ひょっとして私、悪役令嬢なのではないかしら?
今回はゆるっとラブコメです。
誤字報告ありがとうございます、訂正させていただきました!
私は生まれた時から前世の記憶があった。
だからこの身体の持ち主は私で間違いないんだと思うんだけど。
この何故か直らないたゆんたゆんの金色の見事な縦ロール。
愛情たっぷりのお偉い四大公爵家の長女に生まれて。
でもこの身に宿る魔力の最適性属性は闇魔法で。
そして今、まさに王太子殿下とお見合い中。
私、前世でたんまり読んだ悪役令嬢なんじゃないかしら?
ずっとずっと疑ってこの世界で生きて来たけれど、目の前のにこにこ笑う殿下が地雷にしか見えない!
王立魔法学園もある。来年には初等部に入学予定だ。だからこそのお見合いなのだとわかるけれど…断罪、破滅は嫌!!
「失礼ですが殿下、ふわふわしたお花畑みたいな思考の女の子が好きだったりしませんか?」
「ううん。僕は君みたいなしっかりした子が良いな。でもそんな事聞いてくるちょっと変わってるところも面白くて好きだよ」
「距離感が近くて、傍に居ると癒される…みたいな女の子は」
「婚約者以外と距離が近くても困ってしまうよね」
どうしよう。まだ殿下は真っ当だ。真っ当な王太子殿下だ。これでは断る理由が無い。困った
…。
「僕はフェリチーナ嬢の事、前から知ってるんだよね。この前伯爵令嬢のパーティーでドレスを汚した子を慰めてたでしょう」
「慰めと言う程の事では。私のコサージュで隠して差し上げただけですわ」
「うん、それが最高に僕の理想だったんだよね。泣いてた子が笑った時のほっとした顔とか、良い子だなぁって思って。だから僕が頼んだんだ、このお見合い」
「リカルド殿下…」
どうしよう。前世の記憶がある分、まだこの歳の殿下を恋愛対象に見る事は無いけれど、素直に嬉しくもある。
それにリカルド殿下、可愛いんだぁ。ふわふわの髪に青い目がくりっくりで最高に可愛い。
今の私になってから周りは大人ばかりだったからあの伯爵令嬢と言い、リカルド殿下と言い、年下に甘くなってしまうのよね。
「フェリって呼んでも良いかな?僕の事はルドって呼んで。君と仲良くなりたいんだ。二人で一緒に国を良くしていこうね」
「は、はい…頑張ります!」
もう悪役令嬢だった時は仕方ないじゃない!
その時考えましょう!もしかしたら悪役令嬢じゃないかもしれないですしね!
それから私は城に通って淑女教育や王太子妃教育を学んで過ごしました。
魔法も闇属性って意外とレアなのに需要があるみたいで色々使える事が多かったりで悪くないかなぁと思い始めてきました。
何よりルド様が私を大事にして下さるのでそれ程大きな不安も抱かないで育ちました。
私、フェリチーナ、王立魔法学園高等部一年次席。首席はルド様に持っていかれました。悔しい。いつの間にか周りには宰相の息子さん、騎士団の団長の息子さんに四大公爵の二家の男子が居ました。先輩も含みますが、何やら嫌な予感しかしません。
因みに私の従者はルド様が選抜した為、私の従者でありながらそこまで親しくないと言う現状。いえ、寂しい訳ではないのですが、兄さまとか鬱陶しいくらい構ってきますし。
そんな訳で入学式が終わりました。
生徒会長である兄さまの挨拶と、学園長である王弟殿下の祝辞。そして首席のルド様の新入生代表のご挨拶。何故か私まで壇上に呼ばれ、女子生徒の代表として挨拶する事に。聞いてませんわよ!
そのせいで何だか訳の分からない女子生徒に目をつけられるなんて!!
「酷いですフェリチーナ様!」
「まぁ、何がかしらロイロス男爵令嬢」
「ほら!そうやって私が男爵令嬢だと見下して!!」
では貴女を名前で呼べば良いと言うの?あらあら真っ平ごめんだわ。私、この暫定ヒロインと相当相性悪いんですの。
「見下したつもりなど無かったのですが。失礼しました。ではロイロス嬢、ご機嫌よう」
「え、話は終わってないですよ!」
「いえ、私これから生徒会の手伝いがありますので…」
「そうやって権力を振りかざして!」
「生徒会の手伝いを権力に見立てられては私何も出来なくなってしまいますわ。それともロイロス嬢は私に何もするな、と仰いますの?」
仰いたいんですわよねー分かってますー分かって煽っておりますー。
あー私物凄く悪役令嬢っぽいですわー!泣きたいですわー!
