人は突然の大雨に打たれナツキの家へと到着した
ナツキ:まさかいきなり土砂降りになるとは思わなかったな。シオンは大丈夫か……って、おわっ!
シオン:ちょっ、こっち見んな!!
ナツキ:ご、ごめん。今タオル持ってくるよ
シオン:ありがと……
ナレーション:シオンの制服は濡れた事で透けてしまい下着が見えてしまっていた。タオルを持ってきたナツキは彼女の方を見ないようにしながら手渡す。シオンは顔を赤らめながらタオルで濡れた身体を拭いていき、それが一通り終わると胸の部分をタオルで隠しながら言った
シオン:さっきはごめんね。タオル助かった
ナツキ:うん、いや……そのごめん
シオン:それはつまり……見ちゃったってこと?
ナツキ:少しだけだよ! ガッツリは見てないから!!
シオン:ムキになって否定するのが怪しいんですけど……ふふ
ナレーション:家の中は薄暗く雨音だけが響いて、まるで世界には二人だけしかいないような雰囲気になる。先日幼馴染みという関係から恋人へとステップアップした事でナツキは以前よりもシオンを女性として意識するようになっていた。思春期故の異性への強い興味、性欲、濡れた身体、二人だけしかいない密室。それらがない交ぜになって彼の劣情を刺激する
ナツキ:雨が止んだら家に帰れよ
シオン:んー、どうしようかな。うちの両親、今いないんだよね。今日から二泊三日の旅行に行ってるの
ナツキ:なんだって!? それは……
シオン:焦ってどうしたの? もしかして今日はナツキのお母さんは夜勤で家に居ないとか? お父さんは単身赴任中だから居ないし、ね
ナツキ:お袋が今日居ないって知ってたのか?
シオン:アタシ、アンタのお母さんと仲いいからね。アンタが馬鹿やらないように見張っておいてって頼まれちゃった。だから今日は一晩中見張ってようかなって。特等席で……
ナツキ:はぁ!? それはさすがにマズいだろ!!
シオン:何がマズいのかなぁ? アタシにイケない悪戯でもしちゃいそ?
ナツキ:お前は何言って――
シオン:シてもいいよ、イ・タ・ズ・ラ。今日はそのつもりでいたし。だから今日は勝負下着を着けてきたんだけど見られちゃったよね。ピンク色の可愛いやつ
ナツキ:あれ、黒いのじゃなかった?
シオン:ふふっ、やっぱりしっかり見てたんじゃん。このスケベ
「……これ、配信で流して大丈夫!? ってか、ナツキ役のセリーヌとシオン役のメルア姫も、これ以上演じて問題ないの? これは、このままいくとほぼ確実にエロ小説になるヤツ!!」
「二人って付き合い始めて三日目なんですよね。もの凄いスピードでステップアップしてる。それに比べて私は……あ、何でもないです」
ガブが何か言いかけて引っ込めた。そりゃそうでしょうよ。俺と彼女の場合は互いの正体が判明して翌日にはスーパーステップアップしたからなぁ。人のことは言えない。
ナレーション:二人は入れ替わりでシャワーを浴びて冷えた身体を温めるとナツキの部屋へと移動した。互いに身に付けているのはバスタオル一枚のみ。ナツキはシオンを優しくベッドに横にすると身体を重ねた
シオン:ねぇ、ナツキ。電気……消して。さすがにちょっと恥ずかしいよ
ナツキ:う、うん……
ナレーション:部屋の照明が消えると室内は薄暗くなる。目が慣れてくるとナツキは頭が沸騰しそうになるのを必死で抑えながら丁寧にシオンの身体に触れていった
シオン:ん……ふぅ……んん!
ナツキ:痛かった?
シオン:ううん、大丈夫。優しくしてくれてありがと。ね……ナツキ、お願いがあるの
ナツキ:お願い?
シオン:アタシ欲しいの……ナツキの……
ナツキ:オレの……?
セ〇ポ星人:バナナをください
ナレーション:おしまい
「クソだらぁぁぁぁぁぁぁ!!! やっぱりじゃん! 最後の最後でやってくれたよ。よりによってセル〇星人で締めるとかさーーーーーー!!」
「あわわ……甘酸っぱいラブストーリーが……爽やかなラブが……最後にコッテリした後味に……うぷ」
『最後に〇ルポ星人が出てきた事でまるでナツキがセルポ〇人を押し倒しているような状況になりましたネ。朝四時にこのコッテリ感はさすがに胃がもたれマス』
ガブは勿論サリッサとクロウもモニターの向こうでうな垂れていた。幼馴染みラブから始まりエロ小説っぽくなった末のセルポ星〇だからね、胸焼けは必至。
『うふふ、皆精神的なダメージが丸わかりですわね……ぐふっ! 覚悟はしていましたが、やはりこのラストはこちらにもキツいですわ』
『かふっ、ぐふっ、ごふっ! ナツキ役にとってはショッキングなラストだからきっついわぁ』
『最後の一言で作品の雰囲気がここまでひっくり返される何て思わなかったぁ。……ぐすっ』
「この短編小説で皆ダメージ受けてるじゃないか! こんな事になるなら付き合い始めた所で終わりにしておけば良かったんだ」
『オタ子さんの言う事はもっともですが、それではこの物語を提供して頂いたシロップさんに申し訳ないですわ。中途半端が一番よくありませんから』
メルア姫の返答を聞いてライバーのプロ意識を見せられたと思った。
普段はエロゲーとかエロい事ばかりしている破天荒な人なので常識があるのか疑わしいが、リスナーを大切にするその姿勢は箱推しとして非常に嬉しい。
「ありがとう、メルア姫。いちリスナーとしてその心意気に感動しました。――それじゃあ、もうメンテ開始まで時間が無いので巻きでやろう! <パピヨンロボ>がドッキリパックリメカを出した場所にハイボルトスティックを突っ込んで電撃流せば一撃で昇天よ!!」
『あ……あなた……大事な穴にそんな棒を突っ込んで最奥で電気を流そうだなんて……鬼畜の発想ですわ!!』