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ソラヲカケル。  作者: 長良英明
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1.「暴風のシンヤ」

 時は初夏の晴天の昼下がり。広大な海の上のことである。

 風があまりない中、人間が空を飛んでいる。自らの肉体以外を、何の道具も使わずに、生身のままで空を飛んでいる。

 いや、正確には目に見えない浮龍力ふりゅうりょくという力を使っているが、それが何にどのように働いているのかということは未だにわかっていない。

 つまり――この世界のほとんどの人間たちは直感で浮遊することができる上に、高速で大空を飛行することができるのである。


 重力に逆らっている黒髪で、ギャングのような真っ赤なスカーフを身に着けている青年が、その長めの前髪を靡かせながら一つの飛空艇に向かって、物凄い速さで飛んでいく。そして、背負っていた機関銃を両手で持ち直し、ドクロマークのついている飛空艇が射程圏内に入ると、銃弾を打ち放った。しかし、それほど大きくないとはいえ、規格の分類では中型の飛空艇はびくともしない。

「だろうな……そら、うかうかしてると進入するぞ」

 青年はそう呟いたものの、流石にレーダーはついていない空賊船だが、見張りが銃弾に気づき、機関銃の弾が向かってきた。彼は機関銃を背負い直し、最小限の動きでそれを躱して空賊船の上に降り立った。

 そこには銃などで武装した荒くれものたちがうじゃうじゃとひしめきあっていた。

「敵襲だー!」

 機関銃を撃っていた空賊の叫び声が聞こえる。そして、ほぼ同時に全員が武器を向けた。

「レベルが高いな」

 降り立った青年は素直な感想を口にして、さらに続ける。

「死にたいやつだけ前に出ろ。こっちの目的は船長と全員の生け捕りだ」

 ただでさえ緊迫している空気をさらに増長させる。そして、動くな、という意思表示であるはずの銃口を向ける、という行為に対して、青年以外の誰もが気づかぬうちに、銃口を正面にいる空賊に向け返した。

 ――優勢であった空賊たちが一瞬で肝を冷やした。「どうして誰も撃たなかったんだ?」と不思議に思う者もいれば「反応できなかった……」と悔やむ者、そして、レベルの差を一瞬で察知した者もいた。

 そのタイミングで船長が外へ出ると空気を察知して、すぐ口を開けた。

「随分とまずいやつに標的にされちまったな……そいつはまだ駆け出しだが、この辺りじゃ急激に名を上げている賞金稼ぎのカケルだ」

 空賊は船長の一言に安堵した。

「よく勉強しているな。鴉空賊団、暴風のシンヤ」

「その言葉はそのまま返すぜ、青二才。それで俺の船を襲おうって言うんだから死んでもらうしかないなぁ……」

これくらいの文量で続けようかな?と考えています。

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