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世界の果て  作者: にこぴ


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9

 リアンを出発して4日、とうとうバルトが見えてきた。遠くに街を(かこ)む壁があり、その手前に小さく馬車が見える。さすが王都なだけあって他の街よりも馬車の出入りが多いようだ。


 入る時の検問(けんもん)て少し時間が()かったが、無事(ぶじ)にバルトに到着(とうちゃく)した。馬車から降りて周囲を見回すと、行き()雑踏(ざっとう)はヴィオラ以来の(にぎ)わいがあった。


 「荷物は全部持ったな、じゃあ俺は積荷(つみに)を届けに行くからここまでだ。達者(たっしゃ)でな」


 「はい、ありがとうございました」


 「ありがとうございました」


 ヨシアはそのまま馬車に乗って雑踏の中に消えていった。


 「さて、今日はもう遅いの私は宿を探しに行きますけど、お2人はどうするんですか?」


 「俺はアテがあるからそっちをあたるよ」


 「俺はとりあえず宿を探そうと思います」


 ドラウグはバルトにも知り合いがいるのか、王立騎士団の人脈(じんみゃく)随分(ずいぶん)広いんだな。


 「そしたらドラウグさんとはここで一度お別れですね。でもバルトに住んでれば会えますね。会ってくれますか?」


 「会うさ俺は貴族街の外をぶらついてるだろうから、用があるときはそこら辺に来てくれ」


 それだけ言い残してドラウグは()って行った。


 「セガスさんはどうします?また同じ宿に泊まりますか?」


 「いえ、いつも頼ってばかりなので今回は自分で探してみようと思います」


 「わかりました、困ったらいつでも言ってくださいね。できることならやるので」


 ヒストが宿屋街(やどやがい)の方に歩いていき、雑踏に消えたのを見届(みとど)けてから考え始める。


 さて、ひとまず宿を探して荷物を置いたら夕食を食べに行こう。バルトの宿屋街にある宿は今まで通ってきた街よりも多く、その分宿泊客も多い。だが思っていたよりすぐに宿が見つかった。最初の2軒は満室(まんしつ)だったが、3軒目の宿に空室(くうしつ)がありそこに泊まることができた。


 夕食を食べるために店を探して歩いてるが、宿だけでなく酒場や食堂も多く、どこも客が頻繁(ひんぱん)に出入りして賑わっている。その中から適当(てきとう)な店に入る。中は客が混み合い空いてる席がなかなか見当たらない。ようやくカウンター席が空いてるのを見つけ、そこに(すわ)る。ヴィオラも賑わっていたが、バルトの賑わいはヴィオラと少し違った空気を感じる。恐らくヴィオラは国王に対する不信感(ふしんかん)が祭りの空気に混ざっていたのだろう。しかしバルトでは、祭りはやっていないが街全体に活気(かっき)(あふ)れていて、明るい空気を感じる。


 夕食を食べて店から宿に戻る。どのくらいこの街にいるかはまだ決めていないが、少しゆっくりしようと思う。ずっと旅をして馬車の中というのは心身ともに疲れるから、休めるときに休んでおこう。


 目が覚めて身支度(みじたく)をする。今日はシアンの国立図書館に行く予定だ。正直(しょうじき)かなり楽しみにしていた。道中(どうちゅう)ヒストに借りて本を読んだときに、欲しい情報はああまりなかったが新しい知識(ちしき)が増えることがすごく楽しかったから、国立図書館を楽しみにしていたのだ。


 朝食をさっと済ませて街を歩き始める。図書館がどこにあるのか知らないが、とりあえず歩いてみる。バルトの街を見て周りたいとも思っているので、持ってこいの機会(きかい)だ。先に冒険者ギルドを見つけたら、そこで地図を買えばいい。


 バルトは学問の街というだけあって、街中を歩いていて書店(しょてん)を見かけることが多い。また今度書店(めぐ)りをしてみるのもいいかもしれない。馬車に乗っている間はできることがあまりないため、ここで買った本を馬車の中で読もう。図書館の本を街の外に持ち出すわけにはいかないから、何冊(なんさつ)か買っていこう。荷物が増えてしまうが数冊(すうさつ)なら大丈夫だろう。


 この先の旅路(たびじ)に思いを()せながら歩いていると、道の先に広場(ひろば)が出てきた。あそこに何かありそうだ。広場の中心には噴水(ふんすい)があり、そこを(かこ)むようにベンチが設置(せっち)されていて、ほとんどに人が座って埋まっている。俺が来た右手側には冒険者ギルドがある。冒険者ギルドの建物はバスよりも豪華な装飾(そうしょく)がされている。さすがに首都といったところか。とりあえずここで地図を買っておこう。


 「すみません、バルトの地図はありますか?」


 冒険者ギルドに入り受付で聞く。冒険者ギルドの中も外と同じように賑わい、活気がある。


 「はい、1枚1ゴールドです」


 「1枚ください」


 地図の値段はバスの地図と同じだった。


 「ありがとうございます」


 地図と1ゴールドを交換(こうかん)して、受付から離れる。冒険者ギルドの中に設置されている席に座り地図を広げる。バルトは街の中心には王城ではなく、国立の学園があるようだ。王城は学園の少し北側にあり、俺が今いる冒険者ギルドは街の中心から少し南東に離れたところにあるらしい。そして一番の目的である国立図書館は、学園の(となり)に並んで建っているみたいだ。ここから歩くと少し時間が()かるが、それも大きな街ならではの楽しみだろう。さて、それじゃあ図書館に向かうとしよう。


 冒険者ギルドから歩いて疲れを感じるぐらいのところで明らかに周囲から浮いている建物が見えた。あれが国立学園だろう。バスやこれまで通った街にあったどの学校よりも立派(りっぱ)荘厳(そうごん)な造りをしている。恐らくここまでの街にあった領主屋敷(りょうしゅやしき)よりも大きいだろう。あそこでは一体(いったい)どのくらいの学生が(まな)んでいるのだろうか。500人ぐらいか、1000人ぐらいか見当(けんとう)もつかない。それぐらいに国立学園は大きな建物だ。今までの街の領主屋敷や王城を知らなければ、これが王城だと言われても信じるだろう。


 国立学園の建物に圧倒(あっとう)されながら歩いていると、その向こうにまた違う建物が見えてきた。国立学園の隣には国立図書館があるはずなので、あれがそうだろう。図書館は学園とは対照的(たいしょうてき)に、シンプルで余計な装飾が一切(いっさい)ないが、重厚感(じゅうこうかん)があり建物全体から威厳(いげん)を感じる。この中に大量の蔵書(ぞうしょ)があるのか。建物を見ていっそう楽しみになってきた。


 少し浮足立(うきあしだ)った足取りで国立図書館の扉を開ける。

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