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消耗品たちの八月十五日  作者: 河野靖征
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 夕食が終わっても、有働は戻らなかった。

 折角の晩飯が不味くなったばかりでなく、とんでもない展開となりそうな気配に、芝田の顔が蒼くなりはじめた。

 焦りを覚えた芝田は、初年兵と二年兵の炊事当番を内務班に残して、班内の男たちを総動員させて、有働の捜索に陣地じゅうを走り廻らせた。

 だが、その結果は、なんの手掛かりもなく、徒労に終わってしまった。有働が立ち寄りそうな場所を片っ端から捜してみたが、有働の姿は、どこにもなかったのである。

「どこにもおらんとは、おかしいな?」

 と、ますます蒼くなった芝田が、不安げに首をかしげた。

「こっちも、酒保とか衛兵所に訊いたが、門からは出た形跡はないし、酒保にも、野郎が立ち寄った形跡はない」

 と、朝倉が答えた。

「だとしたら、敵前正面の掩蓋を抜けたんかな?」

 と、呟いたのは、初年兵掛の板石である。

「いや、それは考えにくい。正面のあれだけ厳重な警戒網をかいくぐっての脱柵は、まず不可能だ。仮に陣地正面の警戒を突破したとしてもだぞ、あのゴリラのような体では無理だ。すぐに捕捉される」

 芝田が答えた。

「それもそうだな。塀を越えるにしろ、掩蓋の斜面を下りるにしろ、野郎の体型では目立ちすぎるし、それにこの寒さだからな。外套だけでは、一里も歩けやしねえしな」

 と、朝倉が相槌を打った。

「それにしてもだ、あの野郎、一体全体、どこへ消えやがったんだ?」

「まったく、どうしようもねえ野郎だぜ、あいつは!」

「入浴に行かせたのが拙かったな」

「阿呆ったれ。へたに制めたりして野郎に暴れられてみろ、災難を被るのは俺たちなんだぜ。あんな野郎は、逃亡でも脱柵でもして、カチカチになって凍死すりゃいいんだ。そのほうが気を揉まずに、却ってスッキリするってもんだ」

 朝倉が、歯を剥き出して罵った。

「どっちにしても、厄介なことになったな」

 板石が呟いた。

「どうする?」

 朝倉が、困惑しきった芝田の顔を覗き視た。

「仕方がない。奴を捜すのはこのくらいにして、班長に報告しよう」

 芝田が、力なく言った。


 下士官居室で同僚たちと寛いでいた班長の沢地伍長は、有働の失踪を報されても特に表情を変えることもなく、芝田の報告を冷静に聞いていた。

 鼠一匹、侵入も脱出も許さない厳重な警戒網を抜けるのは不可能であるし、仮に、脱柵が首尾よく成功したとしても、この極寒零下の広大な雪原地帯である。襦袢一枚の上に防寒外套を羽織っただけの軽装では、それこそ一里も進まぬうちに凍死は確実である。頑強な肉体の持主の有働と雖も、そこまで無知で愚かな男ではないことを承知しているのである。

「あいつは、自殺覚悟で、脱柵してまで街へ行くような奴じゃない」

 と、沢地伍長は、柴田が言ったことを言いきった。

「まったく、性懲りもなく、次から次へと問題を起こす奴だな」

 と、同僚下士官が(なげ)いたのを、沢地伍長が、芝田に意外な言葉を投げた。

「陣地内をくまなく捜したと言ったが、暖の取れる場所を当たってみたか。たとえば……そうだな、輜重(しちょう)隊の厩舎とか、秣小(まぐさ)屋のなかとか」

「厩?(うまや) 輜重隊の?」

 朝倉が、眼を丸くして首を捻った。

「しかし、あいつは厩なんかに行くような奴じゃありませんよ、班長殿」

 あんな馬糞の臭いの充満する場所に、あいつが好んで行くとは考えられない。芝田と朝倉は、互いの顔を見合せてうなずき合った。

 それを沢地伍長は鼻で嘲った。

「そこがお前たちの浅薄なところだ。あいつは、あんな風に見えるがな、悪知恵はお前たちより働くんだぞ。あすこは、普段は厩当番だけで、将校も下士官も滅多に出入りはしない。おまけに(まぐさ)が山積みされて、馬のために暖房もされている。そこへ酒でも提げて行けば、連中は無条件で迎えてくれるし、秣の上は、内務班よりも暖かいんだぞ。読まれたんだよ、お前たち。肚ンなかを、な」

