わたくしの婚約者ははっきりいってめんどくさい
初小説です。しかも、思い付くまま書きました。見てくださる方がいればいいな。
「今回こそはと、思っていたのだ。今度こそ運命だと。」
私の目の前で、寝ぼけたことを抜かして…仰ってるのは、日本で知らない人はいない、いや、世界規模の食品会社の跡取り息子である。ちなみに、私の婚約者でもある。
「そうでしたか。今回の方はどちらの方でしたの？」
目の前のガトーショコラは、濃厚さが売りの彼の系列レストランのものである。わざわざ仕上げに、我が家のシェフが生クリームを添えてくれたのだ。早く食べなければ、クリームもなよってしまう。
「３日前はじめて入ったコンビニエンスストアの店員だ。その場で電話番号とSNSを渡された。」
「…そうでしたの。」
うん。まず、仕事しろ、その店員。客相手にすぐ渡せるっていつも持ち歩いているのかよ…いえ、持ち歩いていらっしゃるのかしら？そして、回りにいた取り巻きというなの護衛よ、それが凶器の場合責任問題だぞ？…あ。うん。いつもの感じだったのよね。恋する瞳となぜか彼の「運命の恋のはじまり」に発動されると言う人が入れない結界が出来ていたのね。もう、聞かなくてもわかる。
なぜならば、これで運命の恋のはじまりは34回目だから。
「そして、いつもと同じようにしてしまったのね？」
「もちろんだ！すべて受け入れ、乗り越えなければ運命ではない！」
そう、そして、「いつものように」終わりを迎える。はじまりから発展はしない。なぜならば、
「俺と人生をともにするなら、わが社の創立から子会社まですべて理解し、さらに関係各社に対応する能力をつけてもらわなければ。専門知識はもちろん、マナー、語学も必要だ。さらに、婚約破棄に生じる賠償も個人のことだから二人で解決しなければならない。
もし、社を捨ててというのであれば、後継者の選抜と俺が今受け持っている事案の引き継ぎが必要だ。会社から突然の退社について、訴えがあった場合、賠償発生するからその対処も必要だろう。
もちろん、私生活においても、相手方には誠実さが求められるから、すべて調べさせてもらった上での交際となるし。
相手には悪いから、こちらの私生活も提示するつもりだ。
その上で了承の上、交際しなければ。もちろん、他にも…」
あー。ガトーショコラが美味しい。
そうです。彼はとてもめんどくさい男なのです。よく言えば、真面目なのでしょう。箱入りなのでしょう。とにかくしっかり調べて、納得した上ではないとすすまない。つまり、街角での「運命」があったする。そして、次の日には、さっきの条件を紙ベースで届けられる。教えてもいない居住地に。もう一度言う、教えてもいないのだ。
はっきりいってただのナンパ目的だとホラーでしかない。さらに、内容は機密事項も含まれるため、その場で読み、持参した秘書に返さなくてはならない。そのときに、自分のすべての経歴を調査する許可も与える。これを、30分以内に理解し、署名しなくてはならない。
その時点でお別れを告げる人が多数である。しかし、なかには強者もおり、なんとかなるでしょ？で署名する方もいらっしゃる。某自動車会社の令嬢だったかしら？いや、先週の高級ホステスさまでした？まぁ、承諾した彼女は、すぐさま拉致された上、教育が始まる。そして、次の日にはみなさん、笑顔でお別れを告げるのだ。
「なぜ、みな、運命ではないのだ。教育と言ってもたいした内容ではないだろう？」
「…どうでしょうか？」
うん、めんどくさいからだよ。はっきり言わせていただけば、軽いノリ、金、地位目当てでなんとかなる代物ではない。
私だって幼い頃からやってなければ、やれるわけがないと断言できる。勉強、習い事はもちろん、遊んでいいと言われたのはグランドピアノとバイオリンとプログラミング専用のパソコン。ご友人にと合う友達候補は、一切日本語が伝わらず、各母国語しかやり取りできない状況。こっちは歩み寄ろうとしてるのに、一切日本語覚えなかったな奴ら。いえ、今はいい友人だよ？悪友とも、腹黒部下ともいうが。
「待たせて悪いとは思うが、運命があると思っているんだ。」
「ええ。」
そう、私は彼の婚約者。惚れやすく、くそ真面目で、面倒な運命論者の、婚約者。
彼に運命を感じてもらえなかった、彼を愛する、彼のためならアレルギーのショコラも克服して見せる、婚約者である。
連載版掲載にともない、こちらを削除することにしました。ブックマークや、評価してくださった皆様、ありがとうございました。連載版もよろしくお願い致します。10日削除予定です。
…規約違反に当たるそうなので、やっぱり削除しません。後日このあとがきも消させていただきます。不馴れですみませんでした。
