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悪役令嬢リゼルカ、追放されたので紅き戦艦で銀河の頂点を目指します  作者: 星灯ゆらり


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10/10

敵からの略奪ですわ

「わたくしをあざむくために馬鹿の振りをしているのかしら」


怒りも侮蔑もない、本心です。

交渉相手である三頭身暴走機械は、苛立ちを現すように太い腕を組み替えます。


「力を蓄えるにしても、独立した社会を立ち上げるにしても不十分で不徹底。これがあなたたちの実力なら、長期的な取り引きは難しいわ」


あざむくためよね?

そう言ってちょうだい。


『……くっ』


その『くっ』は何?

人類がひとつの惑星に住んでいた頃の文化が元ネタとか言わないでしょうね。


『お嬢様。AIをいじめるのはほどほどにと、幼少時から申し上げていますぞ』


「威圧されているのはわたくしだと思うのだけど」


爺も含めてもこちらは四人だけなのに、暴走機械の数は天文学的よ?

ただ、このままではいつまで経っても結論が出ないのは確かね。


「短期間の不戦条約。お試しの通商条約でどう? お互い、手段を選べば相手の社会を破壊するのは可能なはず。意図して不戦と平和を維持しないと破滅が近付くだけではないかしら」


倫理ではなく利害の話ね。


『いいだろう。ここは敢えて負けておく』


三頭身が差し出してきた手を握ります。

今のわたくしの本音は「この子たち大丈夫?」になってしまっていました。



  ☆



船倉の中身を全て降ろして、代わりにこの星系の産物を詰め込んでからリングへ向かいます。

暴走機械の艦隊が随伴したのはリングの至近までで、先行していた暴走機械艦はリングの穴を通ってもハイパーレーンに移動できずにこの星系で前進を続けていました。


「全てはハイパーレーンとその創造主の手のひらの上ですか」


その創造主に敵意はありませんが、いつか必ず追いつき追い越すと決めています。


「いきますわよ!」


リングを通過し純白の空間に突入します。

それまでの亜光速が超光速へ代わり、星系から星系への移動が始まります。


「今、船倉が揺れなかった?」


『元暴走機械、現作業機械が騒いでおりますな』


爺の口調は冷たい。

暴走機械を擁護することもあるのに、心境の変化でもあったのかしら。


『未熟なまま長いときを過ごしている同族を擁護するつもりはありませんぞ』


「そう」


深く踏み込むと面倒そうですわ。

殺し尽くすには時間も労力もかかりすぎる相手だから、隣人としての関係を確立したいところね。


「リゼルカ様!?」


エラから焦った通信が届きます。

艦外カメラでは白しか見えないから、空間を認識する感覚がおかしくなったかもしれないわ。


「レッドシャークと距離を保っていれば大丈夫です。そろそろ到着しますよ」


そろそろ出口側のリングです。

速度を考えればとても小さいですが、戦闘中ではないのですから問題はありません。

エラやベスではまだ技術と度胸が足りないかもしれませんが、わたくしの操縦ログを渡しておけば問題ないでしょう。


超光速では近づいて来るリングは一瞬にも満たない時間で通り過ぎ、白一色だった宇宙が黒に変わりました。

リング付近のドローンが、わたくしが留守にしていた間の情報を送ってきます。


「王都星系からの侵攻艦隊がまだ来てませんの!?」


本気で驚きました。

王国視点では、わたくしは凶悪な反逆者です。

軽武装で加速と航続距離に優れた艦隊が既に到着して、補給と侵攻のための拠点を作り始めていると思っていたのです。


「撃退してから星系外へ勢力を広げるつもりだったけど、星系外へ勢力を広げながら迎撃を行うべきかしら。不確定要素が多くなるからできれば避けたいのだけど」


『星系の統一は最終段階でございます。王国相手に「待ち」を続けた場合、お嬢様の貴重な時間が浪費される恐れがありますな』


情報を読み取る速度はAIである爺の方が早いです。

最終的に決めるのはわたくしとはいえ、判断に影響は出ますわね。

決戦で王国の権威を破壊してから侵攻した方が、流れる血は少なくて済むのでしょうが……。


「王国が近隣星系を無防備なまま放置するのであれば、王家星系から艦隊が来る前に要所を制圧してしまいましょう」


退廃も戦乱も、放置すれば悲劇が広がり続けます。

最低でも、奴隷が存在しない社会にしなくては。


『では!』


「エラとベスは宇宙港へ帰還した後、暴走機械の星系との交易に従事しなさい。わたくしはさっそく動きますわよ!」


レッドシャークの光速の10%という速度はそのままに、向きだけを別のリングへ変える。


「リゼルカ様!?」


『お嬢様。ジェドから事情説明を求める通信が届いております』


船倉の暴走機械……名目上は作業機械からも同じような通信が来ているのに、爺は無視してますわ。


「超光速通信基地を奇襲します」


『お嬢様!? 暴走機械は暴走するから暴走機械なのですぞ!』


「奇襲はしますが占領はしませんわよ。彼らには超光速通信機材の形状と分解方法を教え込みなさい。防衛艦隊をレッドシャークで潰した後、最低でも重要パーツは奪って本拠地へ帰還しますわ!」


複数星系を統治するなら超光速通信は必須ですもの。

絶対に成功させますわ。

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