 沢地伍長は、(ひき)(だし)から煙草を取出して火を点けた。表面上は平然と構えてはいるが、有働失踪の報は、やはり心の内が落ち着かないのである。

 沢地伍長は、煙草を二三服軽く吹かしてから、言った。

「とにかく、有働を捜し出せ。奴は、この陣地内のどこかに必ず潜伏している。どこにもあれがおらんということは絶対にない。いいか、酒さえあれば飯も要らん奴だ。誰にも邪魔されずに、のんびり酒が呑める場所を考えれば、そこしかない。輜重隊のあすこは、酒以外の食い物なら自由に手に入るからな」

 芝田と朝倉の二人は、また顔を見合した。

「食い物って、班長殿、あすこにあるのは、ありゃ馬の餌でしょうが。そりゃ人参の五本や十本はあるだろうけどさ、まさか馬の餌を酒の肴にするなんて、なァ、とても考えられたもんじゃねえ。そうだろ」

 と、芝田は、朝倉に相槌を求めた。

 朝倉も、それだけはないと信じこんでいるから、これも大きくうなずいた。

 沢地伍長は、二人を見較べて、鼻で薄ら笑った。

「だから、俺はお前たちを浅薄な奴だと言ったんだ。いま言っただろうが、悪知恵は、お前たちよりあいつのほうが数段優れているんだぞ」

 黙って聞いている下士官たちから、せせら笑う声が起こった。

「それって、どういう意味ですか」

 気を悪くした朝倉が反駁した。これは、下士官たちと年次の差がないからできることである。

「いいからいいから。班長の言うとおりにやってみろよ」

 と、別の下士官が声を挿んだ。

「お前たちは」

 と、沢地伍長は、二人の顔を交互に見た。

「ここでバックを何本食ったんだ?」

「四年ですよ」

 朝倉は、深く考えずに言下に答えた。

「馬鹿。誰がそんな答えを要求しとるか!」

 下士官たちが、また声を揃えて笑った。

「まったく鈍い奴だな、まだわからんのか。いいかお前たち、よーく考えてみろ。あいつは厩にいると俺が判断したのは、こういうことだ。お前たちがどれだけ奴を捜したか知らんが、奴がこの陣地内でどこにも見つからんということはだぞ、残るのは一つ、輜重隊の厩舎だ。つまり、あいつは、俺たち歩兵が絶対に近づかん厩舎に眼をつけて、奴は厩当番を抱きこんだんだ。今頃は厩の連中と大酒を呑んで、厩舎の秣に潜りこんで高鼾のはずだ」

「どうしてそれがわかるんですか」

 沢地伍長は、物分かりの悪い二人の部下を交互に見て、声を苛立たせた。

「四年もバックを食ってりゃ、それぐらい、ちょっと頭を働かせればわかるだろうが。いいか、あいつがこの陣地から一歩も出ていないことも、脱柵した形跡もないことからするとだな、あいつは、この陣地内のどこかに必ず潜んでいるということだろうが。この陣地内で、誰にも邪魔されずにだ、巧みに身を匿すことのできる場所は、お前たちも知ってのとおり、表向きはどこにもない。動哨や巡察の眼が光っているからな。しかし、厩舎は別だ。あすこは巡察と厩当番以外誰も近づかん。ともすれば、巡察だって顔を出さん。特に、こんな大雪の日は、な。当番兵も出来損ないの初年兵かぐうたらの二年兵だ。こいつらの袖の下をちょいとこすれば、煙草や缶詰程度は歓ん持って来る。万一巡察が来ても、都合のいい嘘を平気でつく。奴は、それを誰かから聞いて知っていて、自分に都合よく悪用したんだ。わかったか」

 芝田は、それでも不可思議な顔をした。

「そりァ輜重兵とか砲兵とかなら、連中は日頃からつき合いがあるから話はわかりますがね、馴染みのねえ歩兵中隊の兵隊が行ったりしたら、それこそ鼻であしらわれて、簡単に追い返されるんじゃないですか?」

 沢地伍長は、確信を持って答えた。

「追い返されていない証拠に、有働は戻っていないじゃないか。いいから行ってみろ。奴は絶対そこにいる」

 二人の口許が陰険に歪んだ。

 それを班長が注意した。

「いいか、へたな癇癪を起こして、奴を刺戟してはいかんぞ。ああいう奴は、下からおとなしく扱うんだ。厩の当番兵を咎めてもいかん。他兵科の兵隊と揉めると、あとが煩いことになる。おとなしく、穏やかに連れ戻すんだぞ。いいな」

