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和人の記録1
二〇XX年、燃え盛る炎の中で二人の戦士は刃を交える。互いに死力を尽くし合い、全身から血を流し敵に肉迫する。
「あれは破滅そのものとその元凶、それを守るために命かける価値があるのか?」
「うるせえ! 自分の子供と妻も守れねえ奴は男じゃねえ! ただそれだけだ!」
その言葉に黒衣の男は少しの間をおき、呆れたように言い捨てる。
「本当に昔から変わらないな、ならば、俺の全存在にかけて、その信念ごと斬り殺してくれる!」
黒衣の男は手の剣に全ての霊力を込め、敵への殺意を最大まで高める。
「じゃあ俺は、美月と月人にかけて、てめぇをブッタ斬る!」
背中から蝙蝠のような翼の生えた男も自らの剣に全霊力を込めて構える。それを確認すると黒衣の男が叫ぶ。
「いくぞ! 夜王和人!」
「こいよ! 黒塚奏連!」
二体の戦神は一瞬で距離を詰め、互いの剣を衝突させた。