表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虚の天秤  作者: 榛原朔
二章 鏡面逃避

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/130

19-魔女狩りの終結

――――――――――


★サラ・グッド

-ヨハン・ライヒハートにより処分


★サラ・オズボーン

-ヨハン・ライヒハートにより処分


★ティテュバ

-ヨハン・ライヒハートにより処分


★アリス・キテラ

-シャルル・アンリ・サンソンにより処刑


★ペトロニーラ・ディ・ミーズ

-シャルル・アンリ・サンソンにより処刑


★マリ・ダスピルクエット

-シャルル・アンリ・サンソンにより処刑


★マンテウッチャ・ディ・フランチェスコ

-マシュー・ホプキンスにより処分


★マーサ・コーリー

-シャルル・アンリ・サンソンにより処刑


★レベッカ・ナース

-ピエール・ド・ランクルにより処分


☆ジョージ・ジェイコブ

-フランツ・シュミットにより処分


☆ジョン・プロクター

-ヨハン・ライヒハートにより処分


☆サミュエル・パリス

-マシュー・ホプキンスにより処分


☆フランシス・デーン

-シャルル・アンリ・サンソンにより処刑


★マザー・シプトン

-シャルル・アンリ・サンソンにより処刑


★アグネス・サンプソン

-フランツ・シュミットにより処分


☆イザボー・シェイネ

-ヨハン・ライヒハートにより処分


☆ビディ・アーリー

-マシュー・ホプキンスにより処分




○その他、有象無象の魔女認定者

-900名以上を処分




――――――――――




「以上が今回の魔女狩りの結果よ!」


モーツァルトの演奏が響いている協会本部にて。

教会のようにチャーチチェアが立ち並ぶ奥の台座に立っているのは、スクリーンに結果を映し出しているアビゲイルだ。


今回の魔女狩りの告発者だった彼女は、すべての魔女が処刑されたことを受けて、魔女裁判のまとめにかかる。


目の前にいるのは、協会のトップとして集められた者たち――マシュー会長を筆頭に、ヨハン・ライヒハート、フランツ・シュミット、ピエール・ド・ランクルの4名だった。


隣で演奏しているモーツァルトは置物、離れた場所で聞いている少女――ジョン・ドゥは、この場に来られないシャルルの代理人である。


「続いて、一応それぞれの功績を挙げると、マシュー会長はマンテウッチャとサミュエル、ビディの3名を処分しました。

ヨハンさんはジョン・プロテクターとイザボーの2名。プラス初日の3名ね。フランツさんはアグネス、ジョージの2名。

ピエールさんはレベッカ1名。

そして問題のシャルル・アンリ・サンソンは〜、リーダーであるアリス・キテラを始め、側近のペトロニーラ、根っからの魔女であるダスピルクエット、マーサ、陽動や作戦立案として核となっていたフランシス、マザー・シプトン。

以上の6名を処刑しているわ! ヨハンさんの初日を含めても、シャルルが一番功績を残していると言えるわね!」


モーツァルトの演奏が、なぜか無駄に盛り上がっていく中。

シャルルを陥れたはずのアビゲイルは、その功績を嬉しそうに告げる。


高らかに宣言された実質的な無実に、マシューやヨハンなどは一切反応を示さない。だが、ピエールは『せっかく合法的に痛めつけられると思ったのに』などとつぶやき不満げだ。


狙撃手であるフランツはフランツで、『無実で魔女認定を……つまり償うべきは俺達なのかな?』などと、よくわからないことをつぶやいていた。


「……ふん、あれの処遇などどうでもいい」

「そうですね〜♪ では、無罪放免ということで☆」

「これだけの功績を収めたのなら、殺す理由はない」

「ついでにもう少しいいかしら?」


本当にどうでも良さそうなマシューとアビゲイルが、いとも容易くシャルルの魔女認定を撤回していると、離れた位置からジョン・ドゥが声をかける。


告発のきっかけとなった時と同じく少女の姿をしているそれだが、今回はアビゲイルと一緒にいた時よりも真面目な表情をしていた。


「なぁに、ジョン・ドゥ?」

「無罪放免なのは当然でしょう? 追加でもう少し労ってもいいと思うの。あの子は休暇中に無実の罪を被った。

それなのに、一番功績を上げたのよ?

報奨金と休暇を増やしてあげたらどうかしら?」

「ですって。どうしますー、マシュー会長?」

「好きにしろ。私は興味がない。ただし、ピエールは押さえておけよ。殺さないと決めたのなら、死ぬと困る」


ジョン・ドゥの要求を受けたマシューは、もう結論は出たとばかりに言い捨てると、杖をコツコツと鳴らしながらヨハンを伴って去っていく。


フランツは自分の腹を撃っていて無反応だったが、名指しで問題児扱いされたピエールは頬を膨らませて立ち上がっている。


「ちょっとちょっと、一体僕を何だと思っているのさ?」

「女性専門の処刑人で、いつ暴走したとしてもおかしくない変態じゃないの? あ、近寄らないでね。

見た目は可愛い男の子だけど、中身が気持ち悪いから」

「ひっどい!」


ピエールは扱いに不満があるとして立ち上がっていたのだが、アビゲイルはいつも通り容赦がない。

グッサリと刺されて、彼は苦しげに膝をついていた。


その様子を尻目に、ジョン・ドゥは協会の入り口へ向かう。

シャルルの処遇も決まり、マシューも去ったので、さっさと報告に行くつもりのようだ。


おそらく、今のそれは女性の姿をしているので、ピエールを避けたいという意図もあるのだろうが。


「じゃあ、私はもう行くわね。報奨金はわからないけれど、休暇はとりあえず最初の3倍くらいでいい?」

「んー、まぁ無実で追われて功労者だし、いいと思うわ!」

「オッケー。そう伝えておく。

その変態はどうにかしてね?」

「みんなして酷くなーい? 僕は紳士だよー?」


ピエールの抗議の声が響く中、ジョン・ドゥはさっさと協会を後にして、シャルルの家に向かっていった。




~~~~~~~~~~




「ということで、ちゃんと無実になって報奨も増えたわ」


協会を出てから数時間後。真っ直ぐシャルルの家へとやってきていたジョン・ドゥは、リビングで同居人であるマリーに処遇を報告していた。


この場にシャルルはいない。

捕まっている訳ではなく、ちゃんとこの家にはいるのだが、アリスを処刑した直後から昏睡状態になっているのだ。


そのため、雷閃によって守られているこの家に運び込まれて以降、死者を計測していた一週間近くの間眠り続けており、報告も代わりに彼女にされているのである。


「そう……ありがとう、ジョン・ドゥさん」

「仕事なのだから、気にしなくていいわ。

安全性も問題なさそうだし、帰るわね」

「えぇ、またいらしてね」


報告を終えた情報屋は、すぐさまこの家を去っていく。

魔女狩りは完全に終結し、ピエールも2階にいる雷閃が守っている限り手出しはできない。


ジョン・ドゥという異分子が立ち去ったことで、この家には穏やかな平和が戻っていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