 芝田と朝倉の二人は、下士官たちのせせら笑う声を背に、下士官居室を飛び出した。

 兵舎の外では、大粒の雪が舞い降りていた。

 二人は、ほんの(いつ)(とき)の間に降り積もった新雪に足を掬われながら、輜重隊の厩舎に駈けつけた。

 厩舎では、吐く息で防寒帽の縁を白く凍らせた当番兵が、黙々と軍馬の毛並みを揃えていた。

 芝田が、その一人に歩み寄って、そっと声をかけた。

「……ちょっと訊くがな、ここに歩兵の兵隊が一人来ておらんか?」

 顔面を馬糞で塗りたくったような雪焼けした顔の一等兵は、兵長に敬礼もせずに、厩舎の奥に視線を辷らせて、

「馬鹿でかい図体の奴なら、あの奥にいますぜ」

 悪びれもせずに、ニタリと笑った。

「やっぱり、班長の勘が(あた)ったな」

 と、朝倉が呟いた。

「奴は、いつからここにいる」

「いつだか知りませんがね、俺が晩飯から戻ったときにゃやっこさん、あすこで爆睡していましたよ」

 厩の当番兵は、酒臭い息を吐いて、うすらとぼけた。

「ちょうどいいや。いいところへ来てくれましたよ。いま巡察将校に報告に行こうかと、こいつらと相談していたところだったんです。面倒が起らないうちに、兵長殿、早いとこ連れて帰ってくださいな。この寒空だ、こんなところで凍死でもされたら、それこそ大迷惑だ」

 周りの当番たちがクスクスと笑った。

 輜重隊は、軍隊の物資を搬送する謂わば運送屋である。輜重隊のすべてがそうであったかどうかは別として、この部隊は、将校から下士官兵の末端に至るまで()(さん)で、慾の皮は他の部隊の誰よりも分厚く、まさに何事も場当たり主義の老獪な集団であった。このことから、部隊の規律はいい加減で甘く、身勝手な稼業が身に染み着いているこの男たちも、当然のように進級の埒外に置かれていて、明けても暮れても厩に詰め、過酷な荷役で禿()びた蹄鉄を取替え、泥の凝り固まった蹄を洗い、尋常でない大量の馬糞の後始末で糞まみれになるよりほかは、なんの取得もない男たちであった。

 そうしたところへ、どこで、どうやって手に入れたのか、酒保では手に入らない一升瓶を、それも二本も提げたゴリラのような巨体がフラリと訪れたから、厩の兵隊たちは眼の色を輝かせて歓んだ。たとえ兵科の異なる他中隊の兵隊であろうとも、手土産持参ならば誰でも大歓迎なのである。

 この日は、午後から寒波が到来して、気温は、既に零下二十度近くまで下がっていたから、こんな日の寒気払いには、とにもかくにも、凍えた体を温めてくれる酒がいちばんである。歓んだ厩の男たちは、作業を放り投げて、有働を厩舎の秣小屋に引き入れて、俄酒宴を開いたのである。

 そのあとは、訪問者が一升瓶を枕に秣を寝床にしようが、自分たちの作業の邪魔さえしなければ知ったことではない。

 巡察に運悪く引っかかっても、相手は兵科の異なる他中隊の闖入者である。適当にごまかしてシラを切ればそれまでである。その男の顔が歪むほど殴られて営倉へ入れられようと、それも知ったことではないのだ。自分たちは、素知らぬ顔をしていればそれでいい。どうにでも言い逃れのできる、輜重隊は都合のいい部隊なのだ。

 沢地伍長が厩ときめつけたのも、こうした輜重隊の実態を熟知していたからであった。

 芝田が、厩の一等兵に言った。

「お前な、すまんが、奴を起こしてくれんか」

 横から別の厩掛が顔を出して、大袈裟に手を横に振った。

「駄目だよ、兵長さん。さっきも、晩飯の時間だからと起こしに行ったんだがね、あの野郎、眠ったまま、万力のような力で俺の腕を掴んで、俺の大事な睡眠を邪魔しやがると殺すぞって、秣ごと俺を突き飛ばしやがった。危ねえのなんのって、うかうかと近寄ることすらできねえ。まるで野獣だ、あいつは」

 一等兵は、袖をまくって芝田に見せた。

「ほら、この通りだよ」

 掴まれた腕には、五本の指の青痣が鮮明に刻まれていた。

「その程度で倖いだったな、お前」

 と、朝倉が同情的な顔を一等兵に向けて呟くと、一等兵は口をへの字に曲げてぼやいた。

「冗談じゃねえぞ。とにかく、あいつはあんたのところの兵隊なんだから、ちゃんと責任を持ってくれなくちゃ、俺たちが迷惑だぜ」

 ――なにが迷惑だ! てめえらもさんざ飲み食いしやがったくせに! まったく、なんて野郎どもだ!

