4月11日(だからかわいくなれないのだ)
1人暮らしの家に訪問者って、ちょっと構えますよね。タカコさんも、構えました。すこし慎重すぎたかもしれません。
インターホンが鳴るとびっくりする。
知り合いもいないし、おそらく勧誘か宅急便の人のはず。
勧誘はこわい。
絶対に出たくないから居留守を使う。
宅急便は受け取らなきゃいけないから、実家から連絡のあった日だけ気を付けとくことにする。
受け取れなくても不在票がポストに入るし。
今日は家から救援物資(食べ物)が届く日だけど、念には念を入れることにした。
年頃の女子がここに住んでるのは事実だし、宅急便や郵便の人に知られるのは防げないけど、彼らが100%、まともな人だと言う保証はない。
現に中学の時の担任が、大学で一人暮らしを始めたとき、宅急便の人が用もないのに何度も来た、という話をしていた。
その後ふたりが結婚したから美談になったものの、そうじゃなかったら怖い話だ。
とにかく、必要以上に近付きたいと思われないようにしなくては。
危ない目には遭わないように、できる限り、考え得るかぎり、気を付けないと。一人なんだし。
誰も守ってくれないんだから。
まず用意したのが、度数の合わなくなった、ごつい眼鏡。これをかけることにする。
それから、髪は後ろにしばった。長い髪と言うだけで、気を引くこともあるかもしれない
服は、ジーパンは合格として、このブラウスは半そでだから腕が出る。
カーディガンは女子ぽくなりそうだし。
結局、冬用のちゃんちゃんこを引っ張り出して、着た。
(祖父と色チの)
眼鏡+ひっつめ+ちゃんちゃんこ。+マスク(貴重だから消毒して再利用)
インターホンが鳴った!
こわごわ出てみると、宅配の人は、若い男の人だった。
彼は荷物を置くと、及び腰で印を受け取り、逃げるように去っていった。
感染症が流行っている中、眼鏡にマスク、ちゃんちゃんこ、小さな声にぼさぼさ頭の私。
病人、もしくは病原菌と思われたのかもしれない。
ちょっと申し訳なかったかも。
こんな状況の中、届けてくれたのに。無駄に不安にさせたのかもしれない。
でも、とりあえず自分の安全は、守れた。
段ボールの中身は、お米にお味噌とか、笠地蔵みたい。
その隙間に、好きなお菓子とかお惣菜パックがぎっちり詰まっていて嬉しくなった。
ハイレモンが入ってた。遠足の時、必ず持って行ってたお菓子だった。覚えていてくれたんだなあ。
さっそくひと粒。
口がきゅっと、酸っぱくなった。
そういえば宅急便の男の人から、ミントみたいな匂いがした。いい匂いだった。と思う。