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2話 攻略本

世界にたった一つしかない世界の全てのダンジョン攻略が乗っている本〈予知攻略本〉


それを手にしたのは、泉さとるであった。


* * *


ダンジョン攻略本〈予知攻略本〉

全てのダンジョンを行ったことがない為、予知と付けられたこの本は本物だった。

魔王ダンジョンでも、書いてあることが本当だったし他のダンジョンでもそうだった。

俺は、このダンジョン攻略本を持っていることをギルドのリーダーで聖剣使いのアリスにだけ報告しことの詳細を教えていた。


もう俺は、ギルド追放されたし、使うことないんだけどね。


「さてと、家に帰りますか!」


魔王ダンジョンからユークリッドまで転移魔法で移動することにした。

転移魔法は昔から得意だった。


父の同僚の度重なるキツイ魔法訓練から逃れるために、よく使ったのもだ。


転移魔法メタスタス!!」


辺りには、花や、川があり。

あのダンジョンの時の景色とは180°違う景色が、そこにはあった。

そして、久しぶりに帰るユークリッドは、何故か輝いて見えた。


* * *


久しぶりの実家は、昔よりも大きくなっていた。

ドアも新しくなっており、ドアを開けると大理石の床が続いてくとても洒落た家になっていた。


「おかえりなさい、さとる」


そこに居たのは俺が父親の同僚にバカにされてる時に何もしてくれなかった母親だった。

だが、今では病気に侵されているのだろうか、やつれており昔の母親とは大違い。


優しい顔で迎え入れてくれる母がいたのだった。


「さとるが帰ってきたのか……!!」


奥の部屋から勢いよく出てきたのは、父の泉カイトだ。父親は、俺が久しぶりに帰ってきて嬉しそうな様子だった。


「さとる…久しぶりだなぁ、何年ぶりだ?」


父親は久しぶりに会える息子に嬉しさを隠しきれないっぽかった。

そもそも、俺の父親は感情を全面的に出す性格だった。その性格から、人はみんな父親が好きになる。

俺はそんな父親とは違うから、みんなに失望されていた。少しでもいい所があれば良かったけれど、そういう所も俺にはなかった。そんな俺を、父親はなにも言わなかった。いや、言う必要がないと判断したのかもしれない。


「えっと、5年ぶりぐらい?出てったのが俺が13歳の頃だったから…」


「そうか…もうさとるも18歳かぁ…そういえばギルドはどうしたんだ?報告では、魔王ダンジョンにいたんじゃないのか?」


俺は言っていないのに何故か父は俺がダンジョンにいたことを知っていたのだった。

もしかすると父親は、魔法学の第1責任者だから色々な所との関わりがある。魔王ダンジョンは魔法で作られているからなのか、それとも誰かから情報を入手していたからなのか分からないが、きになったのか、俺に問いかけてくる。


「実は俺、ギルド追放されたんだよー。魔法昔から苦手だったし?ほら、別に俺が居なくても世界最高峰の奴らばっかりだろ?大丈夫大丈夫!!」


俺の悪い癖その1、不安な気持ちを隠そうとするとちょー喋る。


俺の姿を見た父親は、どんどん顔が真っ青になる。

そして、奥の部屋に行きどこかに電話をしているようだった。


それを、俺と母親はただただ見ることしか出来なかった。


「あんた、ギルドでヘマしてないでしょうね?」


話を振ってきたのは母親だった。

病気に侵されていても、怒った時の厳しい目つきは今でも変わっていない。さっきまでの優しい顔とは全く違う。

なによりも周りの目を気にする人だった、だから父親の同僚が俺をバカにしていた時も何もしなかった。

偉いやつばっかりで、母親は立ち向かえなかった。


そして俺も、ずっと逃げてきた。


「ヘマしたらなんなのさ。」


一瞬何が起こったのか分からなかった。


───頬が痛い


母親は手を勢いよく振りかざしたのだった。

さとるの頬は赤くさとるの目からは涙が数滴だけだが出た。


「周りになんて言われることか!!あんたがちゃんとしないとカイトさんが困るんでしょうが!!」


息を荒らげる母と、頬に触れ状況が理解出来ていないさとる。


俺はこの瞬間、実家にもう帰らないことを決めたのだった。


「…今日は、自分の荷物取りに来ただけだから。」


そう言い残し、2階にある自分の部屋に行こうと階段を上る。


「あんな子…産まなきゃ良かった。」


ポツリと呟いたのであった。


自分の部屋は綺麗にされており、魔法の残り香が感じられた。


(きっと、父親がずっと掃除してくれてたんだな)


俺は荷物をまとめ、そこまで使っていない部屋にお礼を言い置き手紙を父親にだけ残し家を後にした。


──そして、世界に一つしかない攻略本を燃やしに森に行った。

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