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過去の天秤

私はレィテシア・グロリアはグロリア家当主である父親と庶民の母親の間で生まれた不遇の子で魔力を持っていた。


このウィスリー国には王族と魔力を司る貴族の家系が存在していた。

『光』魔法を司り、三つの家系である貴族の家には『炎』『氷』『風』それぞれの魔法が存在する。

貴族、平民それぞれ魔力は存在するが魔法を使えるものは決められた三家系と王族のみ。


三家系に受け継がれる魔法は代々二代しか受け継がれない。

魔法を受け継ぐ者こそが当主となり、王族と共に国を担う役割を伴っていた。


庶民で町一番の美しい娘だった母は町に視察に来ていた父から手篭めにされてしまい、私を身ごもった。

女手一つで私を育てていたが、私が五歳の時に流行病で亡くなってしまい、私の存在を知った父は私を引き取った。


彼が私を引き取った理由は単純なもの。

私がグロリア家の魔力を引き継いでしまったからだ。

グロリア家は魔法を使える覚醒者が出ていない。

その為、父は自分の跡取りの覚醒者を欲していた。


庶民の血を引く私をグロリア家は家族とは認めず、ボロボロの部屋に閉じ込め、食事もなかなか与えず、特に長男のアーノルドは弟と一緒に私を虐げて毎日のように虐めていた。


生き地獄のような毎日。

いつかこの生活から抜け出したい。

そんな思いを抱えていた。


そんな時、私が6歳の頃、魔法が覚醒した。

『氷』の魔法。

私の誕生日の日、ボロボロの屋根裏部屋の窓の外を眺めながら亡くなった母との思い出を思い出していた。

毎年母は私に小さな花をくれた。


とても可愛くて、綺麗で。

私はもらった花を押し花にしていた。

そんな幸せなことを思い浮かべ、明日は少しでも良いことがあるようにて祈ったら、手のひらには小さな氷の花があった。

それは紛れもなく『魔法』グロリア家の『氷』の魔法だ。


きっとこのことを父に話したら私の扱いは変わる。冷遇されることはないかもしれない。

だが私を目の敵にしているアーノルドは違う。

彼はプライドが高く、グロリア家当主になることに固執している。

魔法のことを知れば彼は今まで以上、私に酷いことをしてくるかもしれない。


アーノルドへの恐怖に対して私は魔法のことを黙っていることにした。


それから数年後。

私が17歳の時、父は事故で亡くなってしまい、代わりにアーノルドがグロリア家の当主となった。

そして私の魔法を彼は知ってしまった。


原因は私が偶然、屋敷の中で怪我していた兵士を見掛けて傷を治したことからだった。

彼は私に命じた。


「レィテシア。お前の力を俺の為、グロリア家の為に使え。やり遂げることができればお前をこの家から解放してやる」


「本当ですか!」

「ああ。俺も可愛い妹をこれ以上縛るつもりはない」


馬鹿な私はまんまとアーノルドの言葉に従った。

他人の命を奪う真似だけは避けて、グロリア家とアーノルドの利益になる為に魔法を使い続けた。それが罪になるとは知らずに。


後、アーノルドは私の魔法を利用して王族の情報書類を盗み、国外逃亡を測った。

グロリア家の全てを捨てて。

私に残ったのは国の反逆罪という罪で処刑されたことだけ。


もしも二度目の人生があるとしたら、今度こそ間違えない。

自分の幸せを掴むために諦めない……───。


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