表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法のお庭物語ーまじまじー  作者: 朝乃 ことり
7/86

空を飛ぶもの

 私は空を飛んでいた 地上を見下ろすと焼野原に人の屍が無数に倒れていた。 

戦か 人間どもも飽きぬものだな そんなことを考えながら地面に降りていくと

黒焦げになった桜木の根元に母子の死体があった。母親は子を庇い黒焦げになっていたが

子供の体は綺麗なものだった。が煙で息ができなかったのだろう。

母親の腕の中で冷たくなっていた。

 子供の魂は母親の亡骸から離れることができず、独りで泣いていた

もうそこに母の魂はないというのに。

死してなお人の世の悲しみで苦しむ必要もなかろう。

私はその子供の魂をそっと抱き上げ、桜の種に入れた。

桜の精に転生して長い時間を使い苦しみを癒すがよい。

そう言うと泣き止んだ子供の魂は私に尋ねた。

「お母さんにまた会える?」

「また会えるよ いい子で寝ていると春が来るからね

そうしたら桜を見に来た母上に必ず会えるさ」

母親の魂は輪廻の世界に還っていた。

時間はかかるだろうが、一度会えたものに二度と会えない道理はない

 桜の精の時間は悠久だ。後は人の世の苦しみから離れのんびり休めばよいだけのこと。

良い土地を見つけたら、そこにお前を埋めてやろう。

私は桜の種を胸にしまいその場を飛び去った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