文化祭~準備編~
休みも終わり9月の中旬になった頃、俺たちのクラスでは文化祭の出し物について話し合っていた。その話し合いが尋常ではなくいつの間にか男子と女子の対立になっていた。
「男子は、メイド喫茶の提案を女子に快く呑んでもらいたい。文化祭を盛り上げるためだ。頼む!」
「「「頼みます」」」
拓也を筆頭に男子全員が頭を下げていた。
ところで女子は、エリカを筆頭に男子の案を却下していた。
「嫌よ、そんなの。どうせ女子のメイド姿が見たいだけなんでしょ?」
「「「そうよ!そうよ!」」」
「何を言うんだ!女子のメイド姿を見たくない男子がこの世の中にいるだろうか?いや、いるわけがない」
「却下!」
「どうかお願いします!」
拓也が率いる男子はとうとう女子に土下座までする様になってしまった。さっき、男子と女子の対立と言っていたが、一方的だった。俺は、情けない男子を一瞥した後、窓の外を見た。晴れ渡る青い空とそのとこに浮かぶ小さい雲を観賞していた。
「良太も頼んでくれよ!お前なら女子たちが納得してくれると思うからさ!」
そこに拓也が邪魔してきた。せっかく落ち着けると思ったのにこいつがまた邪魔をして来やがったと思いながら拓也の方に顔を向けた。
「何で、俺だと大丈夫なんだよ」
「お前は俺たちと違って意外と女子からの評価が高いんだよ。だから頼む」
「お前が自分から低くしているんだろうが!俺は、眠いから寝る!」
俺は、そう言いながら眠ろうとしたがもう1人邪魔者が乱入してきた。
「良太、ちょっと男子たちを黙らせてよ。私たちはもううんざりしているのよ」
拓也の次はエリカが現われた。こんなんじゃ眠れねぇと思いながら席を立った。俺は、教卓の前まで歩いてくるとクラス全員が聞こえる声で言った。
「男子は何がやりたいんだ!」
俺は、力強く言った。拓也がきっぱりと言った。
「メイド喫茶!」
男子の提案に女子が反発した。
「「「却下よ!」」」
「それじゃあ、女子は何がしたいんだ?」
俺は、男子よりかわ弱い口調で言った。そしたらエリカは少し迷っていたが、数秒後たった後おずおずとした口調で言った。
「お化け屋敷かな」
「そんなどこの学校でもするような事を言うな!やっぱりメイド喫茶の方がいいね!」
「ばっかじゃないの!そんな事言うから私たちからの評価が下がるんじゃない!」
「良太はメイド喫茶の方が良いよな!」
「良太はお化け屋敷の方が良いよね!」
クラスの男子と女子までもが俺の答えを聞きに来ようと近づいてくる。それで、俺は大きな声で言った。
「クラスの出し物は…………メイドお化け屋敷だ」
俺がそう言うとクラスがシーンと静かになった。よし、これで寝られると思い自分の席まで戻ろうとした。
「どういうこと(よ)だ!」
「お前たちが、どちらも引かないから合わせた。それだけだ」
クラスの皆は少し戸惑っていたが、男子はメイドがあるならと言い、女子は面白そうと言ってその案を合意した。拓也とエリカもクラスの皆を見て、まだ俺に反論したそうだったが、またややこしくなると思い納得してくれた。
(ったく。俺から言わせんじゃねぇよ)
そう、悪態を付けながら俺は眠りに入った。
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それから数日後俺は、何故かクラスの出し物の責任者になっていた。皆曰く良太が決めたんだから責任者を頼むと言われた。だるく感じながら俺は、クラスの皆に指示を出していた。入り口の飾り付け、光の調節、お化け役の配役と交代時間などたくさんある。
「良太君、これは何処におけば良い?」
「良太さん、資材の値段が足らないんだけど」
俺は、責任者の立場のせいでクラスの皆に質問攻めにあっていた。だるいなっと渋々指示を出していたが一向に減らなかった。
(こんなんで終わるのかよ!?)
心の中で嘆いていた。その時、俺の後ろから指示を出してくれた人がいた。
「それは、入り口付近に設置しといて。あと、資材の値段は生徒会に話し合っているから明日まで待ってて」
エリカが俺の援軍として来てくれた。とてもありがたい。
「しかし良いのか?自分の場所とか」
「私の方は終わって次何しようか悩んでいる時、良太が困っていたから助けに来たのよ」
「マジで助かった。それと、拓也はどうしたんだ?あいつに買い物を頼みたかったんだが」
俺はクラスを一通り見たが見つけることができなかったため、エリカに聞いてみることにした。
「拓也君ならどっかで遊んでいるんじゃない?」
「くそ、あいつめ!後で覚えてろよ!」
俺は、悪者が逃げる時に使ってそうな言葉を悪態をつけながら言った。
それから俺たちは文化祭の準備の為に毎日駆り出された。文化祭あと少しで始まってしまう。それまで頑張らないといけないなっと思った。
「良太、早くしなさいよね。まだ仕事あるんだから」
「わーたよ。すぐ行く」
もう少しで来る文化祭を楽しくなれば良いなっとそのときの俺は思うのだった。
更新遅くなりすみませんでした。
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