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星との付き合い方

作者: natu
掲載日:2026/06/06

ここは、星空図書館。様々な星の情報を本にしてまとめ、保管している場所である。


そんな場所の一角で、私がつぶやいた。


「アストロは隕石と接触して滅亡っ、と。また、書き換えなきゃいけないのか...」


私の名はステラ、星空図書館の職員である。仕事の内容としてはお客さんの接客や書類整理だ。


「ステラ、弱音を吐いても書類はまだまだくるわよ!ほら手を動かし.. よし、あと半分のピースで完成!」


「ミントさん、パズルやってる暇あるなら手伝ってくださいよ。ほら、もうすぐ開館(オープン)しますよ。」


「あとすこしだけ... ここのピースってどこにやったっけ?」


と言いながら、パズルと格闘しているのは、星空図書館名誉司書ミントさんである。一応認めたくないが私の雇い主であったりする。


「ステラ、今失礼なこと考えなかった?」


「そんなわけないですよ、ミントさん。ほら開館(オープン)しますよ。」


「はいはい、わかったわよ。あと私のことはミント先生っていってよ!」


「善処します。」


「それ善処しないやつじゃない?」


「・・・」


開館(オープン)。それは新しく生まれた星へ出向き、様々な情報をまとめるために図書館の裏口から星までの道を作ることである。もちろん一回だけでなく、複数回行く必要がある大変な作業だ。ちなみに開館オープンはミントさんしかできない権限の一つである。実は意外とすごいのだ。


「今日行く星って何回目だっけ?」


「ちゃんと報告書を見といてくださいよ、ミントさん。今日で3回目の開館ですよ。」


「そうだったっけ? まぁいいわ。行くわよ!開館(オープン)!!!」


その声と同時に図書館の裏口が開かれた。目の前に現れた星は[メモリアル]、この星には


少々問題があり、それは...


「はじまりました、ミントさん!」


「また~...星ができてから間もないから仕方ないけど、こんな(ストーム)起きることある!?」


風ストームそれは、星が生まれて間もないときに起きる自然現象だ。巷の論文だと、(ストーム)は星の形を整えるためだとかどうとか言われてるらしい...


