表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】銀の瞳に降る星は。  作者: 雲井咲穂
3/3

3. 銀の瞳に降る星は。



 青い小さな花が歌うようにそよいで咲き乱れる朽ち果てた神殿の、固く閉じられた扉を見つめながら青玉色の瞳の少女は小首を傾げた。


 誰かが自分の名前を呼んだ気がしたのだ。


 明るい陽だまりのような淡い金の髪を日差しが彩っていく。


「気のせいね」


 首を軽く横に振って気を取り直すと、再び足元の花を摘み取り始める。


 数百年も昔に建てられたと言われる古の建物の前にしか咲かない不思議な花。


 だが、この遺跡が一体何なのか誰も知らない。


「わっ」


 びゅぉ、と風が吹き、驚いてせっかく摘み取ったばかりの花を足元に落としてしまった。


「もう、意地悪な風ね」


 笑いながら屈み込んで摘み取ったばかりの花たちを一本ずつ拾っていくと、すぐ近くから、かさ、かさりと音を立てながら何かが歩み寄ってくる音がして、ぎょっとして立ち上がる。


「あ」 


 視線を上げれば、銀色の美しい瞳をした青年が、呆けたように立ち尽くしこちらをまっすぐに見つめている。精悍な面立ちにほんの少しだけ幼さを残した印象の青年は、戸惑ったかと思えば、迷いなくこちらに歩みを進めはじめた。


 自分の目の前にあっという間に到着した彼の、その銀色の瞳に間抜けな顔をした自分の顔が映っていた。





(Fin)

数ある作品の中から拙作をお読みいただきまして、誠にありがとうございました!

ブクマやいいね、★での応援が作品作りの糧になっております。

もしよろしければぽちぽちっと応援していただけましたら嬉しいです!


-------------------------------

ごく短い短編小説をお読みいただき、誠にありがとうございました。

袖振り合うも他生の縁と申しますが、日常ですれ違うたくさんの人たちとも、どこかの時代のいずれかの人生で縁があったのかもしれない、と思うとありがたいなぁと思う毎日です。


いつも応援してくださる皆様に

心から感謝申し上げます。


ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