青太坊の恩返し
朝起きると気分が悪かった。でも庭に出なければいけない気がして庭に出ると
昨日女の子に貰った種を植えた場所に大きな木が生えていた。
一日で種が木になったりするんだ。なんとなく納得してしまった。
その木に近づいてみると桜の木だとわかった。木に触れてみると、
気分が急激に悪くなり立っていられなくなった。そのまま後ろに倒れると
体を誰かに受け止められた。この前の黒い羽のある少年だった。
「まじの主…厄介なものに取りつかれたな
桜の精とはまた…
このままじゃ不味いぜ せっかく霊薬をこの前の礼にと持ってきたが
すぐに口に入れないと死ぬぞ」
倒れた体を少年に抱えられながら口に何かを近づけられた。食べないといけないと
思ったが口を動かすのさえ無理だった。
「本当に不味いみたいだな」
そう言うと自分の口に私に食べさせようとした何かを入れて、噛み砕くと腰につけていた竹筒の中身を口に含み、口移しで私に飲ませた。何を飲ませられたかわからないが、
意識と体の力が戻ってきた。気分も信じられないくらいいい。
たださっき飲まされた何かの後味が最悪だった。
「まずい 吐きそう」
「おいおい戻すなよ天狗様のありがたい霊薬なんだぜそれ」
絶対変なもの飲まされた気がするが、助けてくれたことは確かなので礼を言った。
「ありがとう 気分が良くなった」
「この前の礼さ 気にすんな」
「貴方 名前何だったけ?」
「そう言えば名乗ってなかったな
俺の名前は青太坊」
「あおたぼう君?」
「そ であんた名前は?」
「常世川 静」
「とこよがわ しずか ね
よろしくな」
死にかけた気がするが、とりあえず私は今日死ななかった。