4月16日(”これしかない”or”まだこんなにある”)
夜九時過ぎ、どこからか聞こえてくる、”コツコツ”、という謎の音を、最近は意識して聞くようになった。BGMにしていると言ってもいいかも。
マスクが残りわずかになってきたけど、どこにも売ってない。
実家に連絡して送ってもらいたいけど、実家の方も豊富というわけではないだろう。
母が心配して四方八方奔走するかもしれないと思うと、気軽にマスクを送ってほしいなんて言えないし。
昨日のコンビニには、しばらく行くのをやめる。
美優に会いそうな気がする。
(今日もメールがきた!)
(日中何してるの?と。暇だと思われたらだめだ。メールの返信早くできるはず、とか、会いたいとか言われたら困る。テレビ電話で妹の家庭教師、と言っといた。)
人付き合いを煩わしいと思うなんて。
これから人生を切り拓いていこうというのに。
でも、今は外出自粛期間中だし。
無理に人と関わらなくてもバチは当たらないはず。
ツイッターで芸能人が、
「マスク送りますってみんなから言われるけど、十分あります。」とツイートをしていた。
そうだなあ。
あるところには、ある。
戦時中も、何のツテもない一般市民から苦しい状況になっていった。
火垂るの墓みれば分かる。
お金持ちと一般市民の差。
みんな平等に苦しいんだ、というのは嘘。
いつだって平等じゃない。
だから困っている人から助けるべきなのに、SNSを始めて分かってきた。
疫病が流行っている今この時にも、権力のある人、影響力のある人が優遇されている。
次期選挙の票の確保にもつながるし、困った時には助けてもらえるからだろう。
お魚券とかお肉券とかいう案もあった。
一般市民には経済を回させようとしていた(しかも用途も決めて!肉、魚、とか)
それどころじゃないよ。生きるのにも大変な時に。
たくさんのお店が潰れている。
医療関係者の方々は、マスク不足のため何日も同じマスクを消毒しながら使っている。
ああなんか、「疫病が蔓延しているのに、マスクがもうすぐなくなる」、という追い詰められた焦燥感のせいかな。
気持ちがくさくさしてくる。
大手通販サイトで、海外の輸入マスクを売ってる。
到着まで2、3週間かかるらしいし、50枚、送料込みで4000ぐらい。
高いけど買うべきかもしれない。
ひと箱ある、という余裕があれば、気持ちも考え方も変わってくるだろうし。
余裕って大事。
人間を変える力がある。
できれば常に、余裕のある人間でありたいものだ。
マスク、注文しよう。
幸いカードを持たせてもらっているし。何に使ったかバレちゃうけど、マスクなら怒られまい。。
ああ、、、美大行きたかったな。
(何だ急に。)
(絵なんか描いてこなかったし、予備校とか行かなきゃいけないんだぞ。)
でもなんか急に
”美大行きたかったな”と思った。
この期に及んで何を言う。
進路については、考えに考え抜いたはず。
それで出した結果なんだから。
間違ってないはず。
今の私にはこれしかないはず。
母は美大を出ている。
高校時代はソフトボール部で、好きなことを追いかけ、華々しい青春を謳歌。
その後苦労して苦労して、同年代の女性より深いしわが刻まれてしまった。
それは私のなりたい未来の姿じゃない。
だったら、堅実に働ける道を選んだ方がいい。
名が通った学校に入って、自分が不得手とする技術を磨いて。
欠けた部分を補えば、一人前に稼いで生きていくことができるだろう。
お金さえあれば、ある程度は幸せに生きられるだろうし、大概のことは解決するような気がする。
理系科目はお手上げだから、文系で。
法学部とか。
どう考えても文系学部の中で一番苦手。
基本的な法の知識と、理路整然と考える技術が身に付けば、生きやすくなるかもしれない。
でもそれでいいのだろうか。
その堂々巡りを、高校三年間し続けていた。
どれだけ悩んでも考えても答えが出せなくて、時間だけが過ぎてしまって。
受験目前。
追い詰められて出した答えが、
「好きな道」より「苦手なことを補う道」だった。
大学に入ってからでも、社会人になってからでも、いつからでも新しいことは学べるんだから。
”生涯学習”なんて言葉、よく聞くしね。
できなくないんだから。
諦めるんじゃない。
とりあえず、一人で生きられるようにならないと。それが先決だと決断を下した。
結果、いまここ(都会の女子大。法学部)にいる。
生涯学習ね。
よく考えたら大変な精神力がいるのかもしれない。
一日の大半を、自分のやらなきゃいけないこと(学校や仕事など)に取られて、疲れ果てた上で好きなことを学ぶのだから。
”やらなきゃいけないこと”=好きなこと にしちゃうのが最強だろうな。
今更だけど。
お金持ちなら、学部の変更とか、やり直しがきくのかも。
私の立場ではやり直しが利かないんだから、絶対に間違えちゃいけなかった。
だからものすごく考えたはず。
これでいいんだ。
コツコツ音が止んだ。