超ショートコメディ 「クラス対抗球技大会 -近づくものは斬る編-」
※本エピソードはクラス対抗球技大会シリーズです。前話までをお読みになってない方は下記リンクからどうぞ。
▼シリーズ1話: バスケの試合か……、星でもコートに落とすか
https://ncode.syosetu.com/n5612ez/114/
▼シリーズ2話: クラス対抗球技大会 -もはやイグアナが戦ってね?
https://ncode.syosetu.com/n5612ez/122/
▼シリーズ3話: クラス対抗球技大会 -木村くんは違う小説に行ったほうがいいんじゃない?
https://ncode.syosetu.com/n5612ez/123/
【登場人物紹介】
瀬川 歩:高校一年生。将棋が好き
桜井 桂:高校一年生。キザなイケメン。歩と同じクラス
葉月 珠姫:高校二年生。歩の幼馴染。容姿端麗な生徒会長
飛鳥 翔子:高校一年生。名探偵。歩と同じクラス
翔子「木村君の呪文と歩の落語で無事に2回戦を突破したが、ここでまだ問題が生じた」
珠姫「本当にバスケの球技大会の話!?」
翔子「隕石を落とすという強大な呪文を唱えたせいで、木村君のMP、いわゆるマジックポイントが0になってしまったんだ」
珠姫「MPって何!?」
翔子「『俺のーー俺の命をMPに変換する!』と木村君は自らの命を賭ける覚悟を見せたが、さすがに桂が静止した」
珠姫「学校の球技大会にどれだけ本気なのよ……」
翔子「桂達は木村君を休ませ、かつ相手を威嚇するために、黒魔道士の衣装を着せ、分厚い魔導書を片手に、コートの中央で謎の詠唱をひたすら行う役割を木村君に与え、次の作戦に移行した」
珠姫「えっ、試合中にコートのど真ん中でずっとぶつぶつ言って立ってる人がいるの? それは相手からするとすごいプレッシャーね……」
翔子「3回戦では満を持して歴史研究会の鈴木君が本領を発揮した。桂達はそれまで体操着だった鈴木君の服にわざとコーヒーをこぼしたんだ。『先生、鈴木の服が汚れました。たまたまロッカーに替えの私服があるんで、着替えてきてもいいですか』と先生に着替える了承を取った。そして、鈴木君が体育館に戻ってきたときにはーーなんと甲冑を身にまとっていた」
珠姫「どんな私服!?」
翔子「さながら戦国時代の勇猛な武将のような本格的な甲冑だった。重厚な兜に頑丈な鎧、手には日本刀を持っていた。もちろん、鞘に納刀されていたがな」
珠姫「もうバスケの試合じゃなくて、合戦場みたいになってるわね……。先生は何て言ったの?」
翔子「『へ―木村、お前の私服かっこいいな。その甲冑どこで買ったんだ?』と羨ましそうに聞いていた」
珠姫「受け入れてる!?」
翔子「そして、そのまま試合が始まった。桂は引き続き監督を努め、3回戦のメンバーは、歩、香助、イグアナ使いの田中君(イグアナ不在)、天文部の鈴木君(MPが枯渇した黒魔道士)、甲冑を身にまとった木村君だ」
珠姫「圧倒的戦力不足……、まともな選手がいないじゃない。いや、そもそもまともにプレイしていた人はいなかったわね……」
翔子「試合が始まった途端、鈴木君は自陣のゴール前に待機し、居合の構えでその場に待機した。『近づくものは……斬る!』と5秒毎に繰り返しながらな」
珠姫「いや斬っちゃだめでしょ」
翔子「だが、相手へのプレッシャーは絶大だった。相手チームの選手は『マジで斬られそうだな……』とゴール下には入らず、スリーポイントシュートを中心に攻めざるを得なくなった。ただ、相手もバスケ部員ではないため、精度が低く、試合は膠着状態となった」
珠姫「それで……結果はどうなったの?」
翔子「業を煮やした相手チームの選手がレイアップシュートを決めようとし、ゴールに接近したところ、木村君の射程内に入ってしまい、木村君の居合斬りが炸裂した」
珠姫「本当に斬っちゃったの!?」
翔子「ああ。あまりにも見事な居合斬りだったため、審判の先生が思わず『一本! そこまで!』と叫んでしまい、桂のチームが勝利した」
珠姫「えっ、まさかの一本勝ち!?」
翔子「そうだ、斬られた選手は『お前があそこで一本取られるから負けたんだよ!』と責められ、かわいそうだったな」
珠姫「相手チームも一本取られて負けたこと自体は受け入れているのね……。ていうか、一本ってなに!? あんたらバスケの試合をしてたんだでしょうが」
翔子「とにかくこうして3回戦も桂のチームが勝利した。さて、そうこう話しているうちに決勝戦が始まるぞ。桂たちの最後の戦いを静観するとしよう」
珠姫「お願いだから……お願いだから最後はバスケをして欲しいわ……」
2年1ヶ月ぶりに更新しました。
楽しみにされていた方がいらっしゃいましたら、更新が遅くなり申し訳ございません。
再び創作活動を始めたく、少しづつ小説を書いていければと思います。
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