双翼の舞姫
昔、神々がまだ地上にいた頃。人々は些細なことから戦争を繰り返していた。そんな人間に愛想を尽かした神々は次々とどこかへ消えてしまう。
しかし、人間好きの女神がそれを嘆き悲しみ、自らの命と引き換えに戦争を終わらせた。
女神は死ぬ前にひとつの予言を残した。
【やがて、この地が再び戦火に見舞われる時、ひとりの姫が降臨す。その姫、背に翼もつ者なり。その者の命を神に捧げよ。さすれば争いは永遠になくなるであろう】
人々は待ち続ける。
その姫が現れるのを。
翼を背に舞う、双翼の舞姫をーーーーー。
予言より1000年。
予言が神話になり、人々が疲弊し諦めかけているとき。
妖精の住まう森の奥深く。神樹に抱かれて眠るひとりの少女がいた。烏の濡羽色の髪は艶やかに流れ、対比するように少女の肌は雪のように白く。緩く閉じられた瞳が薄ら開く。そこから零れる虹彩は、滴るような血の色ーーーーーそう、それはこの世界では禁忌の色であった……………。
プロローグ
2019/09/21 03:26
(改)