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第一話
地下深く、壁から突き出た鉱石の光が周囲を仄かに照らしている。
遺跡の奥で二人の青年が向かい合っていた。
「どうしてあんなことを……。あんな恐ろしいことをしてしまったんだ!」
鎧を着た騎士と思われる青年が悲しげに問い質す。
「貴様に話すことは何も無い」
黒い軽服の青年は静かに応じる。
「――っ! なら力尽くでも話して貰うぞ!」
「無駄だと思うがな」
両者が剣を抜き構えを取る。互いに練り上げた魔力が奔流となり大気を揺らす。
物語は最終局面を迎えていた。
(結局こうなるのかよ⁉︎)