表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人形2体と行く異世界  作者: 砂上天秤
7/9

人形の心と少女の心


足枷従軍で(俺をかついだ兵長が)歩くこと15分、目的の敵陣に到着した。

簡易な陣地ではあるが、柵にテントと防衛施設自体はそれなりの物であると言えるだろう、最も此方が作戦通り人形使いの数を減らせばそれで問題ないのだが……


そう思いながらチラリとメイリアに目配せすると怪訝な顔で此方を睨んでいる。

演技だとしたら中々の女優だが多分本心だろう。


と、そんな事を思っていると沢山の兵達に迎えられ自分を一時的に牢屋に入れる事に成ったのだが、自分も独自に情報を持っているので、メイリアが嘘を言っていないかの判断基準の一つにしてほしい、と、駄目元で言ってみた所数分揉めた後OKが出た。


どうやら兵長(仮)が口添えしてくれたらしい、やはり良い奴だ。

もっとも、俺が暴れ出さないとも限らないので4人程人形使いを監視に置かれているが――そこは問題ない、メイリアも少し離れた場所に佇んでいるからだ、というのもこの世界の人形はマスター側とのパスという物があるらしく、パスがつながって居ない状態では、最低限の歩く程度の移動しかできないらしい。


―――まぁ、こっちはパスなど初めからつながって居ないが。


さて、いよいよ尋問が始まる所だが、先に不安点を確認しておくとしよう。

敵を知り己を知ればなんとやらだ。


『全員殺すのに何秒かかる?』


『0.3秒と言った所ですか、尋問者のとの距離が若干遠いので少し手間がかかります』


成る程、ならば問題は無いが……個人的な別の問題がある。


『兵長を殺すのは心苦しい、なんとかして関係を崩さず面倒な奴だけ殺したいができるか?』


『はぁ、相変わらず無理難題を言いますね……皆殺し以外でやると難しいですがまぁ、方法が無い訳でもありません―――椿、聞こえますか?』


ふむ、どうやら椿にも協力を求めるらしい、良い兆候だ。


『感度良好だ、此方は混線も無いから通信もやりやすくて助かる、

公共の電波だって使いたい放題だ、一度公共電波で卑猥な言葉をおもいっきり―――』


『おい馬鹿やめろ』


家の人形は優秀なのだが時々頭がおかしい事になっているのが困りものだ。

いや、自分自身かなりピーキーな設定を行っているのは理解しているが限度があるだろう。


『まぁ、主人が止めるなら仕方ない、次の機会にするさ……で?何の用だ?』


『プランに変更を加えたいので報告を、経費は照明弾1発とフレシェット弾を1発、総合的判断はマスターに委ねますが、神楽椿の判断も仰ごうかと』


『承知した、プランの変更とは?』


『このまま敵軍に付いたフリ、あるいは軍で身分を保証してもらい、アチラの国での行動を行いやすいようにしようかと』


それも一つの手か……考えたが……


『そうなると依頼主はどうする?金はしっかり貰わねばならんから、目を離した隙に死んでましたじゃ話にならん』


『ええ、ですから椿に護衛を依頼しようかと』


『えっ?ちょ、ちょっと待て!私だけ置いてけぼりか!?』


『……私の持続戦闘にはメンテナンスが必要になります、その点椿であれば弾薬無しでも礫弾で消費無しで戦えますし近接戦も私程では無いにしろ行える、適任です』


『いやまぁ、そう言われればそうなんだけどな!?満開心許ないんだが!?』 


『我が姉は強いと信じて居ます』


キリッと語尾につきそうな感じで言い切る緋桜、だがまぁ……確かに緋桜の言う事も間違いじゃないだろう、ターゲットが戦線近くに居るのであれば椿が、後方に居るのであれば我々が殺せば良い。


『俺としても賛成だ、なんせクライアントから提示された情報そのものが少ない、対象さえ目視できれば遺伝子配列パターンから本人かを割り出せるが、そもそも何処にいるかメイリアすらわかっていない、それに既に死んでいる可能性もゼロじゃないとなればどちらにしろ確認は必要だ』


今回の契約は大雑把過ぎた、渡りに船というのもあり、詳しい内容を取り決めをせず決めてしまった所がある。


その結果、メイリアは自分自身を盾に俺達を戦力として使っているのだ。

我々がしたいのは復讐と制裁の手助けであり、けっして戦争ではない。


『……主人の意向がそうであれば従うが、常に情報共有を行ってくれ』


『当たり前だろう、此方も正直心配だからな』


『主人………トリガー預ける、ソチラの任意タイミングで発射してくれ』


『いや、気が早い……まだ何するか聞いてないし預けるべきは緋桜だろう』


『す、済まない、主人の愛のあまり先走った』


椿のせっかちには困った物だ、さて、俺の予想が正しければ緋桜の策とはおそらく―――


『で、照明弾打って視界引きつけた瞬間フレシェットで俺達ごと吹っ飛ばすのか?』


『はい、守りたい人間だけ守って後はフレシェットで殺します、

ついでに、メイリアを近場の草むらに蹴飛ばし追撃するフリをして担いで逃します』


『まぁ、悪くないと思うぞ』


最善なのかは不明だが、少なくとも悪手でも無いはずだ。


『では実行に移しましょう、アイハブコントロール』


『ゆーはぶこんとろーる、FCSは私の物を使用してくれ』


さて、この作戦は吉と出るか否か……いざ尋常に勝負と行こう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