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婚約者が嘘告をするそうです。私に。  作者: もも


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1/9

1 聞いてしまった

よろしくお願いします

 「政略結婚なんだよな。贈り物とか茶会とかしてるのか?」


「しているけど、それがどうかしたのか?何も問題はないと思うが」


「いいか、マリエッタ嬢は婿になりたい男子生徒の憧れの結婚相手だ。可愛いし条件が凄く良い。愛想をつかされない内にさっさと告白をしろ。思いつく限り褒めるんだ。褒めるのが貴族男子としての嗜みだぞ。顔をみたら褒めまくれ。お前の家が援助されているのだろう。ならばせめて真心を尽くせ。良いな。贈り物とかしているんだろうな。子爵家に買われたと噂が流れているぞ」


「お茶会も贈り物もしている。あまり褒めてはいないがそれがどうした。政略とはそういうものだろう。貧乏な家が金のある家と繋がる、よくある事だ。全てを捧げる覚悟は出来ている」


「うっ、それはそれで凄いけど、どこか違っているような気がする。

婚約中に告白をした方が良いと思うよ。彼女凄く人気あるぞ。家が大金持ちというのもあるけどさ。逃がすと大変だろう。

好意を伝え、歩み寄った方が良いよ。幸せな結婚を目指せ。彼女可愛いじゃないか。お前無愛想だからな。誤解をされているかもしれない」


「失礼な奴だな、感情は死んではいない。高嶺の花だというのは分かっている。自分には過ぎた人だ。このままの関係で良いし、自信がない」


「褒めていないのか。どうしようもないな。女遊びはしなさそうだがでもいいから告白してみろよ、きっと喜ぶぞ」


告白・・なんて喜ぶわけがない」


「してみなけりゃ分からないだろう。賭けようか、喜んだらお前の勝ちで好きな本を一冊やる。呆れられたら俺の勝ち」




婚約者のヴィクター様と友人のギルバート様の話し声がしたのは学院の屋上だった。屋上は長い昼休みを一人で過ごせる癒やしの場所だった。

ヴィクター様狙いの令嬢に絡まれるのが嫌で漸く見つけた場所だった。誰も来ないのでランチを食べたり本を読んだりぼうっとして過ごせる。


階段の上段に足を掛けた時途切れ途切れだったが声が聞こえて来たのだ。

「嘘…でも… 告白を…してみろ」と。

決して立ち聞きではない。


それにしても告白をされたら嘘だということね、ヴィクター様。

気の乗らなそうなお茶会で気持ちが無いのは分かっていたけど、具体的に聞くのは堪えたわ。



今日に限って何故彼らがいたのか分からないが、もう来るのは止めにしよう。

また何処か目立たない場所を探さなければとマリエッタはふうっと息を吐き出した。


マリエッタの子爵家は先祖代々続いている由緒ある家柄だが、祖父が海運業で成功してから勢いが止まらないくらい成功を収めていて、今では国内有数の金持ちになっていた。


婚約者のヴィクターの伯爵家は父親に経営手腕がなく没落寸前だった。

貴族学院で仲の良かったヴィクターの父からの必死の頼みで纏まった婚約だった。


マリエッタの家には利のない婚約だった。高位貴族との繋がりは仕事で得ていたのだから。


商人として厳しい父も友情とやらに負けたのかしらとマリエッタは思っていた。いずれ何処かに嫁ぐのであれば、なるべく役に立ちたいと思っていたので、ヴィクターと共に伯爵家を盛り立てて行こうと思っていた。この話を聞いてしまうまでは。



ヴィクターはサラサラと流れるような金髪に空色の瞳を持ち、身体は無駄な贅肉が付いていない細マッチョなイケメンで伯爵家の嫡男だ。

没落寸前でなければさぞかし令嬢から騒がれたことだろう。今でさえ子爵家が金で買ったと噂する者がいるのだ。


マリエッタからしてみれば、じゃあ貴方達が買いなさいよと思っていた。

淑女なので口にしないが。


自分の家が金持ちなのは分かっている。屋敷は豪邸で高級品しか家にはないし、マナーも勉強も一流のものを与えられてきた。


親の不始末を押し付けられる事をヴィクターが不満に思っているとしても仕方がないと思う。でも家を建て直せるのは後継ぎしかいないし、その資金は嫌いな婚約者の家から出ているのだ。頭で理解していても感情が付いていかないのかと、気持ちが落ち込んだ。


マリエッタのクロス家からは既に援助が始まっていて領地経営に人材と大金が動いている。薄汚れていた屋敷も手が入り、外側は勿論屋敷の中まで綺麗になったと聞く。食事も服も随分良くなったはずだ。


なのにヴィクターと会うのは月一回の淡々としたお茶会しかない。学院内ではクラスも違い会うことも少ない。しかも子爵家に買われたと噂まで出ている。プレゼントもくれるが花とかお菓子だ。


マリエッタは嘘告をしてきたら、どうやってぐうの音も出ないほどやっつけてやろうかと好戦的になった。

いやそれより喜んでいるふりをしてつけ上がらせてから叩き落とすのが良いと考え始めた。

元々マリエッタは穏やかな性格だが、やられっぱなしは嫌いだ。

読んでいただきありがとうございます。

急に思いつき書きました。勢いで書いたので軽い気持ちで読んでいただけると嬉しいです。

濁点の指摘ありがとうございます。ですが持っているデバイスでは上手く出来ませんでした。ひらがなの上には無理のようです。

お名前は出しませんがいつもありがとうございます。

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