 厩当番の人を小馬鹿にした態度に、芝田の肚が怒りで煮え(たぎ)ったが、班長の言葉を思い出して、呶鳴り上げたい感情を仕方なく抑えた。

「しょうがない、俺たちでやるか」

 どっちもどっちである。危ない仕事を他人まかせに目論んだ芝田が、恐々と厩の奥へ入って行くと、朝倉も渋々ついて行った。

 厩舎の奥では、一升瓶を枕に、秣のなかで爆睡している有働の大鼾が響いていた。

「どうする?」

 朝倉が、ゴリラの寝息を見下ろして小声で言った。

「どうするってお前、こいつを起こすしかねえだろうが」

 こう答えた芝田も、積極的に動こうとはしなかった。

「どうやって起こす? へたにやると、腕の骨だけじゃなくなるぞ。頸の骨だって危ねえぞ」

 と、朝倉は、枕にしている一升瓶を、恐る恐る小突いてみた。

 有働は、夢のなかで、まだ酒盛りの最中のようである。寝返りを打っただけで、反応は示さなかった。

「……困ったな」

 と、芝田はぼやいて、困惑の色を浮かべた。

「班長は腰を上げようとはしねえし、隊長を引っ張り出したら出したで、俺の顔を潰したと、癇癪を起こすのもあの班長だからな」

「酔いが醒めるまで、このままにしておくか。酔いが醒めりゃ、厭でも中隊へ帰って来ようじゃねえか」

 朝倉が言うと、芝田が癇を立てた。

「馬鹿を言え、そんなことができるか! こいつはそう簡単にくたばる奴じゃねえが、この寒気にこのままにしてみろ、酒の気が切れでもしたら、それこそ奴らの言種じゃねえがカチコチに凍っちまうぞ。そうなれば、俺たちだってただでは済まんぞ。こいつ一人が、俺たちの知らねえところで勝手にくたばっちまうのは勝手だが、ここは陣地内だ。俺たちだけじゃねえ。中隊まで巻きこんで、それこそ大事になる。俺ァつまらねえ巻き添えを喰らって営倉行きはまっぴらだからな。それにだ、仮にくたばらねえにしても、これを放任したら、こいつはこれに味をしめて、益々調子に乗って増長する。いずれにしてもだ、日夕点呼までにこいつを連れ戻さねえと、俺たちまでやばいことになるぞ」

「そうだな。こいつは病気も怪我も平気な奴だから、医務室入室などと点呼でごまかしてもすぐにバレる。やられるな、俺たち全員が……」

 朝倉の背筋に、外気と同じほどの冷気が走った。

「とにかく、点呼までは、なんとしてでも連れ戻さなきゃならんな。……なにかいい方法はねえかな?」

 と、芝田は周りを見渡して、

「雪を頭からぶっかけるってのはどうだ?」

「駄目だよ。その程度で起きる奴じゃねえよ」

 朝倉は顔を振った。

「それじゃあれはどうだ?」

 と、芝田は厩当番の足下に顎をしゃくった。

「水か。ちょっと乱暴だが、効目はあるな」

「よし、それで行こう」

 芝田は、馬の蹄鉄を洗っている当番の肩を叩いた。

「ちょっとその桶を貸してくれんか」

「こいつをどうするんか?」

 厩掛は、桶と芝田の顔を交互に見てぞんざいに言った。

「あの滑車に吊るして、あいつに水をぶっかけて酔いを醒ますんだ」

 厩掛は慌てて手を振った。

「冗談じゃない。そんなことをされたら、周りが忽ち氷漬けになって、それこそ俺たちがあとで迷惑だ。どうでもいいから、早くあいつを連れて帰ってくれよ。もうすぐ巡察がはじまるんだよ」

 厩掛は桶を提げて逃げてしまった。

「どうするか……」

 芝田は、困り果てて両腕を組んだ。

 そこへ前島が駈けて来た。

「班長にここだと聞いてな、やっぱりそうだったか。で、どうだ様子は?」

 芝田が苦りきった顔を前島に向けた。

「いいところへ来てくれたがな」

 と、厩の奥に顎をしゃくった。

「あのとおりだ」

 前島はそれに眼を配りながら、

「……まったく、しょうがねえ野郎だな。やくざは、どこまで行ってもやくざだな」

 と、呟いて、

「それはそうと、さっき美島が班長に言っていたんだが、なんて名だったかな、三中隊の、ほれ、例の営倉下番の班長だ。その班長さんと、野郎は仲がいいそうだぜ」

 と、得意顔で話すと、途端に朝倉の眼が躍り上がった。

「なんだって? 将校をぶっ飛ばして半殺しにしたっていう、あの豪傑さんとか?」

「そうらしいぜ」

 と、前島が答えると、

「……信じられんな……」

 呟いて、芝田が顔を横に振ると、前島が言いきった。

「美島は有働の口からはっきり聞いたそうだぜ。いつかの夕方、ホ隊の准尉に野郎呼び出されたことがあったろ? その折りにだな、その班長さんが仲裁に入って、騒動を丸く収めたそうだ。それで、どういうわけでそうなったか知らんが、あのあと、野郎と兄弟分の盃を交わしてるそうだぜ。うちの班長も、その班長とは酒保で顔を合わしているそうでな、そういう関係なら、野郎は酒をかっ喰らって、輜重隊の厩で寝ているはずで、お前たちが帰ってこないところをみるとそこにいるはずだから、その班長に来て貰ってはどうかと言うんだよ」

