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世界の果て  作者: にこぴ


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 イリスから乗った馬車は、同じく商人であるハリアの馬車に乗った。ハリアはとても陽気でほとんど途切れることなく会話をしていた。


 「俺はエルパムに店を構えて商人やってるんですよ。エルパムは大陸一の商業都市なんで、いろんなお客さんと話せるし売り手の俺もすごい楽しいんですよ。お客さんが出ていくときの嬉しそうな表情を見るのも楽しみの一つですね」


 「ハリアさんは主に何を扱ってるんですか?」


 「うちでは装飾品を扱ってます。元々身に着けるアクセサリーだけだったんですけど、お客さんからの要望が多くてインテリアも置いてるんです」


 「装飾品ですか。じゃあお客さんは女性が多いんですか?」


 「そうですね、男性のお客さんもいるにはいるんですけど、やっぱりアクセサリーを着けるのは女性ですし、インテリアにこだわるのもほとんどが女性ですね」


 「お店はハリアさん1人で切り盛りしてるんですか?」


 「いや男性と女性の店員が2人ずついて、5人でやってます。やっぱり女性の感覚は男である俺にはわからないので、意見を聞いてから仕入れするようにしてるんです」


 「なるほど、それなら間違いないですね」


 このような日常会話や、


 「セガスさんはどうしてエルパムに行くんですか?」


 やはり馬車の中ではこの会話は定番のようだ。


 「今大陸にある5つに国を全てこの目で実際に見てみようと思って、旅をしている途中なんです。エルパムはその道中ですね」


 「へえ大陸横断ですか、すごいですね。普通はそんなこと思わないですよ」


 「そうですよね、自分でもなかなか大変なことをするなあと思います」


 「大変というか、大陸横断するのって当然ですけどすごいお金がかかるので、普通の人はできないんですよ。それこそ貴族とかでもなければそんなお金はないんですけど、セガスさんってもしかして」


 「いえ俺はごく普通の一般人ですよ。お金は貯めていた分です」


 「すごいですね、そんなに貯めてるって相当働いたんですね」


 このような会話もした。


 「俺娘が2人いるんですけどね、これがもうかわいくて仕方ないんですよ。目に入れても痛くないって言いますけど本当に痛くないと思うんですよね」


 「さすがにそれは痛いんじゃないですか」


 「まあそれぐらいかわいいっていう比喩(ひゆ)ですから。でもかわいいのは本当ですよ。今こうやって馬車で走ってる間も、娘たちは何してるんだろうってずっと考えるぐらいですからね」


 「しばらく会えないと寂しくならないですか?」


「そりゃもちろん寂しいですけどね、この会えない時間がある分久しぶりに会ったときの喜びはないので、これも悪くないと思うんですよ」


 「なるほど、でも俺は子どもがいたら毎日顔を見たいですかね」


 「その気持ちもすごいわかります。セガスさんは結婚してないんですか?」


 「はい、ずっとお金が貯まったらこの旅をしようと思っていたので結婚はしなかったんです」


 「なるほど、大陸横断するのが夢みたいな感じですか?」


 「そうですね、ヴィオラに住んでたんですけどずっと外の世界を見たいと思ってました」


 「じゃあ今夢が叶ってるんですね」


 「はい、今すごく楽しいです」


 ハリアが明るくいい人である分、仕方ないことだが嘘をつきながら話すことは心苦しかった。


 そんな感じでハリアと談笑しながら馬車に揺られていたら5日でロウワ―の首都エルパムに到着した。時間は変わらないはずだが、いつもよりも早く到着したような気がした。


 「さあ着きましたよ、忘れ物しないように気を付けてくださいね」


 エルパムの馬車乗り場に馬車が停まり、荷物を持って馬車から降りた。


 「もう終わりですか、楽しかったから残念です」


 「ええ、俺ももっと話したかったです」


 「じゃあ俺の店に来てくださいよ。ここにありますから、絶対ですよ」


 ハリアからメモを受け取った。


 「それじゃあまた会いましょう」


 「はい、すぐに行くと思います」


 ハリアと別れ宿屋街の方へ向かっていく。この街でも商店街が乗り場の目の前から始まっているが、イリスの商店街よりも道が広く、2つの通りに分かれている。行き交う人の数も断然(だんぜん)エルパムの方が多い。やっぱり首都であり大陸一の商業都市は規模が違うな。


 エルパム2日目、今日は商店街を歩こうと思っている。あの大きな商店街を歩いて周ることを考えただけで少し楽しくなってくる。


 イリスの商店街と比べて店の種類が多いというわけではないが、店舗の数が多い。なんせ商店街の通りがイリスよりもかなり長く、2階建ての建物もありその中に別々の店舗が入っていることもある。こんなに栄えている街は今まで見たことがない、通りを歩いている客であろう人々はみんな満足気な表情をしている。ハリアが言っていたのはこういうことなのだったのだろう。


 商店街のもう一つの通りは大型の店舗と外観からして高級そうな店があった。通りを歩いている人たちはみんな綺麗で豪華な服装をしていて、アクセサリーも当たり前といったふうで身に付けている。ここを俺が歩いているとそわそわして少し落ち着かない。


 ハリアからもらったメモに書いてある店の前に着いた。俺が想像していたのは最初に歩いた通りにあるような普通の店だったが、実際は高級店の通りにありハリアの店も見るからに高級店だった。装飾品を取り扱っているのなら不思議ではないが、普通の店舗が並んでいた通りにも装飾品を取り扱っている店はあったので、これはハリアの努力の(あかし)だろう。こんな店に俺が入っていいのかと思い店の前で足踏みしていたが、行くと約束したので思い切って店の中に入った。


 店の内装も高級感に包まれていて外よりも落ち着かない。商品は種類ごとにコーナーが分かれていて、アクセサリー類はガラスケースの中に入れられていて、インテリア類は床に直接置かれている。店内にいる客は数人だが、高級店とはこういうものだろう。店員もいるがハリアの姿は見当たらないので聞いてみることにした。


 「すみません、ハリアさんはいますか?」


 「約束ですか?」


 「約束というわけではないんですけど、ハリアさんに店に来てくれと言われてて」


 「ああ、セガスさんですか?お話しは聞いてます、案内しますのでこちらへどうぞ」


 店員に案内されて店の奥へと通された。どうやらそこは特別室のようで、特に豪華な内装だった。


 「今呼んできますので少々お待ちください」


 店員がハリアを呼びに部屋から出ていった。1人になったら少し疲れを感じた。思い返してみれば店に入った時からずっと高級感の(あふ)れる店内に緊張していて気が休まることがなかった。ハリアが来るまではリラックスしていよう。

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