「フェリ、どうしたんだい?」
「リカルド殿下!」
あ、地雷踏んだ。
私知らない。
「ロイロス男爵令嬢」
「ティーナです!」
「君に私の名を呼ぶ事を許した覚えはない」
はいバッサリ。ルド様もこの子お嫌いなんですわよねー。なんか一般男子生徒からは何故か人気があるようですけど。
「なんで!?おかしい!マイローズのネックレスもちゃんと持ってるのに!」
マイローズのネックレス?何それ?何かのチートアイテムかしら?
私闇属性魔法でそう言った状態異常無効化してるから分からないのよね。
でも言っておいた方が良いかしら?牽制になるに越した事はないですし。
「何か得体の知れない物を持っているようですが、私に近しい者には効きませんよ。状態異常無効化アイテムを持たせておりますから」
「やっぱり…やっぱりあんたが邪魔して!!」
「サイラス」
「はい」
「彼女の所持品を鑑定しろ。何かあるようだ」
「御意」
「ルド様、サイラスは私の従者なんですが」
「私の従者、と言う響き良いね。私もフェリのものになりたい」
「貴方様は私の婚約者ですよ?」
「はぁ、良い響き。誰にも譲れないね」
「ちょっとイチャイチャしないでくれる悪役令嬢のくせに!!」
やっぱり悪役令嬢だったのね私。そうじゃないかそうじゃないかと思ってたけどやっぱりそうだったから何とも思わないわ。
「私の婚約者への暴言も捨て置けないな。彼女は一時身柄を捕らえておくように」
「そんな!私何も悪い事なんてしてません!原作改変したこの女が悪いんです!」
原作を知らないのに改変とか言われても非常に困ります。
「君、頭がおかしいのか?」
耳が痛いですルド様。きっと同じ転生者なんでしょうから本当に心が痛い。あ、生徒会の手伝い行くの忘れていたわ。今頃兄さまが…まぁ、今日くらいは良いかしら。
「怖かったねフェリ。もう大丈夫。私はゆるゆるもふわふわにも興味ないって言っただろう?」
わぁ、覚えていらっしゃった。
「そんな顔しなくとも何も聞かないよ。今はまだ、ね。いつかフェリから話してくれたら嬉しいな」
あの日小首を傾げてルドって呼んで?と言ったのはあざとさだったんですか?今凄くあの時の顔と重なったんですが。
まぁ、もう恋っぽいものは抱いてしまっているので無駄な足掻きは致しませんが。
結局自称ヒロイン様が持っていたネックレスには魅了効果がある事が分かった。我が国で魅了魔法は重罪なんですよ。知らなかったじゃ済まされないんです。
規律の厳しい北の修道院に行かされる事になりました。
一方私はと言うと。
「フェリ、今日こそ君とキスがしたい!」
「……あの、どうぞ?逆に構えられるとどうしたら良いのか分からないのですが」
「ファーストキスだよね?」
「身内以外なら」
「アルキレスめ…」
「兄を呪わないで下さい」
「前世は!?前世ではしたの!?」
「はいぃぃぃ!?」
危なかった、危うくお茶を吹き出す所だった。淑女教育やり直しになるところだった。
そうじゃない!現実から逃げるな私!
「前世…」
「あ、南の隣国みたいに崇め奉られたりはしないよ、大丈夫」
「ホホホ…確定ですか」
「まぁ、フェリ早熟過ぎたしそうじゃないかなぁとは思ってたんだけどあの女が『殿下あの人絶対転生者ですよ!チート持ちなんて狡い!おばさんですよ!?ひょっとしたら孫とか居るかも』とか言い出すから縫い付けてやろうかと思ったんだけどね?」
「ルド様、顔が本気です」
「本気だからね。で、私は君が前世幾つまで生きたかとかあんまり興味は無いんだけど、いや、恋人や夫が居たなら果し状を書かねばなるまい?」
「おりませんでした!シスコンの兄が二人おりまして恋などさせてもらえませんでした!」
「良かった、これで何のつかえもなく君にキスが出来る」
何も言う暇も無く唇が重なった。私は何か言ってやりたいような気持ちになり唇が離れた時口を開いた。
のがいけなかった。まるで見越していたかの様に二度目のキスをされた。しかも深いやつ。二度目なのに!初心者なのに!
やっぱり私、悪役令嬢だったようですが溺愛が過ぎて困ります。
いえ、嫌と言う訳ではないのですが!
南の隣国はバレては〜の国です。同世界線です。だからヒドインは北に送られたのもあります。
新作とシリーズ化したので、バレては〜のシリーズとまとめました。
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