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世界の果て  作者: にこぴ


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8

 夕食を食べ終わり宿に戻った。明日はこの街を出るため今日はもう寝ることにする。部屋の明かりを消して、ベッドの中に入り目を(つぶ)る。街の宿で寝るときは疲れているのもあって、いつもすぐに眠ることができる。今日もすぐに眠れるだろう。




 と思っていたのだが、今日はなかなか眠れない。空は真っ暗で窓からは月明りだけが差し込んでいる。いつもならベッドに入って目を閉じたらすぐに眠れるのになぜ今日は眠れないのだろうか。そんなことを考えながら、目を閉じたり開けたりしたり、寝返(ねがえ)りを打ったりして寝ようとしている。だが考えてみればそれが悪いのかもしれない。動くのはやめてじっとしていよう。


 そんな時だった。階段を(のぼ)る足音が聞こえてきた。俺が泊まっている部屋は階段の目の前にあるので、誰かが通ると音でわかる。今日は早めにベッドに入ったとはいえ、なかなか眠れなかったので今はもうそれなりに遅い時間のはずだが、こんな時間に外から帰ってくる人もいるんだな。


 すると足音が俺の部屋の前で止まった。何だ?誰かが俺に用があるのか?いや、だとしてもこんな時間に来るのはおかしいし、俺がこの宿のこの部屋に泊まっていることはヒストとドラウグ、それと宿の主人しか知らないはずだ。そもそも俺のことを(たず)ねて来る人なんてこの宿の外にはヨシアぐらいしか思い当たらないが、ヨシアがこんな時間に訪ねて来るとは思えない。となると俺とは関係なく、たまたま俺の部屋の前に止まったのか。いや、そんな偶然(ぐうぜん)があるか?向かいの部屋のドア開いた音も聞こえない。とすると、階段を上ってきた誰かは今も部屋の前にいるはずだ。ベッドから出てドアノブに手をかける、このドアを開けたら誰かが立っているはずだ。思い切ってドアを開く。


 この時俺は緊張(きんちょう)していた。もしも前に立っているはずの誰かが急に(おそ)いかかってきたら俺は()(すべ)なく殺されるだろう。だが、そんな俺の緊張を嘲笑(あざわら)うかのように、ドアの前には誰もいなかった。どういうことだ、確かに階段を上る足音が聞こえ、俺の泊まっている部屋の前で止まるのを確認した。音で判断(はんだん)しただけだから、聞き間違(まちが)いと言われてしまえばそれまでなのだが、あれだけはっきりと足音が聞こえ、その後止まったから間違いない。だが実際(じっさい)に目で見て確認してみると誰もいなかった。部屋の前から動く足音は聞こえなかったから、ここから動いていないはずなのに誰もいない。まるで最初からここには誰もいなかったかのように。


 周囲(しゅうい)を見回しても人影(ひとかげ)はないので、ドアを閉めてベッドに戻る。一体あの足音は何だったのだろうか。俺はあの足音のことを考えながら再び目を瞑る。今度はすぐに眠ることができた。




 目が覚めるとまだ6時だった。昨夜(さくや)はなかなか眠れず、結局遅くまで起きていたが何だかすっきりしていてたくさん寝たような感じだ。何にせよ疲れが取れたのなら()しとしよう。ひとまず朝食を食べに行こう、今にも腹が鳴りそうだ。ベッドから出て着替(きが)えて部屋を出る。


 「あ、セガスさんおはようございます」


 突然(とつぜん)声を掛けられて少し(おどろ)く。昨夜のこともあり警戒心(けいかいしん)が高まっていたが、知っている声なのですぐに警戒を()いた。


 「おはようございます、早いですね」


 「セガスさんこそ。早起きすると気持ちがいいので、いつもこのぐらいの時間に起きてるんです」


 「俺もこの頃早起きですけど、確かに気持ちいいです」


 「じゃあこれからも続けますか」


 「やってみます」


 「ところでセガスさんはこれから朝食ですか?」


 「はい、さっき起きたところでお腹が()いてるので何か食べようと思ってます」


 「じゃあ一緒に行きませんか?」


 「ええ、ぜひ」


 ヒストと一緒に宿から出て朝食を食べに行く。良さそうな店を探しながら街を歩く。この時間でももう街は動き出している。どの街でもそうだったが、店で働いている人達は朝が早い。6時にはもう開いている店が多い。そんなことを考えていると、良さそうな店が見つかったのでそこに入り朝食をすませた。


 店から出て一度宿に戻り荷物を持って乗り場へ行く。ヒストと俺が着いた時にはまだドラウグは来ていなかった。


 「ドラウグさんとヨシアさんはまだみたいですね」


 「そうですね、でももうすぐ来るんじゃないですか?」


 「はい。セガスさんと話しているのは楽しいのでもう少し来なくてもいいかもしれないです」


 すると後ろからドラウグに声を掛けられた。


 「2人とも早いな」


 「おはようございます、少し早すぎたみたいです」


 「そんなことはないさ、早いぶんには困らないからな」


 「でも早すぎてもやることがなくて(ひま)になっちゃいます」


 「それもそうだな」


 談笑(だんしょう)をしていると、ヨシアが馬車を引いてやってきた。


 「さあ乗り込め、出発だ」


 全員が馬車に乗ったことを確認してヨシアが馬を(むち)で打って出発する。(つい)にと言うべきか、あっという間と言うべきか。ヴィオラを出てから2週間ほど、長いようであっという間の旅路(たびじ)だった、あと3日か4日で一旦(いったん)の目的地であるシアンの首都バルトに着く。

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