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思い出

お久しぶりです

成績が真剣にやばくて慌てて勉強してまして(汗)


よければどうぞです

それからしばらくたった日  いつかは変わってしまうものに気付いた


あの死骸の山があった場所も  いつのまにか広い荒野にかわっていた


――どうした?――


霧がいつの間にか心の閉鎖を覚えていたセーシャに語りかけてくる


「いや、変わり行くものの偉大さを、な」


――おかしな奴だ。変わってしまうものを偉大と呼ぶなどと――


「お前に可笑しいといわれてしまうと、私は世界一不幸せになってしまうぞ」


――生意気な口を利くようになってしまったな――


「ああ、あれから一ヶ月もたつのか」


今まではこの霧という存在を信じてなどいなかったし


気味が悪いとさえ思っていたのだから


こんなに打ち解けて話をする日が来るなどとは一度も思ったことなどなかったのだ


いつの間にか友とさえ思えてきたその存在に今はもう慣れてしまっていた


「友……か…………」


――どうした?セーシャよ――


「否、昔のことだ」


☆    ☆    ☆    ☆    ☆



5年前…俺にも友と呼べるものがいた


「セーシャ陛下、お会いできて光栄です」


そう言い俺の前に現れた人物、それがスカア=アルベルトだった


「貴方の方が地位は上だろう?スカア陛下」


初対面の第一印象は、謙遜心の高いとてもいい奴だった


「では、セーシャ閣下。とでも言おうか?」


「フッ…セーシャ。とお呼び下さい、陛下」


スカアとセーシャは他の誰にも見せない柔らかい微笑みを互いに向けて

いつの間にか誰よりも親しい仲となっていった


といっても、セーシャは小国の領主でスカアは大国の次期国王だ


身分が違いすぎる…


誰もがそう思い、二人の行く先を案じていた


そして、事件は起こった


セーシャの父親が国家に反乱を起こしたのだ


二人の友情が壊れる原因となったのはそれ以外の何者でもなかった


「なぜ父上を…僕を裏切ったんだ!セーシャっ!」


反乱が起きて、スカアの父、現王が殺されたのだ


彼の怒りもセーシャには痛いほどわかった


「俺は君を裏切りたくなかったのだ…。それだけは信じてくれ!スカア…」


自分にはどうすることもできなかったのだ


自分は無力で、父上に意見をすることさえ許されないのだから


「…僕らを仲違いさせるために、君の父が僕の国に反乱を起こした…そうとしか考えられないな」


二人きりであることを確認し終えたのか、スカアの声は優しくなっていた


「スカア…俺はどんな言葉を言ったところで、言い訳にしかならないと思ってる。本当にすまなかった俺にもっと力があれば、君の父上は………」


「もう何も言うな、セーシャ。君のせいではない事は分かっている。これからも君を責めたりはしないよ。でも、僕らの仲が良いから襲われたのだとしたら、これからも続いてしまうかもしれない…」


「わかってる。俺も同じことを考えていたんだ。もう、俺たちの仲が悪くなったと。君が俺のことを毛嫌いし、これ以上手を組んでいるつもりはないと公言でもしなければ、父上は君の国に反乱を起こすことをやめたりはしないだろう。スカア、つらいが…」


「思っていることは一緒だよ、セーシャ。僕も最愛の友として君と離れ離れになってしまうのはとても辛い。だが…君も分かっているだろう?もう…これしか……」


二人の間にしばしの沈黙があった。互いを誰よりも思っているからこそのつらさがその身を、心を、切り裂くようにする


「ああ、これしかないんだ」


セーシャはつらかった。誰よりも自分を愛してくれた友と、大切な人とまた離れてしまうときが来るだなんて―――。


「セーシャ…。僕はずっと君を……「セーシャ、大声を出して、何事だ」


スカアの言葉を遮るようにして現れたのは、他でもない父だった


「父上……」


「これはこれは、スカア新陛下もご一緒でしたか」


皮肉めいた口調で言う父に、初めての怒りの感情が浮かんだ


「やあ、小国レリルの領主殿。人殺しの後の気分はいかほどか?」


スカアはありったけの憎しみを込め、彼を睨みつけていた


「人殺し?滅相もございません。私はただこの国を変えようと思っただけです」


『私の手でね』そうつけくわえて笑う父にセーシャはこぶしを握り締めてうつむくことしかできなかった


「変える、か。ずいぶんとたいそうな理由をつけるのだな。まぁいい。今回はコレだけで済んだのだ。咎めはしないが、次はないと思え。わが軍は常にお前を見ているぞ」


ギッとセーシャと父に冷たい視線を向け、スカアは立ち去っていった。それが、セーシャがスカアを見た最後だったのだ――――。



☆    ☆    ☆    ☆    ☆   


「スカア……」


そっとその名を口にする


言ってしまえばすぐに忘れそうになる儚い名前を声にのせた


彼に会いたい…不意にそう思ったのだ


自分の目で確かめたいのだ、自分達の友情が永久である事を


自分も人と繋がっているという確証が欲しい


自分と霧とはどのくらいの距離にあるのだろう?


スカアとの距離よりは長いだろうが、それでもやはり近いことに変わりはない


自分が友と思えるものと一緒にいられる幸せをかみ締めていこう


そうしてセーシャはまた歩くのだ


間違った道にずるずると………



―――――彼の名はセーシャ

      砂漠で迷った旅人のよう―――――



ありがとうございました!


よければ感想等どしどしお願します(ダメダシとかもお願します)


次はたぶん二人が再会しますね…

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