ふしぎな風船
さっちゃんは、とりさんとおはなしがしたくてたまりません。
いつも空を見上げて、とんでいるとりさんに、
「おーい、とりさーん」
と呼びかけています。
でも、とりさんはしらんぷり。
ある日、めがねのおばあちゃんがやってきて、さっちゃんにしぼんだ赤い風船をくれました。
「この風船をふくらませるときに、とりさんと話したいことを思いながら息をふきこんでごらん」
めがねのおばあちゃんはそう言うと、うふふと笑いながら向こうに行ってしまいました。
さっちゃんは、きょとんとしていましたが、言われたとおりにやってみることにしました。
(とりさんといっしょに歌をうたいたいなぁ)
思いっきり、風船に息をふきこみます。
赤い風船は、ぷうっとふくらむと空にとんでいきました。
とりさんが、赤い風船をくちばしでつっつきます。
パーン。
「とりさんといっしょに歌をうたいたいなぁ」
さっちゃんの言葉があふれでました。
とりさんはうなずくと、さっちゃんの肩にとまりました。
さっちゃんととりさんは、いっしょに歌をうたって、にこにこ笑顔になりました。