「私は(ストーム)なんて当たってもへっちゃらだけどよけるの大変なのよね~」


「すいませんね、私がミントさんみたいによけられなくて。」


「フフっ、まぁいいわ。行くわよ、ステラはぐれないで!」


「はいはい、わかりました。一応(ストーム)の頻度に対してメモしておきます。次の(ストーム)は大体1時間です!」


「わかったわ。」


と談笑しながら、ようやく[メモリアル]の表面についた。


「ようやくついたわね。ステラ、次の(ストーム)がはじまるのは?」


「先ほども言ったじゃないですか、あと40分ぐらいですよ。」


「あら、ほんとに言ってた?」


「言ってましたよ。最近忘れっぽいんじゃないですか? やっぱ年を取ってきたから...」


「何を言ってるの、ちょっと疲れてるだけよ。ほらメモとって。」


「わかりました...」


「ほら、植物の跡っぽいのがあるわよ!」


「ちがいますよ、これは(ストーム)の跡ですよ」


「あらほんと? 残ね...」


ふらっ


「危なっ」


「ミントさん大丈夫ですか?」


「ちょっと疲れがきちゃってるわね。開館(オープン)って大変なのよ??」


「そんなこと言ってないで、ほら乗ってください。」


そういいながら私はミントさんに背を向ける。


「どうしたのよ。」


「おぶってってあげますよ。疲れてそうですからね。」


「あら珍しいわね。意外とやさしいところもあるじゃない」


「はいはい...ほらいきますよ。」


私は開館(オープン)されている場所まで(ストーム)に気を付けつつミントさんをおぶって向かうことになった。


「しかし、珍しいですね。」


「なにがよ。」


「ミントさんが疲れて倒れそうになってることですよ。昔は、そうじゃなかったのに」


「何年前のことを言ってるのよ。もうおばあさんなんだから仕方ないでしょう。あんたは出会った時からあんまり変わってないように見えるけどね!!」


「やめてください、その変な親心。」


「いいじゃない、もう長い付き合いなのよ?」


「まったく...」


と言いながら私はミントさんに出会った日のことを思い出していた。








「ステラちゃん!鬼ごっこしよ!」


「・・・星を見てるから無理。」


「まだお昼だから星なんて出てないよ」


「わたしには星が見えてるのよ。」


「変なの...行こうぜ!!」


当時、私は星が大好きな少女であった。しかし同年代と比べて、趣味が大人びており、誰とも話が合わず、ひとりぼっちであった。


なんでみんな星が見えないんだろう?やっぱり私って変なのかな....そう思いながら雨の中、帰路についていた時だった。


「君、なんで泣いているんだい?」


「え... どうしたんですか。」


気が付いたら涙が頬を伝っていた。この涙は自分が友達ができないことに対する孤独感か、それとも自分に対するやるせなさか、いまだにわからない。


「実は、星が好きなんですけどほかの子と話が合わなくて、親からもいいように思われていなくて...」


「それは気の毒だな。例えば、どんな星が好きなんだ?」


「わたしが好きなのはエトワール、シェーナとかです!なんでかっていうと...」




またやってしまった...1時間も知らない人に好きな星について熱弁してしまった。どうせわからないのに、この癖のせいで友達ができないのだろうだと反省を心の中でする。


「すみません、わからないですよね...」


「すごいじゃないか!」


「・・・え?」


「私も星のことがとても好きなのだが、こんなに詳しい子供は初めて会ったよ!」


わたしはとても驚いた。星が好きな趣味をわかってくれるだけでなく一緒に話せる知識がある人と出会えたことに。


「君の名前は何というんだい?」


「ステラっていいます。」


「ステラか...星の輝きを感じられるいい名前だ。君、私の図書館にきてたまに話さないかい?もちろん星関係だよ!」


「いいんですか?もしよろしければ一緒に話したいです!」


「もちろんだとも!おっと自己紹介をしてなかったね、私の名はミント。星空図書館の名誉司書ミントという、これから君に星の付き合い方を教えるものだ!これからよろしく!!」






「たしかに星の付き合い方を教えてもらいましたよ。そして人との付き合い方もね...」


「何か言ったかしら。ステラ?」


「なんもないですよ」


「そう、私ちょっと疲れたから寝るわね。」


「はいはい、わかりました。」


私は改めて思う、背中で寝ている彼女の名はミント、星空図書館の名誉司書ミントであり、認められないがわたしの雇い主である。しかし、彼女は私に星だけでなく人との付き合い方も教えてくれた、私の尊敬する先生である。


「星空図書館に戻りますよ、ミント先生。」


「・・・いま先生って言った?」


「言ってないです。」


「言ったよね、ステラちゃん~!」


「なんにもないです。」


「ふ~ん^^」


「きもいですよ、ミントさん。」


「ひどい~ コホ、コホッ。」


「大丈夫ですか?」


「やっぱ年だからね。」


「長話が過ぎました、すぐに戻ります。」


最近咳きこんだり、寝込むことが増えてきていて、私はミントさんに残されている時間は少ないことはわかっていた、そしてそれは本人もわかっているだろう。いつものように掛け合っているこの日常を大事にしようと思いつつ、私は星空図書館に戻った。




戻ってからミントさんは寝込むことが増えてきた。


「やはり星空図書館名誉司書も老いには勝てないんですね」


「コホッ、うるさいわね。」


「冗談ですよ、こちら白湯です。お体をお大事になさってください」


「ありがとね」


最近ミントさんは元気がないように見える。心配した私は一つの提案をした。


「ミントさん...」


「どうしたの?」


「あなたがこの前やってたパズルいっしょにやりましょうよ!気晴らしになるかもしれません」


「・・・そうね」


「それでは持ってきます」


「ステラ」


「はい?」


「...ありがとう」


「...お礼を言うのなら早く体を治してください」


「わかってるわよ。」


パズルをもってきてから驚くようにサクサクと進んだ。


「2人でやるとすぐ終わるわね。」


「そうですね...よし!あと1ピースですね。どこかに落ちています?」


「そのピース最初から探してい....コホっ...たのだけれどもないのよね。」


「そうですか...せっかくのあと1ピースなのに。」


「ないものは仕方ないわね、そういえばこの前行った[メモリアル]もう一回行ってみてもいい?」


「だめですよ、お体に障ります。」


「おねがい、ステラ1回だけ、少しでいいから...」


「はぁ~少しだけですよ。」


「やった!ありがとうステラ!」


はしゃぐミントさんをおぶって準備をした。


「準備できましたか?」


「もちのろんよ!」


「じゃあ行きますよ。開館(オープン)。」


図書館の裏口が開き始めた。じつは私はミントさんから開館(オープン)の権限を譲ってもらい星の情報を集めていた。


「[メモリアル]につきました。いったいどうしたんですか?」


「ちょっとやりたいことがあってね。」


ミントさんは私に[メモリアル]へもっと近づくように促した。


「気を付けてくださいね。まだまだ(ストーム)は吹いていますから。」


「わかってるわよ、ところでステラ?」


「どうしたんですか。」


「[メモリアル]にある力知ってる?」


「分からないです。」


「でしょうね!いくわよ見てなさい・・・」


そういいながらメモリアルに触れて何か話した後に突然星の表面が光り始めた。


「・・大丈夫ですかミントさん!」


「全然平気よ、そんなことより見て頂戴!」


彼女は周りを指さしながら言うのであたりを見渡すと...