 と、話すと、芝田の横から朝倉が嘲った。

「おい前島よ、おめえら大きな勘違いをしてやしねえか。盃とか兄弟分とか言うが、やくざの世界の助っ人を頼んでるんじゃねえんだぞ」

 そう言って、首をかしげた。

「しかし、それにしても信じられんな。あの班長さんは、あんなことをしでかしたがよ、中隊幹部からは信頼を受けている分別ある優秀な下士官だっていう話だぞ。そんな優秀な班長さんがだぞ、あんなクズ野郎と、そのなんだ、やくざのそんな盃ってやつを交わすかな?」

「それはどうかわからんが、班長が美島を三中隊に行かせているんだ。もし美島の話が本当なら、おっつけここに連れて来るはずだ」

「よし、そいつを信じて待ってみようじゃねえか」

 芝田が答えると、朝倉が舌を打った。

「まったく情けねえ体たらくだぜ。補充兵一人あやすのに他中隊の助っ人を頼るなんてよ。そんなみっともねえ話は聞いたことがねえや。いい笑い者になるぜ」

 と、ぼやくと、芝田は、それを内務掛の自分の立場を嘲られたと受け取って(つばき)を飛ばした。

「笑い者だと! なにぬかす、だったら、てめえが奴をどうにかしたらどうなんだ。てめえだってなんにもできねえくせに、他人事みてえにでかい口を叩くんじゃねえ!」

 と、朝倉の肩を突いた。

「なんだと!」

 と、朝倉が歯を剝くと、

「まァ待てよ」

 と、前島が割って入った。

「いまは揉めてる場合じゃねえだろうが。美島はハッタリをかますような奴じゃねえからな、もうちょっと待ってみようや。あの馬鹿のことはそれからだ」

 男たちは、深々と降り積もる雪を見つめながら足踏みをはじめた。有難いことに、風がないから、斬り刻まれるような寒さは感じなかったが、それでも冷気がじりじりと防寒衣を突き抜けて来る。

 そこへ、美島が寿を連れて来た。

 沢地伍長も、さすがに他中隊の下士官にまかせるのは気が咎めたらしい。白い息を吐いて追って来た。

 芝田も朝倉も、前島の話には半信半疑だったから、美島が他隊の下士官を引き連れて来たのを視て、それが本当だと知って、慌てて不動の挙手で寿を迎えた。

 答礼を返した寿は、厩舎の奥をチラと窺い視て、顎をしゃくった。

「二年兵の暴れもんが潜んどるゆうんは、この奥か」

「そうであります、班長殿」

 芝田が答えた。

「きさんたちァ、そこでなんばしよっとか?」

 男たちは、互いの顔を見合して、口を噤んだ。

「大の古参兵が揃うとってくさ、補充兵一人ンごつ守ばでけんとな」

 寿の厭味に、苦い顔をした男たちは、直属班長をかえり見た。

「いや、あいつは、どうにも手のつけられん無頼漢でな。隊長も俺たちも、ほとほと手を焼いていて、とにかく、始末が悪いんだ」

 言い訳がましく答えた沢地伍長に、寿はもう一つ厭味を重ねた。

「そげん奴を野放しにする中隊幹部に、少々問題があるとやなかね?」

「いや、あいつは特別なんだ。なにしろ兇暴と言うか、狂人と言うか……」

「そげなふうに特別扱いするけん、内務班の秩序が紊るっとたい。まァよか。あいつとはまんざら知らん仲やなかけん、ここはオイにまかせない。ただし言うとくけんが、あいつにどげんごつあっても、オイには責任はなかぞ」

 それは百も承知である。全員が首を縦に振った。

 寿は、防寒外套を脱ぐと、それを厩の防柵にかけて振り向いた。

「沢地班長、おんしゃ見なんだこつして、ここは退いてくれんね」

「……わかった」

 沢地伍長は、自分の班の兵隊が、他中隊の下士官にどのように扱われるのか、その結末を見届けたい気持ちが強く働いたが、依頼した手前そうもいかず、言われたとおり仕方なく踵を返した。

