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失踪事件

 次の日の昼休み、光一は両手にカツサンドを持ってうれしそうに和人に感謝する。


「いやー和人、お前のおかげで今週はカツサンド食べ放題だぜ」

「まあ俺の実力なら当然だな」

「もう、和人君たら……」


 ちょうどその時、教室のドアが開き、美月の友人の美紀が入ってくるがその顔にいつもの明るさはない、暗く沈んだ顔で席に座ると美月たちにあいさつもせずにそのまま窓を見つめる。


「おい、どうしたんだ町田のやつ、妙に落ち込んでるじゃねえか?」

「飼っている猫が病気なんだって、昨日入院したって電話で言ってた」

「飼い猫ねぇ、俺らじゃどうしようもねえな」


 美月は残念さと心配を込めた表情で「うん」と応える。


 帰りのホームルーム、和人達の担当教員から最近この学校の生徒の失踪事件が多発しているとの連絡があった。

ただ不自然なのは学校の帰りではなく寝静まってから消えているらしい。


 子供が帰ってこないというなら誘拐事件だろうが、夜、親におやすみと言って自室に戻った子供が次の日に起きたら部屋から消えている。これでは自分の意思でどこかに行った可能性も十分にある。


 ちょうどその時、和人の鼻がぴくりと動き、和人は教室から何か違和感を覚えるがそれは一瞬で消え、和人自信も特に気にとめることはしなかった。



   ◆



 次の日、朝のホームルームで担任からまた失踪者が出たと聞かされる。これでもう十人になるらしい、だが和人にはそれよりも気になることがある、今日、美紀は学校を休んだ。


 美月の話では昨日話した飼い猫が死んでしまったらしい。


 見知らぬ生徒の失踪事件よりも和人にとっては友人のメンタル面のほうが気になるようだ。


 それにもしモンスターが関わっていたとしてもそれはこの街担当のソルジャーの仕事で自分は関係ない。


 だがさらに次の日、今度は美紀が失踪したと聞かされてはさすがに黙ってはいられなかった。


 友人が心配、というのもあるが何よりも美月の心配そうな顔は見たくない。


 学校が終わった帰り道、和人が美月に提案する。


「なあ、今日の夜、町田を探さねえか?」

「えっ!? 和人君、いいの?」


 少し驚いた様子の美月の頭を撫でながら和人は言う。


「お前にそんな顔されてだまってるわけねえだろ……お前の彼氏なんだから……」


 その言葉に美月の心配そうな顔がパッと明るくなり、和人の手を強く握り言った。


「和人君、ありがとう」


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