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【ギャグ満載の本格推理】瀬川歩の事件簿  作者: 瀬川歩
【問題編】鳥籠の姫君
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第3話 御堂家の内情

「脅迫状の送り主を特定しなくてもよろしいのでしょうか?」


脅迫状が届いたにもかかわらず、

何かしらの対策を自分に依頼しない権蔵に、

翔子は疑問を問いかける。


「それは前にも言ったでしょう。現状のところは屋敷で待機していてください」


「しかし――」


翔子が不満を述べようとすると、権蔵は遮るようにして、

翔子に脅迫状の送り主の捜索を依頼しない理由を口にする。


「翔子さん、ここだけの話にしてほしいのですが、

私は脅迫状の送り主は身内の可能性があると思っているんですよ」


「身内ですか……。失礼ですが、

この屋敷に務める誰か――という意味でしょうか?」


権蔵の屋敷には娘である春香、

一時滞在者である翔子の他、

彼らの世話をするため、及び広大な敷地を管理するために、

複数の使用人、さらに病弱な春香の主治医が住み込んでいる。


「それだけではありません。翔子さん、今御堂家が抱える事情について、誰かから聞きましたか?」


「ええ……、多少はご息女からうかがいました。

申し上げにくいのですが、遺産相続で少し揉めておられると……」


翔子の言う通り、

今、御堂家は遺産相続で親族が対立していた。


御堂家先代の当主である御堂光太郎が

一年前に逝去したことが相続問題の始まりだった。


光太郎は突発的に起こった急性心筋梗塞で亡くなった。

七十六歳で亡くなった光太郎には四人の子供がおり、皆男性である。


長男の権蔵が四十五歳、次男が三十二歳、三男が二十九歳、四男が二十六歳。


権蔵以外の兄弟は、光太郎の後妻の子供であるため、

前妻の子供である権蔵とその他の兄弟の年齢が離れていた。


その後妻も既に他界していたため、光太郎の遺産は、

権蔵を含めた四人の子供達により相続されることとなった。


まず、長男である権蔵が家督を継ぎ、当主の座と御堂家本邸である、

現在彼らが住むこの屋敷を引き継いだ。


その後、子供達は遺産分割について話し合ったが、

光太郎が亡くなって一年経った現在でもまとまらず紛糾していると、

翔子は春香だけでなく、使用人達から聞いていた。


七十歳を超えたあたりから、

死に備えて光太郎は自らの有する不動産や事業を息子達に受け継がせた。


権蔵は父の光太郎から不動産会社を承継し、

家族の生活費、屋敷の維持費、及び使用人の給料等はそこから得る収入で賄われている。


それでも多くの不動産や株は光太郎名義のままだった。

光太郎の遺産を、現金、土地、株、

誰がどの形式で相続するのか、遺産分割の方法が最大の争点だった。


現状は長男の威光を最大限に活かし、権蔵が主導権を握っているとのことである。

本小説は毎日22時に更新する予定です。

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