「とても美しいですね...」


「なんかもっとないのかい?」


「いえ、これは...出てくる言葉がありません。」


私は涙声になりながら答えた。彼女が見せてくれたのは、いままでの私との記憶の断片であった。


「これは、はじめて一緒に星の調査をした日、あの時はミントさんあれは、はじめて料理をした日、意外とできなくて困っていました。」


「いまは卵焼きぐらいならつくれるようになったけどな!!」


「すごいですけど、あんま変わらないですよ。そして、これは...」


いちばん光っている記憶を眺めると涙が止まらなかった。


「あなた、いや...ミント先生と初めて出会って歓迎会をしてくれた日。」


「ようやく先生って言ってくれたな」


「この日は、私にとって初めて、自分のことを理解してくれる人に出会えたんです。そして心から向き合ってくれる人にも。」


「...そうか...私はもう先が長くない、この老い先短い体だからな...」


「ミント先生。」


「私は最後に君に伝えられたかな?星との付き合い方をそして、先生としての背中を...」


「はい。十分すぎるほどに私は伝わりました、それだけでなく人の付き合い方もね!」


「....それならいいわ。さて帰りましょう!この私の老体には(ストーム)が厳しいわ。」


「ええ...」


わたしはミント先生をおぶって帰ることにした。


「もしきみがよかったら私が骨になった後、代わりに星空図書館名誉司書をやらないかい?」


「やりませんよ、わたしにとって星空図書館名誉司書は1人だけですから」


「そういってくれて私はうれしいよ。あとも1つお願いがあるんだ。


「なんです?」


「パズルを完成させておいてくれないか?」


「...善処します。」


「それしないやつだろ。」


わたしたちは笑いながら星空図書館に戻っていった








それからミントさんが亡くなるまで1ヵ月も経たなかった。最期はとても静かだった。


今私は、星空図書館名誉司書...ではなく普通の職員で1人でミントさんの遺品を整理している。


「うーーん、あの人いろいろ書類がありすぎなんだよ、あれこれ結局見つからなかったパズルのピースじゃん!はめとこ!」


パズルをはめるとそこにはきれいな星空が広がっていた。


「これもあの人からのメッセージなのかな...」


私はふと思いつき、このパズルに描かれている満天の星空のような場所にミント先生の墓を作った。冥福を祈り感傷にひたりながら図書館に戻って、カレンダーを見ると私はあることをおもいだした。


「今日はミント先生の誕生日か。毎年恒例だし祝っておくか。」


ミント先生は祝い事にはとても厳しい人だった。私は大人になってから、図書館で住み込みで働いていた。するとミント先生は毎年誕生日を祝ってくれた。ミント先生曰く


「年に一度の特別な日を祝わないことはその人に対して失礼だろ?」


とのことらしい、ちなみに私とミント先生は奇しくも同じ誕生日だったため、私たちは祝いあってきていた。


「ちょっとしんみりしたな。気晴らしに外でミント先生へのプレゼントでも買ってくるか!」


私は身支度をして雨の中、プレゼントを買いに行こうとした。


(プレゼントはパズルがいいだろうか)


などを考えながら道端を歩いていると、男の子が泣いていた。私はミント先生と出会った時のことをおもいだしつつ、天国のミント先生からのプレゼントかと思い話しかけた。


「君なんで泣いているんだい?」


「実は星が好きなんだけど、みんながわかってくれなくて...」


「フフっ」


私は笑ってしまった。こんな同じ状況があるのかと。


「なんで笑ってるの」


男の子は不思議そうに、そしてこの人もわかってくれないのかという悲しそうな表情で


「いや何でもない...私の名はステラ。星空図書館職員ステラという、これからきみに...」








ミント先生が亡くなってから、数年後私はもう一度彼女の墓に訪れていた。しかし一人ではない...


「ステラ先生、これは誰のお墓ですか?」


「ネブラ、これは星空図書館名誉司書兼私の師匠のお墓だ」


彼の名はネブラ、あの日泣いていた少年であり、星が大好きなわたしの弟子だ。


「せっかくだしお墓へお祈りしようか」


「そうですね!」


(ミント先生、私も1人じゃありません。新しい弟子を作ったんですよ!彼も星がとても好きなんです!)そう心の中でいうと...


「ちゃんと教えてやれよ!」


ミント先生がそう言った気がした。


「もちろんです!星だけでなく人の付き合い方もね!」


「そろそろ帰りますか?」


「そうだね、ネブラ。よし、帰ってパズルをしよう!」


「え~あれ難しいんですよ...」


「まだ、お前には早いか!はっはっは」


わたしとネブラは笑った。その時、満天の夜空のどこかでミント先生も笑ったような気がした。

読んでくださりありがとうございます! この物語はミントからステラへそしてネブラへと大切な思いが受け継がれている作品です。


ぜひ、窓から星を見てください、もし見えていなくても星空図書館のちょっと変わった日常を感じることができたのならば幸いです。

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