 寿は、男たちの恐々とした視線を背に、厩舎へ入ると、大鼾をかいて寝ている有働に歩み寄るなり、枕代りにしている空になった一升瓶をいきなり蹴り払った。

「おい、二年兵!」

 怒声とともに蹴り飛ばされた瓶は秣を(まぐさ)転がり落ちて、向かいの(うま)()へ跳ねて粉々に割れた。

 遠眼に見つめている男たちは、寿の大胆な行動に総毛立ったが、しかし、有働は寝返りを打っただけで起きようとはしなかった。

 舌打ちをした寿は、次には、有働の脇腹へ強烈な足蹴りを加えた。

「こン外道さりゃ、いつまで寝よっとや! 起きんか!」

 この一撃は、有働は、馬に蹴られたと思ったようである。愕いて跳ねるように半身を起こすと、それが馬ではなく人間の仕業であることを知ると、いきなり歯を剝いた。

「てめえだな、つまらねえ真似しやがったのは!」

 と、秣から巨体を躍り上げて、丸太のような太い腕を、寿の顔面に襲い被せた。

 だが、次の一瞬間には、有働の巨体は、虚空を泳ぐように通路へ転げ落ちていて、その反動で、厩の頑丈な支柱に頭部を(したた)かに打ちつけていた。

「立て!」

 秣を飛び降りた寿が呶鳴った。

 有働は、頭部を強打したことで脳振盪を起こしたらしく、なにが起こったのかわからないようであった。大きな眼玉を瞬いて、頻りに頭を振っていた。

「酔いば醒めたか、二年兵」

 意識を呼び戻した有働は、相手を睨みつけるようにして、柱に背を擦りながら立ち上がると、切れた唇の血を防寒外套の袖で拭ってニタリと嗤った。

「……どこか見覚えのあるツラだと思ったが、やっぱりてめえかい」

 有働は、酔った勢いで悪態を吐いた。

「そういう挨拶なら、面白え、受けてやるぜ。どうせいつかはこうなると思っていたんだ」

 寿は、適当にあしらって済ますつもりであったが、有働の態度に気が変わってしまった。兇暴になる前兆の陰険な嗤いを浮かべた。

「二年兵になっても、きさん、兵隊の規則をまだ憶えとらんようたいの」

「うるせえ! 売られた喧嘩に、兵隊の規則もへったくれもあるかい! てめえなんぞ、八つ裂きにしてやる!」

 と、有働は防寒外套を脱ぎ捨てると、猛烈な勢いで寿に飛びかかった。だが、なんの策も持たない力など、技を有する相手には無力同然であった。逆に有働の力を利用した寿は、塵でも掃うように簡単にあしらって、厩の大支柱に巨体を投げつけた。

 この勢いで厩舎が異様な軋み音を立てて揺れると、天井から木屑がバラバラと落ちて来た。

寿は、間髪入れずに、うずくまっている有働の襟首を鷲摑んで捻じり上げた。自分の襟で首を絞め上げられた有働は、苦しさのあまり自ら巨体を引き起こした。

「きさん、まだ酔いが醒めとらんごつあるの。よし、そいなら徹底的に酔いを醒ましちゃる!」

 と、頭鉢を大支柱に強打し、その反動で有働を大地にねじ伏せ、凍りついた厩舎の床土に叩きつけて、横腹へ強烈な編上靴の先を打ちこんだ。

 さすがの有働も、この一撃はこたえたようである。低い呻き声を洩らして大支柱にしがみついた。

 寿は、それでも手加減をしなかった。支柱にしがみついた有働の背中へ、今度は絶息するほどの足蹴りの連打を打ちこんで側頭部を蹴り払った。有働は、なす術もなく、丸太のように簡単に転がった。

「立て!」

 と、寿は怒号した。

 有働の顔面は、既に歪に腫れ上がっていて、無残な変形をし始めていた。

「立たんか!」

 有働は、反撃を試みようとして、巨体を支柱に擦り寄せて半身を上げた。その途端、有働の腹部に、またも凄まじい蹴りが襲った。

 有働は、体をくの字に折って血反吐を床に()き散らした。

 寿は冷やかに笑った。

「いっぱしの図体ばしとるごつあるが、口ほどンなか奴たいの。きさんが酔うとるばってん、オイはまだ手加減ばしとるとぞ。やられて悔しかなら、きさんの根性ばあるところをオイに見せちゃれい!」

 と、有働の側頭部を軍靴で蹴り払った。

 普通の男なら、これだけ痛めつけられると、あのときの埴生少尉のように半死の状態になっているところである。だが、有働の肉体はさすがに強靱であった。血で染めた唇をニヤリと歪ませると、血に混じった唾液を吐き捨てた。

「ふん、俺ァ酒は呑んじゃいるが、体が動かねえほど酔っちゃいねえ。手加減なんか無用だ。てめえなんぞの、そんなへなちょこにやられて、そう簡単にくたばる俺さまじゃねえやい!」

