マラソン大会の練習
俺は、今走っていた。いつもの日課としてもあるが、もうすぐ来るマラソン大会の為だ。
マラソン大会は、青空青春高校が毎年開催している企画だ。距離は10キロで街の周りを一周するのだ。優勝者には商品が出るらしい。まあ、その為にやっている訳ではないが。
今日は智香の所に行かず、近くの河川敷で走っている。その事を言ったら少し怒っていたので、後で何か差し入れでも持って機嫌でも直してもらうかと思案していた時、前方に俺と同じく走っている女の子を見つけた。
すみれだった。俺は、少し足を早めた。
「よお。すみれ」
「あ!おはようございます。良太君」
すみれは俺を見つけると最初は驚いていたが、すぐに笑顔になった。
「すみれもマラソン大会の為に走っているのか!」
「私もっと言う事は良太君もですか」
「ああ。いつも走っているとは言えさすがに10キロはきついから、1回本番と同じ距離を走ってみようと思ってたんだ」
「私もです……それじゃあ一緒に走りませんか?」
「俺は全然大丈夫だが、すみれは良いのか?」
「良いも悪いも私が誘ったんですよ。一緒に走ってください」
「よろしく頼む」
俺たちは、一緒に走ることにした。いつも走っている時は1人だったのですみれが隣にいると新鮮に感じてしまう。
(こう誰かと一緒に走るのも悪くないかもな)
5キロ地点に到達した。俺は、走りながら息を整えていた。さすがに5キロは走っていなかったので、少しきつくなって来た。すみれは大丈夫かなっと思って隣に向いた。
すみれは綺麗な走りで全然疲れていないような感じだった。確か雫が言っていたが、すみれは運動も出来るらしい。文武両道とはよく言ったものだとその時の俺は思った。
8キロ地点にたどり着いた。後2キロと少ないので自然とやる気が出てきた。走っている途中で周りを見ていた。俺たちと同じく走っている人や犬の散歩をしている人、河川敷で遊んでいる子供たち。俺は、その光景を見ながら少し笑ってしまった。
ようやく到着した。汗もたくさん出ており少し頭がふらつく。
「大丈夫ですか?良太君」
すみれが心配した顔で話しかけてきた。すみれの方は汗はかいていたが、まだまだ余裕そうだった。
「大丈夫だ。それよりもすみれは凄いな。綺麗な走りで全然疲れていなそうだから」
「あ、ありがとうございます。いつもこの位の距離を走っているもので」
いつもこの距離を走っているのかさすがだなと驚いていた。俺の家から神社まで片道2,5キロで休んでから家に走って戻る。しかしすみれは少なくてもあの河川敷からここまで10キロ走って、戻る時も同じ道を走って戻るらしい。再度生徒会長の実力に納得してしまった。
俺は、すみれのお気に入りの珈琲店が近くにあると言う事なので、2人で言ってみた。
外見は少し古びていたが、中に入ってみると珈琲の香ばしい匂いが漂ってきた。俺たちはすぐ近くの席に座ると注文した。俺は、朝食を抜いてきたので、トーストセットを頼んだ。すみれは、ホットケーキセットを頼んでいた。俺たちは、頼んでからすぐにマスターが持ってきてくれた。
「ごゆっくりどうぞ」
俺たちの所に置いていくとすぐにカウンターに戻ってしまった。俺はそれを見届けると、トーストを少し食べてみた。
「うま!何だこれ」
食べた瞬間口の中に広がる甘さが絶妙でとても美味かった。すみれは、俺の姿を見て微笑んでいた。
「私も最初来た時同じ反応をしていましたよ」
「そうなのか。たまにはここまで走ってくるのも悪くないな」
「後でまた一緒に行きますか?」
「ああ、頼むぜ」
俺たちは楽しい会話をしながら朝食を食べた。俺は、この珈琲店を教えてもらったお礼としてすみれの分も払った。すみれは、ダメですとか言ってきたが粘り強く話していたら折れてくれた。
それから俺たちは、元の道を走りながら戻った。
(これだけすみれにお世話になったんだ。マラソン大会で良いタイム出さないとな)
そう思いながら帰路に着いた。
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