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ソラヲカケル。  作者: 長良英明
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6.「ジロウとの邂逅」

 頭にゴーグルを着けている少年は鴉空賊団の解体の一部始終を見ていた。巨大な爆発が起きて、何事かと駆け付けたところ、この辺りで一番幅を利かせている鴉空賊団の船長シンヤと、見たことのない青年が空中で対峙しており、シンヤが銃口を突き付けられ、無人島へ行くところまでを遠くで目視していた。

「信じられない……」

 死人はおそらく出ていないが、あれだけ暴れ回っていた鴉空賊団を機関銃ひとつで解体してしまったのである。

「凄い! 凄すぎる!」

 やっぱり怖い人なんだろうか、やら、自分は殺されてしまうんじゃないだろうか、とか、考えないこともなかったが、それらの負の感情はその強さへの憧憬にやられてしまった。

「会いに行ってみよう!」

 少年は空賊たちとすれ違わないように無人島へと飛ぶ。

 カケルは機関銃を地面に置き、頭の下に手を組んで、脚を組んで寝ていた。少年が着地すると、律儀に座り直して、声をかけてきた。

「お? 何か用?」

「は、はいっ! 用事があります!」

 少年は蛇に睨まれたカエルのようになっているな、とカケルが感じたが、万が一ということもある、と丁寧に尋ねた。

「もしかしてこの島の所有者の方ですか? それなら勝手に入って申し訳ありません」

「あ、いや、そんなことじゃないですふ! ぜんぜぜん!」

「う、うん、なんかもしかして緊張してる?」

「は、はい、若干ですがが」

「別に空賊を相手にしている訳じゃないんだから大丈夫、リラックスして。俺はソラナカ・カケルってやつだ。今はこの辺りで賞金稼ぎをしている」

「ぼ、僕はヒヤマ・ジロウです。よろしくお願いします」

「へー、よろしく!」

 そう言ってカケルはにこやかに手を差し出した。ジロウはそれに対して満面の笑みを返して握手をした。ジロウは少しリラックスできた。

「こちらこそ、ふつつか者ですが」

「結婚か、そんなことより用事って?」

「鴉空賊団を解体したカケルさんとお話してみたかったんです!」

「あー、そうなんだ」

「はいっ!」

「じゃあせっかくだからお願いがあるんだけれど」

「はいっ! 何ですか?」

「今晩よければ泊めてくれないか?」

「本当ですか? 喜んで!」

「まあまあ、俺は図々しいお願いをしているだけなんだからさ」

「そんなことないです! 鴉空賊団を解体してくださったことはこの辺りの人たちみんなの為になりました!」

「まーそれはそうかなぁ」

「はい、ぜひ家で武勇伝を聞かせてください」

「じゃあ行くかー、どっち?」

「あっちです」

 ジロウの指さした方角へと二人は飛んでいった。

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