 血に染まった牙を剝いた猛獣は、巨体に勢いをつけて寿に突っかかった。相手を組み伏せさえすれば勝機は自分にあると、有働は、単純にそう考えているのである。

 そうは、しかし、ならなかった。気がついたときには、積み上げられた秣をしこたま噛んでいた。相手は体を触れることさえも許さず、まるで、空気のような存在であった。

 有働は、口に含んだ秣を、血反吐と一緒に、勢いゲーと吐き出した。

 惨敗であった。生まれて、はじめて他人から受ける屈辱であった。敗北は、体力の消耗とともに、あっけなく一方的に訪れたようであった。肉体は、有働の精力を使い果たし、ボロボロにされていた。有働は、もはや自力で起き上がることすら、ままならない状態となっていた。

「まだやるか。そいとも、きさんの過ちを素直に認めるか。どげか」

 寿は、涼しげな顔で、有働を見下ろした。

 物蔭から傍観していた男たちは、寿の、相手に触れさせることのない俊敏な身のこなしと、これもいままで見たこともない残虐性に慄然として、ただ息を呑んで茫然としているだけであった。

「おい、二年兵の補充兵さんよ」

 と、寿の冷やかな声が巨体に落ちた。

「ぬしゃ、確か有働とかいう名やったばい。ん、有働、よう聞くとぞ。男ゆうもんはの、ただ強いだけが能やなかぞ。ぬしゃそれを履き違えとるようなけん教えちゃるが、喧嘩が強かごつと、きさんの考えとる侠気(おとこぎ)は別のもんぞ。腕っ節が強かゆうだけじゃ男の自慢にゃならんとじゃ。まことの男ゆうもんは、相手を思いやっての、太か肚で静かごつ、デンと構えとるもんたい」

 有働を見下ろしたまま、寿は、諭すように言った。

「きさんは、確かに腕っ節ァ強か男たい。普通の男なら、誰もきさんにゃ(かな)うまい。やけんがの、きさんよりも遙かに腕ば立つ、賢か奴が世の中にゃおるゆうことも知らにゃならんぞ。きさんの頭ンなかは、喧嘩さえ強けりゃ、そいが男の看板ぞみたいな考えがあるようなけんが、そいは大けな勘違いというもんぞ。きさんの性根(しようね)は本物やなか。腕っ節がたまたま強かけん、きさんはそいを勘違いばして、勝手に世の中を甘う歪めて見とるだけたい。ま、オイの話はこれくらいにしておくばい。性根ば腐ったいまのきさんは、オイの話なぞ馬の耳に念仏にしか聞こえんじゃろけん、理屈ば説いてもわかるまい。きさんが、おのれの不心得ば気づくまで待つしかなか。の、どげか、なんぼ阿呆でん、わしの言うことァわかるばい。わからんとなら、もいっぺんそン体に教えちゃるばってんが、どげな?」

 有働は、腹這になって聞いていたが、いきなり仰向けに寝返って破れた声を張り上げた。

「お説教は無用だ! 俺は負けたんだ! さァ殺せ。殺しやがれ! 煮て食うなり焼いて食うなり、どうとでも勝手にしろ! そうしねえと、あとで後悔することになるぜ」

 口にはまだ多少の悪態が残されているようであったが、肉体のほうは、寿の凄惨な暴力によって、闘争機能を完全に奪われてしまっていた。

 それでも男の意地を張る有働に、寿は情けなく嗤うと、その横に膝を折った。

「ぬしゃ前にもそげなごつ言うたばい。いつかの物干場、覚えとろうがくさ。あンときも、ぬしゃ、なんで自分を殴らんとかゆうてオイに詰め寄ったばい。ありゃきさんの力ば自惚れとる勢いであげな態度に出たとやろが、どげな、これで、オイが無闇に暴力ば振るわん理由がわかったばい。きさんはの、いままではおのれだけが強か男と勝手に思い上がっとっただけのことたい。さ、もうよか、起きない」

 と、有働の脇に手を入れて半身を起こしてやった。

「きさんも補充兵とはゆえ、いまはれっきとした関東軍の二年兵たい。これからは無茶ンごつはやめにして、おとなしか上官の言うことに従うて、の、軍務ば精励すっとぞ」

「……」

 急所を散々痛めつけられた有働は、もう口を利くのもおぼつかなくなっていた。寿の凄まじい私刑で、意識を失いかけそうなのを必死で堪えているようであった。

「おい、そこンきさんたち、ぼやっとしとらんとこれを医務室ば連れて行け。頑丈な奴やばってん、骨は折れとらんごつあるが、二三日は動けまい。念のためたい。軍医に診せて、練兵休ば取って休ましちゃれ」

