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 クラリスは、ブラックの突然の言葉に動揺が隠せませんでした。


「へい、いまなんと?」


 クラリスは、手に持っていたドングリの入った蒸しパンを床に落としてしまいました。寝ているはずのおじいさんリスが「3秒ルールじゃ!」と大きな声を発しました。ブラックとクラリスは慌てて、ドングリの入った蒸しパンを拾いました。


「そ、それで?どういう状況だったのかしら……」


 クラリスは、心配そうにブラックを見つめました。そして、ブラックは状況の説明を行いはじめました。





 彼は、日々のライフワークである、ドングリ調査に向かう途中でした。


 軽快に飛び跳ねながら、調査場所へ向かっている途中、暴れん坊のアライグマのジョニーに出会いました。


「おはよう、ジョニーさん」


 彼は、笑顔であいさつしました。しかし、暴れん坊のアライグマのジョニーは、快く返事はしてくれません。


「なんだ、チビ助のブラックじゃねぇか。相変わらずのんきそうだな」


 そういって、彼はブラックを睨みつけました。しかし、ブラックはめげません。というか、真には受けておりませんでした。


「どうしたの? 朝からな気分の悪いことでもあったの?」


「まぁな。あのキツネ野郎が、うるさくてな」


 キツネ野郎とは、お人好しなキツネのオズワルトのことです。


「オズワルトさんが、何か君にしたのかい?」


 暴れん坊のアライグマのジョニーは、後ろ脚で立ち上がり、ブラックに殴りかかろうとしました。ブラックは、すぐさま危険を察知して、後ろにくるんと回りながらジャンプをしました。


「あいつが、お金を貸して、お金を貸してとうるさくてな。あまりにうるさいから、一発殴ってやった。殴り足りないから、お前を殴らせろや」


 ブラックは、これはまずい!と思って、両手で持っていたドングリバックの蓋を開けて、中から匂いを嗅ぐと眠ってしまう睡眠草でできた、泥団子を彼の花に向かって投げつけました。


 綺麗な放物線を描いて、暴れん坊のアライグマのジョニー向かって飛んでいきました。そして、ピカピカの泥団子は、彼の鼻に直接命中し、そのまま地面に突っ伏してしまいました。


 ブラックが、彼のそばに寄って行きがあるかどうかを確認すると、すやすやと寝息を立てて寝ていることを確認しました。


 彼は「日々の努力の賜物!」と小さくガッツポーズをしました。護身用に眠り団子の研究をしていてよかったと心から思ったのでした。


「ジョニーさんも、大変だな。いつもも怖いけど、今日はちょっと様子が変だったな。1回ゆっくり眠って、冷静になってくれることを祈ろう」


 ブラックは、気を通り直して、調査現場に向かって再び歩き始めました。



 お気に入りの、クラリスさん謹製のドングリ製ドングリバックを、大切そうに胸で抱えて歩いていたブラックでしたが、根っこ広場の前を通った時、根っこ広場の先の薄暗い場所が、キラリと光りました。


「なんだろう……」


 彼は、気になりました。でも、今日の調査場所はここではありません。もう少し先にある、丘の上の木の上から、動物たちの動きを観察することです。


「気になる……」


 ブラックは、立ち止まって少しだけ考えました。でも、答えは一瞬で出ました。


「今日の調査はここにしよう!これもまた勉強だ」


 ブラックは、そのまま根っこ広場の方に体の向きを変え、広場の奥へと進んで行きました。


 根っこ広場は、薄暗く、先程までの晴天が嘘のようでした。心なしか、寒さを感じていました。また、ブラックは、何かの気配を尻尾が感じたのか、尻尾の毛が逆立っていました。


 光が見えた方向に進んでいくと、小さな広場が現れました。


 しかし、そこでブラックは衝撃の後継を目の当たりにしてしまうのです。


「お、お、オズワルトさん!」


 思わず。彼は大声を出してしまいました。


 広場の真ん中で、うつ伏せの状態で、オズワルトさんが倒れていたのです。


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