超ショートコメディ 桂と歩のコンビプレイ
~登場人物紹介~
瀬川 歩:高校一年生。将棋が好き
桜井 桂:高校一年生。キザなイケメン。歩と同じクラス
飛鳥 翔子:高校一年生。名探偵。歩と同じクラス
高橋先生:数学の先生
※本エピソードは高校時代の話です。
高橋先生「桜井! 貴様、忘れたのか!」
桂「忘れたさ、そんなものは。過去は過去、全ては歴史の中に消えゆくのみ」
高橋先生「お前は忘れても俺は忘れない……。何があっても必ず覚えているぞ……」
桂「先生……、だがもはや俺は……、過去は振り返れないんだーー」
翔子「桂と高橋先生が相当真剣に話し合っているな。あれは何の話なんだ?」
歩「桂、宿題のプリント忘れたらしいよ。いま必死でしらばっくれてる」
翔子「オーバーなやつめ……」
高橋先生「誓え! もう二度と俺との約束を忘れないと!」
桂「すまない……、そんな資格俺にはーー」
翔子「……そんなに宿題をやりたくないのか。だが、当然ながら形勢は桂に不利なようだな」
歩「それはどうかな、翔子。ーー桂はひとりじゃない」
翔子「なに……、まさかお前ーー」
桂が歩に目配せをし、歩が高橋先生と桂のあいだに割って入る。
歩「もうやめてください、先生! 桂は……桂は実は宿題をやっていたんです!」
桂「歩、そのことは秘密にと……」
歩「僕は桂が一方的に怒られてるのを黙ってみてられないよ……」
桂「歩……」
高橋先生「なにか、なにか事情があるのか……? 一方的に怒って悪かったな。もしよければーー事情を聞かせてくれないか?」
翔子は見た。桂と歩がこっそりとガッツポーズをするところを。
翔子「もしや押し切れると思っているのか……」
桂と歩がアイコンタクトを図り、次の発言の打ち合わせを瞬時に行う。
桂 (歩、ナイスプレイだ。だが、この次はどうする……? ここまで来たら相当スケールの大きな言い訳が必要だぜ)
歩 (任せて、桂。相当ハートフルな言い訳があるんだ)
桂 (ハートフルか……、やばそうな気はするがまぁいい、いけ。責任は俺が取る)
歩 (任せて!)
翔子 (元々お前の責任だろうが……)
歩「先生、実は桂は自分の宿題を身寄りのない子供に……」
高橋先生「まさか……プレゼントしたのか!!!」
歩「はい……。僕の分も……」
翔子 (お前も宿題忘れたのか!)
高橋先生「子どもたちは……子どもたちはどうなったんだ……」
歩「全速力で逃げました……。僕らの宿題を持ってーー」
桂「歩、ついに言ってしまったか……。俺は宿題なんてどうでも良かったんだ。あの子達の笑顔が見れればそれだけで……」
高橋先生「桜井、瀬川……お前ら……」
桂・歩「はい!」
高橋先生「今日追加で宿題を課すから絶対明日までにやってこいよ」
桂・歩「はい……」
翔子「何故押し切れると思ったんだ……」
明日から「鳥籠の姫君」解決編が始まります!
22時に更新予定ですので、お楽しみに!