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お前は黙っていた方がいいぞ

「ていうわけなんだけどどうしようお姉ちゃん!」

「全部自業自得じゃない……」

「だってぇ~!」


 エイルはソファに寝そべり、足をぱたぱたさせる。

 今は姉のギルドホーム。ギルドマスターの自宅のリビングで姉に事の顛末を説明し終えたところだ。


「まったくもう」


 エイルの姉、アイルは、さんざんひきずられた武士に回復呪文をかけてあげている。


「はい終了。ごめんねうちの妹が。えーっと、お名前なんだっけ?」

真柄(まがら)直隆(なおたか)。あんたらが言うところの戦国武将ってやつだな」

「じゃあ、なおちゃんね。私が作ったアップルパイ食べてって、お茶は紅茶? 緑茶? コーヒーもあるけど」


 アイルが直隆の前に回り込んで前かがみになる。

 すると、エイルの姉だけありメロンのように豊かな胸の谷間が直隆の眼前に迫ってしまう。

 直隆は瞬きを忘れる。


「りょ、緑茶で」

「あんた何お姉ちゃんをやらしー目で見てるのよ!」

「は!? 別に見てねぇし!」


 エイルと直隆は猿と犬のように睨み合う。今にも吠えそうだ。


「こらっ」

「あいたっ」


 姉のアイルが、エイルの頭にチョップを落とす。


「エイルの嘘になおちゃんを巻き込んだんだからそんな顔しないのっ、いーい?」


 エイルは途端に、しょぼんとしてしまう。


「はぁい……」

「うん、いい子♪ それでねなおちゃん。お姉ちゃんからもお願いするわ。一日だけでいいから明日、この子のベルセルクのフリをしてあげてくれないかな?」

「そうよ、ヴァルキリーであるあたしの命令よ! あたしのベルセルクになりなさい!」

「いや、俺は……」


 アイルは両手を胸の前で合わせて、


「お願いします。明日この子のベルセルクのフリをしてください!」

「あんた人間のくせにヴァルキリーの言う事が聞けないの!?」

「う~ん……」


 アイルは涙を流し髪を揺らし、イスに座る直隆の膝に寄り添いながら、


「この子のベルセルクのフリをしてくれないと困るんですぅっ」

「いいからあんたはさっさと首を縦に振ればいいのよこの駄馬!」

「おい、たぶんお前が喋らない方がこの商談上手くいくぞ」

「はぁっ!? なんでよ!?」


 両手と両目を吊り上げて怒るエイルを見下ろしながら、直隆は釈然としないへの字口で息をつく。


「わかったよ。じゃあ明日一日だけな」

「ありがとう、なおちゃん♪」

「なんでお姉ちゃんのほうを見ながら言うのよ!」

「本能的に」

「ムキィッ! あんた明日負けたらただじゃおかないわよ! ていうかあんた強いの!」

「強さだけは保証してやるよ、強さだけはな」


 含みのある言葉に、エイルは首を傾げた。


「はいはい、じゃあみんなでアップルパイ食べましょう♪」


 アイルがキッチンからアップルパイを持ってくる。

 その時、廊下のドアが開いて、一人の男が姿を現す。

 身長は直隆とほぼ同じ、黒髪黒目でアジア風の顔立ちだ。


「お客さんかアイル?」

「あらジュウイチ。一緒にアップルパイ食べましょ♪」

「ジュウイチ?」


 エイルは、姉の家に突如現れた見知らぬ男にちょっと警戒する。

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