雨上がりの空に
小森 祐希は雨が上がった事を自宅の窓から確認し、外へ出た。
足元には母親に買ってもらったばかりの小さな黄色い長靴。自宅前の道には多数の水たまりが見える。
祐希は道の中央に立った。自動車が走る頻度は低い細い道。
祐希は水たまりに向かい跳ぶ。水飛沫が上がる。
道を進みながら、次々に水たまりへ跳ぶ。曇り空を映していた水面が祐希の長靴に乱される。
祐希は一際大きな水たまりを前方に見つけた。
勢いをつけ、その水たまりへ両足揃えて跳んだ。
あっ……。
その水たまりは深く、祐希は全身飲み込まれた。
戻ろうと藻掻く。しかし水面は厚い硝子のように祐希の脱出を許さない。
水面を下から小さな手で叩き続ける祐希に気付く事もなく、一台の自動車がその水たまりの上を通過する。
タイヤによって水面は乱される。
やがて乱れが静まると水面には虹が映っていた。
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