1/26 『どっかで聞いたセリフ』
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風乗春太:ペット愛に溢れる少年。ムダにカッコつけたがる。犬か猫と結婚したい。あだ名は『シュンたん』。
マキンリア:赤茶髪の快活な少女。元気いっぱい。食いしん坊。あだ名は『マッキー』。
チーちゃん:チワワ。上半分は黒い体毛で下半分はベージュ色の体毛。勝ち気な女の子。
プーミン:シンガプーラ。セピア色の短毛。甘えん坊の女の子。
セリーナ:ボルゾイ。純白の体毛。頼れるお姉さん。
セーネルの街:中世ヨーロッパ風の石造りの街。近辺に幾つかの狩場を抱え、そこで稼ごうとする冒険者で溢れている。狩りの帰りに冒険者達が飲食店を求めるので、街には飲食店がいっぱい。食べ歩きには困らない。
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冒険から帰ってきた春太とマキンリアは今日も新たな食事処を開拓。
賑わう店内で二人はテーブルに向かい合って座る。
注文を済ませ、品物が運ばれてくるまでの時間はお喋りの時間となっていた。
「さあシュンたん、あたし達のトークショーの時間がやってきたよ」
楽しそうに言うマキンリアに、春太はラジオ収録みたいだなと思った。
「ああ、今日もこの時がやってきたか」
「シュンたん、今日は感想も来てたよ!」
「応援メッセージはマジ嬉しいな」
「モフモフが凄く良かったみたい。どの子が好きなのかな~?」
「うちの子たちはみんな最高だからね甲乙つけがたいね」
「シュンたんの生まれ育った町では何か名物はあるの?」
「名物ってほどのものではないけど、B級グルメ的なものならあるよ」
「B級グルメ?」
「既存の食べ物にちょっとひねりを加えてご当地料理ですって言う、そんな感じのもの」
「じゃあセーネルのマイオークラッケもB級グルメ?」
「そうだね。似たようなものが他にもありそうだし」
「元々は東の国から伝わったものらしいよ。元祖の方では硬い生地を使っておにぎりと一緒に山仕事に持って行ってたんだって」
「意外なところでマイオークラッケの歴史が知れたな」
「フッ……シュンたん、食とは歴史そのものなのだよ」
「無駄にキリッとするのやめてくれる?」
「シュンたんだってよくやってるじゃない」
「それはそれ、これはこれ」
「ズルーイ! セリーナ、叱ってやってよ!」
「ははは、セリーナが俺に対して怒るわけ……ヒイッ歯を見せてらっしゃる! すいません調子こきました!」
「セリーナって本当に賢いね。シュンたん、負け犬みたいになってるよ」
「負け犬……だと?」
「あれ、怒っちゃった?」
「フッ……嬉しいに決まってるだろ。犬と言われるのなら何でもいい」
「無駄にキリッとするのやめてくれる?」
「マッキーだってよくやってるじゃないか」
「それはそれ、これはこれ」
「どっかで聞いたセリフな気がするけど、まあいいか。今日はこの辺で終わろう」
「そだね、じゃあまた!」
二人のもとにごろごろ野菜のシチューが運ばれてきた。