表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

119/169

第118配信 GTR 1日目 ツッコミは鮮度が命

 ガブリエールに連行される形で彼女の<パトライバー>に乗り込んだ。起動コードが音声入力されると機体が動き出す。

 頭頂高十メートルのロボットである<パトライバー>のコックピットは決して広くはない。二人乗ると結構狭い感じだ。

 しかも現在俺の右手首とガブリエールの左手首は手錠で繋がっているので俺の位置は彼女の左側に限定される。ポジショニングがイマイチだ。


「ガブリエールさん、このままだと操縦しにくいでしょうし私は降りていいですか?」


「そしたらまたドSオタ子さん逃げちゃうでしょ? 却下でーす」


「前回からずーっと思っていたんですけど、誰一人として私の名前をちゃんと呼んでないですよね? 人の名前で遊ばんといて!!」


『今さらそこツッコミマス?』


 何処からともなくセシリーが姿を現わしツッコミを入れた俺にツッコんだ。ねん〇ろいどセシリーに心奪われていたガブリエールは嬉しそうだ。


「セシリー先輩、来ていたんですか? わぁっ! 嬉しいです」


『ここが一番面白そうだったので同席させていただきマス。――オタダンスマスター様、ツッコミは鮮度が命デス。さっきのツッコミは前回のうちに済ませておくのがベストでしたネ。前話投稿から数日経過した今では賞味期限切れのネタと言えるデショウ』


「ツッコミを弄られた上にメタ発言……だと!?」


「さすがセシリー先輩、怖い物知らず!」


『一時は作者が調子に乗って乱用していましたが、反省して最近は使っていませんでしたカラネ。もっとも、普段からパロディまみれでラブコメの皮を被ったキメラみたいな作風デスガ。――さて、バトルの時間デス』


 地響きが轟くとキャバクラ近くの建物が崩れて地下から巨大なロボットが出現した。

 そいつの名前は<パピヨンロボ>――下半身は蜘蛛みたいな八脚型になっていて上半身は寸胴なドラム缶状の形をしている。

 ファンタジー物の作品に出てくる怪物アラクネがモデルらしくキャバクラパピヨンチームから事前に提出されていた情報通りのデザインをしている。

 頭頂高二十メートルと<パトライバー>の二倍のサイズでガ〇ダムより少しデカい。怪盗パピヨン三人組が搭乗している。

 

 そんな巨大ロボからメルア姫たちの声が聞こえてきた。


『お待たせ致しました。これが我々、怪盗パピヨンのロボット――<パピヨンロボ>ですわ。今、名前を聞いて「まんまじゃん」と思った方がいらっしゃると思いますが、これは手抜きではありませんわ』


『GTRじゃ何体もロボが出てきて混乱するからぁ、これぐらいシンプルな方が記憶に残りやすいって訳よぉ!』


『それじゃあメンテナンスまで時間もあまりないしぃ……お風呂にする? ご飯にするぅ? それともぉ……ワ・タ・シ?』


 セリーヌが言うと同時に<パピヨンロボ>が空高く跳んだ。鈍重そうな見た目からは想像しがたい軽快な動きに警察三人組は呆気にとられて動きが止まる。


「ガブ、逃げろ! ヤツがベッドインしてくる!!」


 モニター越しに映る<パピヨンロボ>がどんどん大きくなっていく。

 お互いの距離が近くなっていると気が付いたガブは急いで<パトライバー>をバックステップさせた。

 その直後、ついさっきまで俺たちが居た地点に<パピヨンロボ>が着地し、衝撃で砕けたアスファルトが飛び散って<パトライバー>に当たる。

 装甲を貫通するダメージにはならないが、聞こえてくる金属音はあまり気持ちのいいものじゃない。

 

「危なかったぁ、動くのが一瞬遅れていたらやられてました。ありがとうございます、ワン子さん!」


『これまた新しい名前が出てきましたネ。もはや原形を留めていまセン』


「もう名前なんてどうでも良くなってきたよ。そんな事よりも今は……」


「はい! ロボバトルに全集中です!!」


 この戦い……長引かせたら俺の正体がバレる。というか、もう既にバレているかも知れない。とうとうワンユウのワンまで言われちゃったし。


『あらら、躱されちゃったわねぇ。やっぱりガブちゃんは手強いわぁ。でも<パピヨンロボ>はギミックがいっぱいよ。ネプちゃん、よろしくぅ!』


『はぁーい! ――ポチッとな』


 <パピヨンロボ>のドラム缶部分の数ヶ所が開くとそこから白いナニかが発射され、周囲にいた<パトライバー>三機が直撃を受ける。


『いやぁん! 白いのが身体中にぶっ掛けられて……!』


『何だかネバネバして動けな……ら、らめぇぇぇん!!』


 クロウ機とサリッサ機から生き生きとした色気のある悲鳴が聞こえてくる。夜中の三時過ぎなのに元気いっぱいな二人。ドMの体力は凄い。

 二人の反応からしてさっきの白いブツは配信に映してはいけないものかと思いきや案外そうでもなかった。


「これって……蜘蛛の巣? 動きを止められてこのままパクッとされちゃうパターンですか!? ギャーーー! イヤーーーーー!! 犯されるーーーーーーー!!!」


『どいつもこいつも脳内ピンク色! ぶいなろっ!!はとんでもないメス共の集団デスネ』


「……他人事のように言ってるけど、君もその集団の一員だからね」


 コックピットモニターの一部分にはリスナーのコメント欄が表示されており、この混沌渦巻くロボバトルを観て彼等は沸いていた。



コメント

:あー、ビックリした。白いのがビュビュッと出てきた時は、ぶいなろっ!!遂にやりやがったと思ってしまった

:己の心が汚れていればいるほど、彼女たちの行動がセンシティブに見えてしまう不思議

:この場に心がキレイな人間が居ると思っているのかね? 居る訳ねーでしょーがよ! 今何時だと思ってるんだ!! よい子は寝てる時間よ

:午前三時三十分です! 何か自分、変なテンションになっております!!

:深夜のハイテンション待ったなしやね

:クロウもサリッサもヤバい声を出してるけど、ガブちゃんの「〇されるー!」はさすがにアウトでしょうよ!

:セシリーってクールなだけじゃないんだな。この配信で新しい発見が色々あって新鮮

:おかしいなぁ。うちにもセシリーのねんど〇いどがあるんだが、その子はあんな風に話しかけてくれない!! なんでだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

:草草草

:ちょっとあんた! 今何時だと思ってんの。夜中の三時半過ぎだよ。大声なんて出して、ご近所に迷惑でしょうが!!

:オマエモナ

:ライバーもリスナーも皆テンションアゲアゲで草

:ところでオタ子さんって何者なん? 立ち居振る舞いからしてNPCではないのは確実

:オタ子さんのツッコミを見てるとさぁ、何か安心するんだよね

:俺もそれ思った! あのツッコミのタイミングとキレに既視感ビンビンなのよ

:そういやオタ子さんと絡んでる時のガブちゃん、スンゴイ生き生きしてるんだよねー

:あのガブちゃんのテンションって総帥と絡んでる時と同じだよね。それってつまり……うわなにをするやめr

:誰とは言わないけどさー、どこかのワンさんは今頃ナニしてんのかなー?

:そうだなぁ、たまにこのコメント欄に現れる偽物なんかじゃなく本物は元気だといいな。女装してたりして

:そう言えば、ガブちゃん。オタ子さんをワン子さんって……おや、誰か来たようだ



 ――オワタ。もう、バレバレやん。皆、丁寧に弄ってくるじゃんかよぅ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