 男たちは、寿の驚愕的な制裁に足が竦んでしまっていて、佇立したまま(おのの)きを隠せずにいた。

「早うせんか。心配せんでんよか。これはもう暴れたりはせん。おいそこン厩のきさん。馬糞ば喰ろうたごつツラばしとらんと、そこン(そり)ば持って来ちゃれ」

 厩の当番兵は、頓狂な声を発して、運搬用の橇を曳いて来た。

 すると、有働の手が下から伸びて、寿の袖を曳いた。

「……班長殿」

「?」

「班長殿は……やっぱり、俺の想像したとおりでしたよ。今度本物の盃をください」

 やくざな男が、真の俠客に惚れて()(ふく)を示すときのきまり文句である。

 寿は、嘲笑を洩らした。

「ばかンごつ言うもんやなか。わしゃ極道もんやなかぞ」

 有働は、血に染まった歯でエヘと笑うと、とうとう頸を支える力を消滅させて、ガクリと意識を失った。

 有働の巨体は、橇に乗せられて医務室へ運ばれた。

 あとに残った芝田は、この場の顛末に複雑な面持ちをして、こう言った。

「お世話になりました、班長殿。自分は内務掛の芝田であります」

 寿は、煙草に火を点けながらうなずいた。

「ありゃ、これでちったァおとなしかごつするやろたい」

「これからもよろしくお願いします」

 寿の呆れた顔が芝田に向けられた。

「阿呆ぬかせ。オイはぬしらの用心棒でも、あいつの身内でもなかぞ。あれの面倒と始末は、きさんたちが責任を持ってやるもんじゃ」

「……それにしても、大丈夫でしょうか?」

 芝田が不安気な顔を寿に向けた。

「少々痛めつけすぎたかの?」

「いえ、そうじゃないです。あれほどやられても、あれで哭を上げる奴とは思えません。心配なのは、これを根に持って、また暴れたりしないかと……」

 寿は声を出して笑った。

「内務班掛は随分と気弱になったもんたいの。心配せんでんよか。あいつは、やられて私怨を抱くほど(しよう)(わる)な男やなか。もう大丈夫と思うが、しかし、あげな奴はの、問題を起こすたんびに営倉へ叩きこむより、勤務で徹底的に油ば搾るほうが効き目があるんぞ。それと、戦友にはしっかりした同年兵の守役ばつけるとよか。古参兵やと反撥するけんの。それで治まるやろ。あいつも死ぬほど痛い思いをしたとじゃ、ちったァ人の怖さば骨身に沁みたやろ」

 そう言い聞かせて、指先で煙草を揉み消すと、残りを胸の隠しに仕舞って寿は中隊へ帰った。


 一方の医務室では、担ぎこまれた兵隊の打撲を診た軍医は思わず唸った。

 だが、その傷を診ているうちに、これとよく似た打撲傷を想い出して、その凄惨とも残忍とも言える手口から、軍医は、これが誰の仕業であるかをすぐに見抜いていた。

「あの兵隊、雪中での訓練中の事故だと報告を受けたが、実際はそうではあるまい」

 有働を貰い受けに来た沢地伍長に、軍医は皮肉な嗤いを洩らした。

「それにしても、あの兵隊は頑丈な肉体の持主だぞ。あれほどの打撲を負いながら、鼻骨の一本も折れていない。普通の兵隊なら、とっくに不具になっているところだ」

「……明日の勤務は、通常どおり出して差し支えないでしょうか?」

 軍医は鼻先で笑った。

「本人が出るというのならかまわんが、あれでは体が動くまい。無理をさせてはいかん。あの兵隊は、少なくとも五日間の静養が必要だ。そうだな、二三日は便所にも行けんほど動けんだろうから、気の利いた兵隊を介護につけて静養させろ」

 有働への特別な処置は必要ないと判断した軍医は、あっさりと沢地伍長へ身柄を引渡した。

 この騒動は、翌日には連隊じゅうに知れ渡ったのは言うまでもないが、有働は、寿や軍医の診断どおり、三日三晩内務班の寝台に巨体を横たえて唸りつづけた。

 少しでも体を動かそうものなら、それこそ死にそうなほどの激痛が全身を貫いた。

 これほど痛めつけられたという記憶があるのは、少年の折りに引き取られていた家で、ひもじさから飯を盗み食いして親方にしたたか叩きのめされた、あれ以来であった。

 それでも有働は、なぜだか少しも悔しいという恨みの感情が湧いてこなかった。それは、たぶん、有働の肉体のなかに、まことの侠気というものを、実物でもって寿から教えられたせいかも知れなかった。

 有働は、兵舎の天井に眼を据えて、肉体の疼痛を愉しむかのようにニタリと笑った。

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